国会活動報告 参議院財政金融委員会

2003年12月5日 足利銀行の破綻処理について

158閉-参-財政金融委員会-1号 2003年12月05日(未定稿)

○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。地元栃木選出でございまして、今日、委員会におきまして質問の機会をいただきましたこと、厚くお礼申し上げたいと思います。  冒頭、今、私の先輩の矢野委員からいろいろお話ございましたけれども、冒頭、過日の衆議院選挙の話がございました。一つだけ言わせていただきたいと思っておりますが、自民党の議席が一議席増えたことは事実でございますが、これが圧勝であったかどうかは皆様の御判断を仰ぎたい。  そして、もう一つは、今県民の中にはこういうふうな話がございまして、自民党の議席は増えたけれども足利銀行は倒産をした、これではやはり政権を替えないと我が地元の金融機関は生き残れないと、こういう声が大分沸き上がっていることをひとつ御理解をいただきたいというふうに思っております。  早速ですが、それでは質問に入りたいと思います。  まず一つ、竹中大臣に単刀直入にお伺いいたします。  大臣は、十二月の一日、具体的な報道機関を出して恐縮ですが、NHKのテレビで、債務超過というのは足利銀行自身の判断であり、金融庁は事後的に申入れに対応したものである、このように発言をされておられますが、これは事実でしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 正確な表現は今ちょっと定かではありませんが、これは、銀行が自ら債務超過であるという報告を行って破綻の申出を行ったという、そういうような趣旨のことを、それに対して我々は事後的な行政を行う立場にありますので、事前介入をしないで事後的なチェックをする立場でありますので、しっかりと対応していくんだ、そういった趣旨のことをお話ししたと思っております。

○谷博之君 預金保険法の第七十四条第五項、これに従って銀行が自主的に申入れをしたと、こういうことだろうと思いますけれども、これまた単刀直入にお伺いしますけれども、銀行側にとっては不満は残らなかったんでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 経営がこのような形で行き詰まったわけでありますから、銀行の経営者にとって無念の思い、不満、そういったものがないということはあり得ないと思います。これは今回の場合に限らず、これまでこういった事態に至った経営、銀行に限らずすべての企業において、経営者というのはいろんな意味での無念の思いや不満や、そういうものは当然にある。今回も経営者にはそういう思いがあるのではないかと思います。

○谷博之君 金融庁は、今日までも、金融検査において、特に足銀に対して過重な引当てを要請したり、あるいはまた監査法人の監査に厳格性を要求したり、こういうことをずっとされてきておられたということを私たちは聞いております。  そして、話はちょっと次元変わりますけれども、栃木県の福田知事、あるいは足銀の日向野頭取、こういう方々が、竹中大臣やあるいは出席いただいている谷垣大臣、さらには福田官房長官、そして小泉総理にまで、昔で言うところの直訴までしていろいろと要請をしたということはもう御案内のとおりであります。そういういろんな経過の中で、にもかかわらずこういう結論を出したことについて、この間の金融庁並びに政府の対応というのは、正に、極端なことを言えば木で鼻をくくったような対応でしかなかったというふうに私たちは言わざるを得ないんであります。  そこで、これはもう是非、私はこういうふうな事実経過、お互いに当事者、銀行と金融庁、そして監査法人、そしてそれに影響を受けるところの直接的には我が栃木県民のそういう将来の経済危機の問題、こういうことを考えたときに、当委員会で竹中大臣の見解なり御答弁を求めることはもちろん必要でありますけれども、片一方の当事者、こういう方々の、今無念の思いとおっしゃいましたけれども、いろんな言い分もあろうと思うんですよ。こういうものをやはり私はオープンにして議論をしない限り、こういったこの問題に対する事実の確認、あるいはそれに基づく結論が良かったのか、こういうことに対する私は判断というのはできないと思うんですね。  したがって、これは委員長に是非私は要求したいんでありますが、次回の委員会にこういう足利銀行の関係者、できれば、あるいは自治体の代表等も含めて、こういう方々の、参考人として呼んでいただくことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○委員長(平野貞夫君) お申出の件につきましては理事会で検討させていただきたいと思います。

○谷博之君 続きまして、金融危機対応会議の問題についてお伺いしたいと思いますが、私の手元に十一月二十九日付けの金融危機対応会議の諮問に対する答申というのがございます。これにつきましては、この答申の中を見ておりますと、足利銀行から債務超過となる旨の申出があったことはここに記載がされております。そして、しかし、この会議で足銀が債務超過であると認定した記述はここには入っておりません。先ほどの大臣の概要説明の中にはこのことは触れられておりますけれども、この答申の中にはこれが触れられていない。そして、いきなり国有化の必要性、つまり預金保険法第百二条の第三号、この措置を適用する、このように判断をするというふうに書かれております。  それで、この百二条の仕組みについてでございますけれども、システミックリスクのおそれというものが出てきたときに、それを過少資本なのかあるいは債務超過なのか、このまず判断をして、その後にいわゆる一号から三号の適用をどうするかという、こういう仕組みになっていくと思うんですけれども、この少なくとも二十九日の会議では、それがこの文面からは確認されたことが出てこない、この辺の経過について説明していただきたいと思うんです。

○副大臣(伊藤達也君) 足利銀行に対しましては、十一月の二十七日、十五年三月末を基準日とした検査結果の通知を行うとともに、あわせて銀行法二十四条に基づいて検査結果を踏まえた十五年九月末時点の財務状況等について報告を求めました。これに対して十一月二十九日、同行から金融庁に対して十五年九月期決算について債務超過となる旨の報告があり、あわせて預金保険法第七十四条第五項に基づいて破綻の申出がなされたわけであります。そして、私どもとしては、当該二十四条報告及び当該申出の内容を確認をいたしました。この中で、債務超過であるということを確認をしたわけであります。  そして、私どもとしましては、同行がその財産をもって債務を完済することができない債務超過の状態にあるということを確認をし判断をして、そして危機対応会議が開催をされ、そして同会議においても私どもから同行が十五年九月期決算において債務超過となる旨の報告を行ったところでございます。

○谷博之君 私が申し上げたいのは、この二十九日の金融危機対応会議の中で、百二条に規定されているその認定を行うというこの文言がここに入っていない、つまりこれは手続上の瑕疵があるんじゃないかということを私たちは強く求めているわけでありますけれども、この点についてはどのように考えますか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 金融危機対応会議というのは、ここでは三号措置の必要性の認定を行うわけであります。なぜ三号措置が必要か、これについては今、副大臣からもお話がありましたように、金融庁として手続を経て、先方からの申出の内容を確認をして債務超過であるということを金融庁として判断をしている。その判断をするのは金融庁でありますし、この金融危機対応会議の目的は、三号措置の必要性の認定なのでありまして、金融庁がまずその以前に債務超過であるということを判断をしております。その上で対応会議では、繰り返しますが、三号措置の必要性の認定を行う、それが会議の目的でございます。

○谷博之君 大臣の今答弁と私は若干認識を異にしておりまして、つまりシステミックリスクのそういうおそれがある、その場合に、その金融機関が要するに経営の内容が過少資本なのか債務超過なのか、ここのところをこの会議で認定をするというのが法第一〇二条の内容じゃないですか。

○政府参考人(五味廣文君) 金融危機対応会議には、メンバーといたしまして金融担当大臣あるいは金融庁長官が加わっておりまして、こうした委員の議員がその職責に基づいて、銀行から出てまいりました報告書を添付書類などで職員に確認をさせながら債務超過であるということを確認をし、その上で会議の必要性ということを判断して会議の招集をお願いするということであります。  金融危機対応会議はそうした銀行の財務状況の詳細を点検することが任務ではございませんで、そのメンバーが確認をしております銀行の財務状況ですとか、あるいは銀行の流動性の状況、これは日銀総裁も議員でございます。こういったような材料を基にいたしまして、この状況が金融危機を生ずるおそれがあるのかどうか、そうであるとすれば百二条の適用の是非、また百二条を適用する場合どの条項の適用になるのか、こういったことを審議し決定をするということで、その決定案がこの答申であるわけでございます。

○谷博之君 時間がありませんので、この問題は次の機会にまた譲るといたしまして、次に、一番問題となりました債務超過の定義のことなんですけれども、要するに会計上の自己資本と同時に、いわゆる企業の営業価値、昔で言うならばのれんですよね。そういうものが正に私は大きいというふうに思いまして、特にこれは、いわゆる預金保険機構の前室長の佐々木さんもこういうことを指摘しておりますけれども、こういういわゆる無形資産といいますか、こういうものに対する考え方というものが、残念ながら今回の足銀の問題ではこの営業価値というものをほとんどゼロとして見ているというふうに私たちは言わざるを得ません。これについてはどのように考えておりますか。

○政府参考人(五味廣文君) 債務超過と申しますのは、お話ありますように、財産をもって債務を完済することができない状況、で、その際には貸借対照表を基にいたしまして、預金保険法上の判定をいたしますときは、こうした貸借対照表上の計数に必要に応じ有価証券などの含み損などこういった資産の時価も勘案をして債務超過かどうかを判断するということになります。  お話のありましたのれんでございますけれども、足利銀行から提出されております貸借対照表にはこののれんというのは計上されておりません。商法あるいは企業会計原則におきましてのれんというのを貸借対照表に計上できますのは、有償で譲受けをした場合又は合併により取得した場合、こういうものに限られるわけでございます。  いずれにしましても、十五年九月期の足利銀行の貸借対照表にはこののれんというのは計上はされていないということでございます。

○谷博之君 そうしますと、今後この銀行が新たな引受先に移っていった場合に、そうしたいわゆる営業価値といいますか、のれんといったものは継承されるんでしょうか、それじゃ。

○政府参考人(五味廣文君) 特別危機管理銀行、一時国有化の後、受皿に譲渡されていきます。いろいろな形態がありますが、譲渡をされます。そのときに預金保険機構が資金援助を行って債務超過を解消をするということですが、今ののれんというお話はその譲渡の際の対価がどうなるかということになるわけですが、これはその時点で当事者間で協議されるものですので、現時点では何とも申し上げられないわけです。  ただ、のれんというものがこの譲渡の際にどういう扱いになり得るのかということですが、受皿金融機関が特別危機管理銀行すなわち足利銀行を合併する、あるいは営業の譲受けということで受け入れる、こういう場合は預金保険機構と受皿金融機関との間で決められます対価の水準いかんによりましてはこののれんというものが計上されてくるということはあり得ます。  ただ、いずれにしてもこの譲渡の方式とか対価の水準は両者の協議で決まるものでございます。ですから、今からのれんの計上の有無があらかじめ決まるというものではございません。その時点での譲渡しに関する協議、対価の結果であるというふうに申し上げることになります。

○谷博之君 質問項目がたくさんありますので、次に移りたいと思いますので。  実は、昨日、栃木県選出の国会議員の皆さん方のところに、社団法人栃木県観光協会、そして栃木県旅館生活衛生同業組合、こういう団体から要望書が出てまいりました。これは、県内のいろんな団体、この団体に限らずたくさんの団体から今度の問題について要望、要請を受けております。  で、谷垣大臣にお伺いしたいと思いますが、その質問の前に若干大臣に一言触れておきたいんですが、大臣はこの前の小泉内閣、第二次内閣から財務大臣に御就任されましたが、残念ながら本会議、委員会等で所信をまだ一度もお聞かせいただいておりません。そして、今日は御答弁をいただくということでありまして、これは一日も早く所信をしっかりとお述べいただきたいということを強く求めておきたいと思いますが。  そういう中で、申し上げましたこの団体からの要望の一番の柱は融資の継続、そして少なくとも緊急融資制度を更に充実してほしいと、こういうことでありますね。政府は今回ハードランディング策というものを取って正に大なたを振ったわけでありますけれども、例えば栃木県の場合も緊急に三百億の融資制度を創設をしたというようなこともありますけれども、国の対応ですね、少なくとも政府系金融機関に相談窓口を置いて、そしてそういう当事者の相談に応ずるということ、これはごく当然のことだと思うんですけれども、それだけで対応がいいんだろうかというふうに思うんですね。  だから、例えば特別な融資枠とかあるいは信用保証枠というものを設定をして、そして対応に当たる。ましてや、県内の企業、県民の皆さん方のそうした将来の不安感というものを解消するためにも、地域経済安定策というものを政府自らも取っていかなきゃいけないと思うんですけれども、これらについてのお考えをお聞かせいただきたい。  そしてもう一点、続けて聞きます。そして、もう一つはあしぎんフィナンシャルグループの発行済みの株式の問題でありますけれども、これについても、ほとんどその価値がなくなってきているということ。この株を保有している企業がたくさんございます。こういう企業に対するいわゆるその損失の軽減を、軽減策をどうするかですね。こういう点についても非常に今大きな問題になっているわけでありますけれども、この二つについてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) お答えいたします。  今回の足利銀行の特別危機管理の開始に伴いまして、同行が業務を行っている地域の金融それから経済の安定に迅速かつ適切に対応していくということは一番大事なことではないかと考えております。こういう認識の下で政府としては関係省庁と連絡会議を十二月の二日に設置をいたしました。  それから、足銀が営業しておられた地域の信用供与の円滑化、これを図るために、政策投資銀行です、それから国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫ですね、この四行では特別危機管理決定の翌日の三十日、日曜日ですが、午前九時から特別相談窓口を開きまして、取引先の企業等からの資金繰りの相談に応じているところでございます。特に、相談件数の多い窓口では営業時間を延長して対応しておりますほか、明日それからあさっての土日にも対応する予定で、今仕事をしております。  それから、先ほどその資金繰り、十分配慮する何か考えるべきだという御意見でございましたけれども、正にこういうときのために作られておりますのがいわゆるセーフティーネット融資制度、金融環境変化対応資金でございますので、これを、こうした制度の積極的な活用を通じて事業者の資金需要にきめ細かく適切な対応がなされていくものと考えているわけでございます。今後とも、政策金融機関を通じて地域における中堅中小企業等に対する円滑な資金供給の確保と、努めていきたいと考えております。  それから二番目に、あしぎんフィナンシャルグループの株式を保有していた方への対応ということをおっしゃいましたけれども、大変、出資をされて、この特別公的管理が開始した結果、持っておられた株式がほとんど無価値になってしまったと、これはもう大変当事者の心情を察するに余りあるというだけではなくて、いろんな問題がこれは生じてくる可能性はあるのかと思っておりますが、株式が無価値となったということだけでそれを救済していくというのはもう仕組みの上で極めて難しいことでございまして、先ほど申し上げたようなセーフティーネット、そのほかの政策金融機関の持っている措置、株式が無価値化したことによっていろいろ問題を抱えておられる方々にはこういう仕組みを活用していただいて、円滑な資金供給を行うなりきめ細かな対応を取っていくと、いこうと、こう考えているところでございます。

○谷博之君 いろいろその後の話も具体的に聞きたいところなんですけれども、課題がたくさんありますので、次に善意の個人株主の話をといいますか、その問題をお伺いしたいと思っております。  足銀は、平成十四年の一月に第三者割当て増資ということで多くの県民から民間の方々の資金調達というものを行いました。これが残念ながら結局損害を受けたということであります。  先ほど、劣後債の話が、劣後債務の話が出ましたけれども、やっぱり私たちは損害を受けた個人株主に対する救済措置というものも何か考えなきゃいけないんではないかというふうに思っているんですが、この点についての御見解を重ねてお伺いしたいと思います。

○副大臣(伊藤達也君) 損害を受けた善意の個人株主に対する対応の問題でございますけれども、先ほどからもお話がございましたように、県民挙げて足利銀行を立て直していきたいということで、多くの方々がそれに御協力をされたという実情を私どもも承知をいたしておりますし、そうした中で株主の皆様方の心情を考えますと、極めて遺憾なことだというふうに思っております。  しかしながら、債務超過によって株式が無価値化をしたということでございまして、今回の百二条の三号措置の発動によって足利銀行の預金を預けられている方々、こういう方々に対しては債務を全額保護するということはできますが、これはやはり株式でありますので、それを預金と同じように扱っていくというのは、今の制度上その対応をすることは、これはなかなか困難であると。財務大臣がお話をさせていただいたとおりであります。  私どもといたしましては、保有株式が無価値化することによってその資金繰りに困難を来していく、あるいは借入金の返済に大変困る事情がある、そうしたことに対しては関係省庁連絡会議というものを設置をいたしておりますので、その中で検討をさせていただいて、何らかの対応ができないかということを考えて対応していきたいというふうに思っております。

○谷博之君 こういう善意の個人株主がその株を取得する際に、足銀の銀行関係者から二年間売買は控えてほしいとか、あるいはつなぎ融資を受けたときに、要するに優越的な立場から株のいわゆる増資に応じてほしいと、こんなようなことが言われて、応じた方々もたくさんおられます。  これは、私たちの関係者の中でも随分そういうことをメールやファクスで送ってきておりますけれども、そういう方々に対して旧経営陣といいますか、今日までの経営陣に対する民事、刑事上のやっぱり責任も出てくるんだろうというふうに思うんです。この銀行が国有化をしていったときに、一時国有化をしたときに、新しい経営陣の中でこういう問題についてどこまで踏み込んで調査をされ、取組をされようとしているか、この点も関連してお伺いしたいと思います。

○副大臣(伊藤達也君) 先生御指摘のように、特別危機管理銀行の場合には、その法律に基づいて新しい経営陣等が旧経営陣の民事、刑事上の責任追及を行うということが規定をされておりますので、新しい経営陣が着任をいたしましたら、民事、刑事上において問題があればこうした対応をしていく、その中で責任というものを明確にしていくということになろうかと思います。

○谷博之君 ちょっと結論めいた話をして恐縮なんですけれども、国が公的資金を入れたから、国も支援しているというふうな考え方に立って、そしてある意味では安心して個人もいわゆるその増資に応じた、こういうことが考えられると思うんですね。  ところが、この足銀の例を見ておりますと、そうではなくて、国がそういう公的資金を入れるとこれはもう黄色信号なんだと。したがって、そういう銀行にはもう銀行側から株を例えば求めてくれと言われても駄目ですよと、こういうふうな雰囲気が全体的に広がっていくというふうに、そういう危険性があるというふうに思うんですね。こういうふうな状況を私は今回のこの事件を通していわゆる作ってしまったのではないかというふうな、そういう感じがいたしております。  したがって、銀行の全体の株そのものが、つまり、国民のそういう目からこの足銀の問題を通してますます危ないものだという認識が更に植え付けられてくるということを非常に私は心配をしているんですが、その辺についてのお考えはどうでしょう。

○国務大臣(竹中平蔵君) 今委員御指摘になったような、そういった思いが広がらないように我々としてはしっかりと正しい情報を伝えていかなければいけないと思っております。  これは、公的資金を注入した銀行というのは、これは結構な数あるわけでありますけれども、そうした中で、実際にその後、経営を立て直して公的資金を返済したところも御承知のようにあるわけです。そういうところの中で株価がしっかりとした動きをしているというところも、これは少なからずあります。  これは、地銀の中でも、地方銀行の中でもそれぞれ経営は様々であります。先ほど申し上げましたように、実はそうした中にあって、足利銀行というのはやはり大変残念なことでありますが、各種指標で見てやはり非常に特殊な地位にずっと置かれていたというふうに思います。自己資本比率も地銀の中で一番低い。不良債権の比率は地銀の中で上から二番目に多い。先ほど申し上げましたように、ティア1に対する繰延税金資産の比率は平均二六%に対してこの銀行は一八六%ある。そうしたこと等、やはり非常に特殊な状況にあったんだと。  これは、公的資金であれ市場で調達した資金であれ、それに基づいていかに財務基盤を強くして営業を強くしていく、経営を良くしていくかというのは、これは正に経営の話でございますので、その経営をやはりしっかりと我々としても見ていかなければいけない。投資家の方々にもやはり投資家としてのガバナンスを発揮していただきたい。そのようなことを是非我々としてもお伝えをしていきたいと思います。

○谷博之君 それじゃ、先ほど矢野委員から繰延税金資産の話が出ましたので、貸倒引当金の問題についてちょっと一点お聞きしておきたいと思うんですが。  金融庁が三月末時点で足銀の自己資本がマイナスに陥った、その主な要因ということで不良債権への引き当て不足を挙げているわけでありますけれども、そのうちの貸倒引当金、これは将来貸倒れ損失が出たときの見積額ですね。これをあらかじめ見通しして立てておくということだと思うんですけれども、これはいわゆる景気のどん底状態の状況と景気が上向いてきたときの状況によって若干この見通し、その額等も違ってくるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう意味での今回のこの貸倒引当金の問題について、足利銀行が最も実態に精通した見通しを立てておられるのと、それから金融庁が見通しを立てた、いわゆるその内容の違い、そこら辺の問題について、特に私たちは、こういう金融検査におけるこういうふうな引当額あるいは引当率、こういうものに対して適正な基準というものを私はやっぱり作るべきじゃないかというふうに思っているんですけれども、そういう点でのそういうふうな明文化するような作業といいますか、そういうことについての御検討をされておられるでしょうか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 委員御指摘のとおり、一般的に個々の債務者の状況については融資を行っている銀行自身が一番多くの情報を有しているということであろうかと思います。  金融検査は、こうした銀行側の情報について、銀行側からの説明を受けながら、銀行自身がその会計ルール等に沿って適正な債務者区分あるいは償却・引き当てを実施しているかということを、言わば共通の物差しでチェックするというものでございます。これは、金融行政の任務であります信用秩序の維持であるとか預金者の保護であるとかといったことを図るという目的に照らして個々の銀行の財務の健全性をチェックすると、こういう役割であるわけでございます。  検査におきましては、銀行側との議論を経まして、銀行側と検査官との間で共通の認識に至ったものを結論として採用するというのが一般的な進め方でございまして、仮に共通の結論に至らなかったというものについては、例えば意見申出の制度といったものがあるわけでございます。  引当金の算定について基準があるのかどうかという御指摘につきましては、これは公認会計士協会の実務指針やあるいは金融検査マニュアルで標準的な算定の方法というものが定められておりまして、各債務者区分ごとにその回収の危険度に応じてそれぞれ定められた標準的な手法がございまして、これに沿ってチェックをしているということでございます。

○谷博之君 時間が来ましたので、最後に私のこの問題に対する要望を含めた考えを述べておきたいと思いますけれども。  実は、この足銀の問題の前に、ペイオフ、以前にペイオフ解禁を前にして、既に栃木県の県内の信金、信組の五行が実はつぶれております。そういうふうな状況の中で、大変県内のまず企業が第一ラウンド、そこで影響を受けた。そして、その後、言うならば今度の足銀のこういう状況が、破綻が生まれてきたということであります。  私は、そういう点のローカルな地域の経済というのは一つの銀行だけではなくて連動してそういうふうないろんな動きにすべて影響してきているということをすごく感じております。したがって、今後、心配されますのは、この足銀の問題が他の県内の金融機関にどういう影響をまた及ぼしていくのかということが非常に心配でありますし、これは単に栃木県だけの問題ではないと思いますね。そういうすべての地域の経済の、あるいは金融の状況からすると、そういうことが起き得る、起こり得るということを非常に心配をし、危惧をしているところです。  たまたま私のところにある方からメールをいただきまして、今回のこの足銀のケースをこのようにこの方は言っているんです。病気を治すと言って陰で劇薬を強制的に飲ませ、体力がありません、治りません、こう言って集中治療室で徹底して治療していると、こういうことですね。つまり、治す治すと言いながら、結局、そういうことではなくて、むしろ逆の方向で劇薬を飲ませて、結局、体力を弱らせている、こういうふうなことで県民の皆さんはこの足銀問題については見ておられるということですね。  そういう点も、私は非常に鋭い指摘だなというふうに思っておりまして、本当であれば、こうした県内の中小企業の皆さんやあるいは県民の皆さんの生の声を一つ一つこの場で御披露させていただいて、その無念な思い、そして厳しい窮状を訴えながら、国やあるいは関係機関の責任を問いたいと、こういう気持ちで実は用意をいたしましたけれども、質問項目が多い関係で羅列的な質問になりましたことをお許しをいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。



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