2002年2月13日
場所:谷博之東京事務所(参議院議員会館)
○谷:ツルネンさん、これはどうも。まずは夏の選挙の時の写真をプレゼントします。
○ツルネン:これはどうもありがとうございます。
○谷:今日はお忙しいところお越しいただき、本当にありがとうございます。これから参議院でいっしょに活動していく上で、この機会にぜひ意見交換をさせていただきたいと思いまして。まずは、民主党の改革の方向性について伺いたいのですが。ツルネンさんのホームページなどを拝見したのですが、民主党への提言をいろいろされているようですが。どこが問題で、どこを改革するべきと考えてますか。
○ツルネン:民主党のために言っているので、鳩山さんにも、またシンクタンクなどでも、堂々と言っていまして、別に隠れて言っているわけではないのです。(笑)
1つは大橋さんが言ったように、しがらみを持つ議員がどうしても多い。たとえば労組。1つの労組で1人の候補を推薦するとなれば、政策面で完全なフリーにはなれないのではないでしょうか。今の選挙制度は問題で、1つの地域で、複数の労組が勝手連的に1人の候補をいっしょに応援するような形がいいのではないでしょうか。
もう1つは、党内に派閥結成の動きがあることです。勉強会はいいですが、秋に代表選があるとはいえ、この人を中心に党を変えようと派閥形成の動きがあることは、市民から見ると、まるで自民党と同じように見えてしまいます。実はすでにいろんなところから、私たちのグループに入ってほしいと言われるんです。しかし、私は当面はしっかりと国会の活動に取り組みたいと申し上げて、どこにもお断りしているのです。単なる勉強会ならいいんですが・・・。市民から見るとどうしても理解できない。
3番目は、どうも民主党は地域の声を聞かない面があります。どうしてもトップダウンが多い。幹部がこう決めたから、ということが多いように思います。たとえば地域の県連の意見を聞くとか。一般の党員からというのはなかなか難しいとは思いますが、谷さん、どうですか?
○谷:私もツルネンさんの意見に同感です。特に民主党が国民の信頼を得て、政権政党に脱皮できないのは、いまおっしゃったように党として本当の意味でまとまっている印象を与えていないことがあると。それから民主党は地方によって強いところと弱いところがありますね。県によっては組織のないところさえあるわけで。
○ツルネン:そうですね、あっても労組のみとか。
○谷:そうですそうです。そういう特に縦割りの組織しかないところは、ツルネンさんも選挙の時行かれたからよくご存じと思いますが、選挙は大変だったんじゃないでしょうか。自民党は、その点地方でしっかり組織をがっちりつくっていますよね。しかし民主党は地方へ行くほど弱いところがありまして。どんな所にも民主党の潜在的な支持者がいるはずなのです。
それから政権を担う政党としては、総合デパート的な面ももちろん必要なのですが、特にたとえば環境など重視する施策を持つ面もあっていいんじゃないかと思います。
そこで次の話題に移りたいのですが、環境ですね。ツルネンさんは環境政策にご熱心で、EM菌を活用したゴミのリサイクルなど熱心に取り組んでおられますね。他にも環境税や経済ゼロ成長など、いろいろご提言されているようで。ただ環境といっても大変広いですね。民主党の限界を乗り越えるために、環境政策での方向性はどんなふうに思っていますか?
○ツルネン:そうです広いですね。エネルギーなんかも入ってきます。私が言っているのは、「環境と経済の両立」ということです。それは経済成長至上主義からの脱却ということですね。民主党は理念として言うには言っているが、具体的な施策としてはまだまだですね。成長率が1%とか3%ないとだめということはないんだと思いますよ。「足るを知る」。と私はよく言っているんです。欧米ではゼロ成長でもよいという考えがあります。
これはよく説明しないと誤解されるんですが、仕事がなくなって失業してしまうとかですね。しかし物質的な豊かさではなく、生活の豊かさをめざせば、たとえば全ての生ゴミを肥料に変えれば新しいビジネスにもなるということなんです。企業はもはや環境優先にならないと成り立たないし、市民の意識もそうなっています。いかに経済成長から経済発展に発想を変えていくかということなんです。
マイナス成長では問題ですが、民主党はまだまだゼロ成長社会実現のための政策に乏しいんではないでしょうか。日本のサラリーマンはずっと今日と同じ給与でも、海外旅行にも行けます。今のままで十分ではないですか。環境回復を考えるとその方がずっといいということです。ゼロ成長、経済発展がいいんだと思うんですが、谷さんはどう思いますか?
○谷:確かに成長成長と言って、前の年よりも成長することをめざさないといけないというのでは、環境に対する負荷は増えますよね。果てしない経済競争的なものだけが増えるような。従来の生活をいかに持続するか、そしてどうやって中味を豊かにするかということですよね。20世紀だけ見ても私たちはずいぶんと地球を汚してしまった。21世紀の次の世代にどうつなげていくか、そう考えると、持続可能な限りの豊かな、社会、循環型社会、経済に変えていくことしかないんじゃないかと思います。自然エネルギーや温暖化対策、環境税の使途なんかもそういう方向で考えてですね。
○ツルネン:スカンジナビア諸国では、環境税はかなり成功しています。これらもぜひ参考にしていきたいと思います。それから私がいつも申し上げているのは、国民のトータルの税負担を増やさないということです。たとえば消費税を減らして環境税を増やすとか、国税を減らし、地方税へ回すとか。こういった税制の改革が、意識改革につながるんだと思うのです。新しい生き方を見つけるために。どういう形がいいかは諸外国の事例も含めて、みなさんといっしょに、これからもっと具体的に研究していきたいと思います。
それからもう1つ、いいですか。これからみなさんに提案したいと思っているのは、家庭の生ごみの堆肥化に関して議員立法したいということなんです。食品メーカーやスーパーは義務づけられていますよね。しかし家庭に義務づけることは大変なことです。そこで、家庭からのごみを自治体が堆肥にするか、エネルギーにするか、とにかく生ゴミを再利用するようにしていかないと。しかし、これは公共事業ですが、コストは増えないんですね。どういうことかと言いますと、たとえば神奈川県の湯河原町では、新しい焼却炉を10年ローンで80億円で購入してしまいました。残念ながら。しかしもしこれは、生ゴミも燃やそうとするらこんなに大きい設備が必要になるんですね。生ゴミを燃やさなければ、これは60億円で済んだと私は思います。そして生ゴミを堆肥にすることは、20億円で十分にやっていけるんです。韓国のプサンではこのことで成功しているそうで、視察に行こうと思っています。EMの関係者の話では、200万世帯の生ゴミを行政が全部堆肥化しているそうです。
○谷:EM菌の活用については、栃木県でも益子などで地域ぐるみで環境に熱心なリーダーが取り組んでいたり、そしてそれが今では小学校などでもやっていますよ。現場も視察しましたので、よく知っているつもりですし、とても関心をもっているんです。とても具体的な例だと思います。そして、もう1つはそもそも家庭から出るゴミの量をどうやって減らすのかということもあるかと。
○ツルネン:それは可能だと思いますよ。まあ、特に暑いときは、腐ってしまうのをさけるのに、家庭でゴミを出す前にバケツの中にEMの粉をふりかけてボカシにすれば、発酵しますから、問題がないのですね。もちろん工場設備が必要ですから、行政的にこういった方法がいいかどうか、自治体によっても違うと思うんですね。
○谷:そうですね、全体ですぐやるというのは難しいでしょうから、まずできるところからということですかね。
○ツルネン:そうです、パイロット地域を探したいですね。民主党でこれから、リサイクルについての勉強会を呼びかけますので、ぜひいっしょにやりましょう。
○谷:ぜひ参加します。ところで、自然環境の問題についてもちょっとお聞きしたいと思っていまして。昔から日本では「山紫水明」と言ったものですが、最近では環境汚染がはなはだしいわけですね。ツルネンさんは栃木県についてはいろいろご存じです?
○ツルネン:いえ、残念ながら、キャンペーンの時とか、講演で行ったくらいでして・・・。
○谷:湯河原も自然が豊かでしょうが、栃木県も日光など自然が豊かなんですね。県土の58%が緑に覆われています。ツルネンさんはフィンランドから日本に帰化されたわけですが、お国と比較して、日本の自然への思いはどうでしょうか。
○ツルネン:フィンランドと日本がほぼ同じなのは、森林が国土の65−70%を占めているということです。しかしかたやフィンランドは林業の輸出国でして、人口比では世界一です。しかし日本は木材輸入国なんですね。日本はいろんな意味で森林を活かし切れていないです。もちろんフィンランドは平地で、日本は山がちでして、コスト面では難しいかと思います。林業の大変な赤字も言われています。しかし赤字だからといって、林業はだめだというのでは、いけないと思います。森林は、日本の環境のためにも大切なので、お金をかけてでも森林を守っていくことが重要ではないでしょうか。自然を活かすということです。グリーンツーリズムというのをご存じでしょうか、都会の人が、田舎に宿泊して、地域の人と交流して、そして子どもたちもいっしょになって、家族で農作業や林業を体験するものですね。こういったことの受け皿が必要ですね。日本ではまだスタートしたばかりです。「自然との共生」のために、どのようなシステムを作っていくか、ぜひいっしょに考えましょうよ。
○谷:そうですね、私たちは、環境委員会でとなり同士になると思います。委員全部で21人のうち、確か6人が民主党です。私は巨泉さんと隣だったもんですから・・・。
○ツルネン:そうですか。谷さんとは考え方の方向性が同じなので、心強いですね。
○谷:ありがとうございます(笑)。私は、昨年の国会から、野生生物保護の問題や外来の移入種による在来種の絶滅などの問題にも取り組んでいまして。こういったことに大変熱心に市民団体が活動していますもので。
○ツルネン:そうですか、ぜひいっしょにやっていきたいです。
○谷:最後になりますが、選挙の時、演説を聞いていたんですが、選挙年齢の引き下げをご主張されていますよね。フィンランドのお話などされていたのを思い出したのですが・・・。
○ツルネン:そうですね、西洋の多くは18歳からになっていますよ。
○谷:今日集会があったんで聞いてきたのですが、世界の6割がそうなんだそうですね。一方で日本は民法、刑法など、結婚の時親の同意必要とか、すべてが同じ20歳になっていまして、選挙権を変えるとなると、そういった全てを変えなきゃならないかという議論もあるんですね。ぜひツルネンさんも次回からこういった集会に参加をしていただいて・・・。
○ツルネン:いや、このことは忘れてましたよ。これからマスコミでもどんどん伝えていきたいと思います。良いチャンスですから。フィンランドでは、高校の中で政治教育が行われていまして、政党のクラブさえあるんですね。たとえば自民党クラブとか。そうして18歳で卒業して、投票率は6割になるんです。しかし日本ではこんなことはタブーですね(笑)。もちろん学校教育で特定の政党を応援するのは問題ですが・・・。
○谷:それから民主党のことですが、私も勉強することは大いに結構なことだと思っていますが、派閥的な動きは問題だと思います。党ではしっかりと議論を尽くして、党議拘束の問題もありますが・・・。
○ツルネン:私は党議拘束は参議院でははずすべきだと思います。予算や外交は例外としてですが。しかし、今あるルールには従いたいと思います。もちろん議論は大いにしたいですね。
○谷:今日は本当にありがとうございました。