国会活動報告 参議院総務委員会

2006年12月12日 シベリア抑留補償関連法案について提案理由説明

165-参-総務委員会-10号 2006年12月12日(未定稿)

○委員以外の議員(谷博之君) ただいま議題となりました戦後強制抑留者に対する特別給付金の支給に関する法律案及び独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律を廃止する法律案につきまして、共同提案者である民主党・新緑風会、日本共産党、社民党・護憲連合を代表して、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。  戦後六十一年がたち、また、今月は、一九五六年の日ソ共同宣言によって最後のシベリアからの引揚げ船が舞鶴に入港してからちょうど五十年目に当たります。四五年八月十五日に戦争が終わり、日本軍の武装解除が行われる中、スターリンの極秘指令によって、旧ソ連・モンゴルの地域に五十七万人以上に上る方々が連行され、過酷な寒さと飢え、医薬品の不足などに苦しみつつ、長期間にわたって抑留され、強制労働に従事させられたのがいわゆるシベリア抑留でした。そして、そのような悲惨な状況の中で、抑留された方々の約一割に相当する六万人前後が亡くなったとされています。これは、戦闘中の死亡、突発的な災害や事故の中で起きた犠牲ではなく、日本に帰す、ダモイ・トーキョーなどとだまされて、拉致・強制連行され、奴隷労働を強いられた結果、人為的に引き起こされた静かな大量死でした。シベリア抑留は、武装解除した日本兵を早期に帰国させることを定めたポツダム宣言に違反し、捕虜の取扱いに関する当時の国際法規にも反した重大な拉致事件、人権侵害事件でした。  南方地域で捕虜となった方々は、帰国後、国から、捕虜であった期間中の労働賃金の支払を受けることができました。しかるに、シベリア等で戦後強制抑留された方々への補償問題は戦後半世紀以上もの長きにわたって未解決のままであり、国はそれに対する補償を避け、平和祈念事業特別基金を通して、抑留された方々のうち、約十八万人の恩給欠格者には一人十万円の慰労金、銀杯と感謝状、約十三万人の恩給受給者には銀杯と感謝状を支給するにとどまってきました。当然、抑留された方々の大半が納得していません。裁判所に訴えたり、様々な運動や訴えを重ねてこられ、今日に至っています。  捕虜を強制抑留し、人権を侵犯した旧ソ連側は、九三年に来日したエリツィン初代ロシア大統領が深甚なる謝罪を表明しています。しかし、請求権については日ソ共同宣言で相互放棄していることから、その補償については国内的に措置するほかはありません。九七年の最高裁判決も、戦後強制抑留された方々に対する補償の要否及び在り方については、立法府の総合的政策判断にゆだねられるものとしています。  さらに、最長十一年にわたる収容所での抑留から解放されて帰国した後も、多くの方々がシベリア帰りというレッテルを張られて、GHQの指令で公安の監視下に置かれ、就職など差別を受け、大変な苦労をされて戦後を生きてこられました。このような戦後の特殊な境遇は、日本社会によってもたらされた不利益あるいは差別であり、そのことについて今日まで社会として十分な反省がなされてきたとは言えません。未払賃金の問題だけでなく、本邦帰還後の状況や、以上の問題を長年放置してきたことについても、日本社会全体として認識し、戦後強制抑留された方々に対し可能な限りの慰藉を行うべきであると考えるものであります。  抑留された当事者の方々の平均年齢も現在八十四歳前後となっており、存命の方々は推定で十一万人弱と言われ、さらにその数は減ってきています。このようなことからも、国として、速やかに適切な措置を講ずる必要があるとの考えに基づき、戦後強制抑留者に対する特別給付金の支給に関する法律案を提出させていただいた次第です。  この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  この法律は、戦後強制抑留者が、戦後、酷寒の地において、長期間にわたって劣悪な環境の下で強制労働され、多大の苦難を強いられたこと、その間において過酷な強制労働に従事させられ、また、それにもかかわらず当該強制労働に対する対価の支払を受けていないことなどの特別の事情にかんがみ、あわせてそれらの者が本邦に帰還した後の状況等についても考慮し、戦後強制抑留者の労苦を慰藉するため、特別給付金を支給することとしております。  特別給付金は、旧ソ連又はモンゴルの地域において戦後強制抑留された者で日本国籍を有するものに、一時金として支給するものであり、その額は、戦後強制抑留者の帰国の時期の区分に応じて三十万円から二百万円としております。  また、国は、この法律の施行後速やかに、旧ソ連等の地域で戦後強制抑留された者であって日本の国籍を有しないものその他特別給付金支給対象者以外のもの、及び樺太、千島、北朝鮮、旧関東州、旧満州等の地域で戦後強制抑留された者であって戦後強制抑留者と同様の実情にあったものに係る強制抑留の実態調査を行うとともに、その結果等を踏まえつつ、それらの者その他の関係者の労苦に報いる等のための方策について検討を加え、必要な措置を講ずるものとしております。  なお、この法律の施行期日につきましては、平成十九年一月一日としております。  次に、独立行政法人平和祈念事業特別基金等に関する法律を廃止する法律案の概要について御説明申し上げます。  独立行政法人平和祈念事業特別基金につきましては、関係省庁の天下り先となっている、似たような趣旨や目的の施設がほかにもあり税金の無駄遣いであるなど、厳しい批判がなされていることを踏まえ、行政の効率的実施の観点等から、速やかに解散することとし、現在基金により行われております贈呈事業について未申請者の方々への呼び掛けを集中的に行い、事務処理を進めた後、平成二十年四月一日をもって基金等に関する法律を廃止することとしております。  なお、基金が保管する戦後強制抑留者等の労苦に関する資料につきましては、その労苦について国民の理解を深め、かつ、戦争犠牲としての体験を後代の国民に継承することの重要性にかんがみ、その資料が適切に保存されるよう、国は必要な措置を講ずるものとしております。  委員各位には、両法律案の趣旨につきまして十分に御理解を賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。



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