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鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問主意書(第171国会質問主意書第245号) 2009年7月16日 谷博之
鍼灸専門学校の乱立と教育の質の確保に関する質問に対する答弁書  2009年7月24日 内閣総理大臣 麻 生 太 郎

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条に基づき、視覚障がい者であるあん摩マッサージ指圧師の生計が維持できるよう晴眼者に対する教育が規制されているが、法律に規定されていないはり師、きゅう師についても従来は同様の規制が行われてきた。ところが一九九八年に「法に定めのない理由による福岡柔道整復専門学校の不指定処分は無効」である旨の地裁判決が出され、行政による裁量的な規制が制限されたことにより、はり師、きゅう師養成施設の新設・増設が相次いだ。その結果、晴眼者の開業が増え、視覚障がい者は経営を継続することさえ困難な状況にある。このため二〇〇〇年から毎年のように、同法第十九条にはり師、きゅう師の規定を加える法改正を求める請願が国会に提出されているところである。とりわけ厚生労働省が認定権を握る、はり師、きゅう師に係る専修学校は、この十年で施設数で十一箇所から七十九箇所に、定員で六百三十五人から五千三百九人に急増しているが、その急増した新施設における教育の質が、しっかり確保できていないのではないかとの疑念が生じたので、以下質問する。

一 はり師、きゅう師に係る専修学校の新規開設・定員増に関する認定業務においては、厚生労働省本省はほとんど関知せず、地方厚生局に権限を委ねており、かつその地方厚生局は都道府県に丸投げして、設置者は都道府県と事前相談、事前審査をしていると承知している。都道府県が受理し、地方厚生局に進達した設置(変更)計画書のうち、地方厚生局が審査した結果、計画書の内容の改善・変更を求めたケースは過去十年間であるか。あればその件数を都道府県毎に明らかにされたい。
(答弁)

一について
 お尋ねについては、平成十六年度は、宮城県で一件、静岡県で三件、宮崎県で一件の事例が、平成十七年度は、岩手県で一件、大分県で一件の事例が、平成十八年度は、静岡県で一件、長崎県で一件の事例が、平成十九年度は、愛知県で一件、長崎県で二件の事例が、平成二十年度は、静岡県で一件、石川県で一件の事例がある。

二 同様に、都道府県が受理し、地方厚生局に進達した新規開設・定員増に係る申請書のうち、地方厚生局が審査及び実地調査した結果、認定しなかったケースは過去十年間であるか。あればその件数を都道府県毎に明らかにされたい。
(答弁)

二について
 過去十年間に、お尋ねのような事例はない。

三 はり師、きゅう師に係る専修学校の新規開設・定員増に関する認定については、先に述べた国会請願の趣旨も忖度し、その教育の質を確保するために、大学を文部科学省本省が直接認定しているのと同様、厚生労働省本省が主体的に審査に関わり、同時に審査内容を厳格化するべきではないか。
(答弁) 三について
 地方厚生局においては、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号。以下「法」という。)等に基づき、厳格かつ適正な審査を行っているところであり、御指摘のように厚生労働省本省が直接審査に関与したり、審査内容を厳格化する必要はないものと考える。
四 はり師、きゅう師に係る専修学校の新規開設にあたり、専任としての調書及び承諾書が提出された教員が仮に週一コマしか授業を持たない上、カリキュラムの策定にも関与せず、他方鍼灸師として開業していて、主な収入は鍼灸業から得ており、かつ他校で兼任教員として教えていた場合であっても、これを認めないこととできる、その他の合理的認定基準或いは法令上の根拠はないのではないか。
(答弁)

四について
 法第二条第一項に規定する厚生労働大臣の認定については、あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゆう師に係る学校養成施設認定規則(昭和二十六年文部省・厚生省令第二号)第二条第七号において、専任教員に係る認定基準を定めているところであるが、「学校教育法の一部を改正する法律等の施行について」(昭和五十一年一月二十三日付け文管振第八十五号文部事務次官通達)において、専任教員は、「専修学校の教育に本務として従事する者をいい、具体的に当該教員が専任の教員であるかどうかは、当該専修学校における勤務時間、給与等により総合的に判断すべきであるが、少なくとも二以上の専修学校の教員を兼ねている場合には、一の専修学校において専任の教員とみなされれば、他の専修学校では兼任の教員とみなすべきものであること」とされており、御指摘のような場合についても、これらに基づいて判断することとなる。

五 新規開設時に調書及び承諾書が提出された専任教員が、当該地方厚生局の管轄外の地域に所在する専修学校で専任として勤務していないかどうか、当該地方厚生局では調査しているか。
(答弁)

五について
 地方厚生局においては、お尋ねのような調査は行っていない。

六 新規開設時に調書及び承諾書が提出されていた専任教員が、その後他者に交代した場合、設置者は変更届を出す義務が課されていないことは不適当ではないか。
(答弁)

六について
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行令(平成四年政令第三百一号。以下「令」という。)第四条において、法第二条第一項に規定する厚生労働大臣の認定を受けた養成施設の設置者(以下「設置者」という。)は、毎学年度開始後二か月以内に、教育の実施状況の概要等を厚生労働大臣に報告しなければならいこととされており、厚生労働省としては、当該報告に基づき、専任教員の実態等を把握しているところである。したがって、御指摘のように変更届の義務が課されていないことが不適当であるとは考えていない。

七 新規開設後一年以内に一回、及びその後は定期的に、学校の同意の下、地方厚生局による立ち入り調査が行われていると承知しているが、その際、定員に応じて定められた専任教員数が充足しているかどうか、どのように調べているのか。講義録や学校日誌、出勤簿を調べるとのことだが、それらの書類上、どのような実態が明らかになれば、その教員が専任ではないと判断するのか。
(答弁)

七について
 厚生労働省としては、養成施設での勤務が週に一日にすぎないなどの実態があれば、当該養成施設における専任教員ではないと判断しているところである。

八 新規開設時に在籍していなかった専任教員については、調書及び承諾書の提出を求めていないと聞いているが事実か。もしそれが事実ならば、無資格者や他校他県で専任教員である者による、開設後の「なりすまし」防止策は十分に講じられているのか。
(答弁)

八について
 厚生労働省としては、御指摘の調書及び受諾書の提出は求めていないが、設置者は、令第四条の規定に基づき、毎学年度開始後二か月以内に、教育の実施状況の概要等を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされており、当該報告も踏まえ、専任教員の実態等を把握するなど、御指摘の「なりすまし」の防止策を講じているところである。

九 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行令の第四条及び第五条に基づき、地方厚生局が、在職教員の資格の有無や専任かどうかを調べるための書類を提出させた例はあるか。
(答弁)

九について
 厚生労働省としては、令第五条の規定に基づき、設置者等に対し、報告を求めたことはないが、毎年度、令第四条の規定に基づき、設置者に、教育の実施状況の概要等を報告させているところである。

十 以上で明らかなように、開設後の専修学校の教育の質を確保するための措置は不十分であり、立ち入り調査に法令上の根拠を定めて、在職教員の調書を定期的に提出させるなど、調査内容を厳格化するべきではないか。
(答弁)

十について
 地方厚生局においては、養成施設の審査を厳格かつ適正に行っているところであり、御指摘のような調査内容の厳格化を行う必要はないものと考える。

十一 現在全国に七十九箇所ある専修学校について、規制緩和後十年を節目とし、教員の資格の有無、専任としての実態について報告を求め、必要に応じて立ち入り調査を行って、教育の質が確保されているのかどうか検証すべきではないか。
(答弁)

十一について
 設置者は、令第四条の規定に基づき、毎学年度開始後二か月以内に、教育の実施状況の概要等を厚生労働大臣に報告しなければならないこととされており、厚生労働省としては、当該報告に基づき、教育の質が確保されているかどうか確認しているところである。したがって、御指摘のような検証を行う必要はないものと考える。


質問主意書とは?

国会議員は、会期中、文書により国政一般について内閣に質問することができます。議長が承認した質問主意書は、次の月曜日か水曜日に内閣に転送され、その日から7日以内に内閣は答弁書を作成し、送付しなければなりません。また質問主意書及び答弁書は全議員に配布し、本会議録や参議院HPにも掲載されます。


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