谷博之国会活動
| シベリア抑留の真相究明に関する質問主意書(第164国会質問主意書第70号) 2006年6月9日 谷博之 | |
| 参議院議員谷博之君提出シベリア抑留の真相究明に関する質問に対する答弁書 2006年6月20日 内閣総理大臣 小 泉 純 一 郎 | |
本年四月一八日は、ミハイル・ゴルバチョフ旧ソ連邦大統領が、初めての公式な「ソ連邦抑留死亡者名簿」を持参して初来日し、両国の外務大臣が捕虜問題の早期解決を目指して「捕虜収容所に収容されていた者に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定」(以下「本協定」という。)を締結してから十五年目に当たる。さらに、本年一二月二六日は、シベリアからの最後の引揚船「興安丸」が舞鶴港に入港してから五十年目に当たる。このように本年は歴史の節目に当たる年であり、この人類史上未曾有の大拉致事件であるシベリア抑留の真相究明に政府を挙げて全力で取り組むべきであると考える。 そこで、以下質問する。 一 私が提出した「北朝鮮に移送されたシベリア抑留者に関する質問主意書」(第百六十三回国会質問第二十五号)に対する二〇〇五年一一月一一日付け答弁書(以下「本答弁書」という。)において、一九九一年に旧ソ連邦から提供された「ソ連邦抑留死亡者名簿」等は、各都道府県窓口で一般閲覧に供しているとある。しかし、実際に山形・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川・岐阜・三重・大阪・山口・福岡・佐賀の十二都府県の窓口で元抑留者が閲覧を求めたところ、閲覧できたのはわずかに東京だけだった。他はいろいろ閲覧に条件を付けたり、中には県の公文書館にしまって窓口に置いていない所もあった。半ば非公開に近い扱いで、資料も完備されておらず、窓口の職員も資料公開の意味を理解していなかった。このことは、前回の答弁書が虚偽の答弁書だったことにならないか。 |
|
| (答弁) | 一について 平成三年に旧ソヴィエト社会主義共和国連邦(以下「旧ソ連邦」という。)から提供された「ソ連邦抑留死亡者名簿」(以下「旧ソ連邦名簿」という。)及び同年にモンゴル人民共和国から提供された「モンゴル抑留死亡者名簿」(以下「モンゴル名簿」という。)については、厚生労働省としては、同年に各都道府県に対し、一般の閲覧に供するよう要請したものであるが、必ずしも十分な対応が行われていなかったため、本年二月に各都道府県に対し、旧ソ連邦名簿及びモンゴル名簿(以下「旧ソ連邦名簿等」という。)を一般の閲覧に供することを改めて要請したところである。 |
|
二 厚生労働省は、一で示した一般閲覧に供する業務は地方自治法附則第十条に定める事務に当たることから、地方自治法第二条第八項にいう自治事務であると私に回答している。しかし、戦争責任を第一義的に担うべきは国であり、また、電子政府推進の観点からも、なぜ都道府県庁での閲覧のみでインターネットでの情報開示を行わないのかが疑問である。その理由を明らかにされたい。 |
|
| (答弁) | 二について 厚生労働省としては、平成三年から旧ソ連邦名簿等について一般の閲覧に供してきたところであるが、旧ソ連邦名簿等のインターネットの利用による公表については、今後、検討してまいりたい。 |
|
三 本答弁書において、一般閲覧に供しているものは「『ソ連邦抑留死亡者名簿』等」であるとされているが、名簿の他にどのような資料が一般閲覧に供されているのか。また、シベリア抑留関係以外に、地方自治法附則第十条に基づき地方自治体が今日行っている業務を列挙されたい。 |
|
| (答弁) | 三について 御指摘の「一般閲覧に供しているもの」は、旧ソ連邦名簿等である。 また、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)附則第十条第一項の規定により、都道府県においては、軍人軍属であった者の身上についての照会に応ずる事務、恩給の請求のための履歴証明の事務等が行われている。また、同条第三項の規定により国が都道府県に交付決定した額は、平成十三年度が約九百六十万円、平成十四年度が約八百八十万円、平成十五年度が約八百五十万円、平成十六年度が約八百五十万円、平成十七年度が約八百五十万円である。 |
|
四 今日まで本協定に基づく事業実施のために日本政府が支出した総額を示されたい。 |
|
| (答弁) | 四について 捕虜収容所に収容されていた者に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定(平成三年外務省告示第三百十一号。以下「協定」という。)に基づく遺骨の収集、墓参等に係る政府の支出額については、それ以外の遺骨の収集、墓参等に係る政府の支出額と一体的に経理しており、平成三年度から平成十二年度までの額についてお答えすることは困難であるが、平成十三年度から平成十七年度までの額の合計は約十一億三千万円である。 |
| 五 本協定に基づく旧ソ連邦の捕虜収容所に収容されていた者(いわゆるシベリア抑留者)に関する日ロ協議は、第一回が二〇〇三年一〇月、第二回が二〇〇五年二月に行われている。このような協議はもっと早く行われるべきだったと考えるが、なぜ協定から十二年もの歳月が必要だったのか。また、どのような情勢の変化から、二〇〇三年に第一回の協議が実現できたのか。 | |
| (答弁) | 五について 協定に基づく措置の実施については、これまでも、日本側関係省とロシア側関係省庁・機関との間で個別に資料提供等に関する打合せ等が行われてきたが、日本側からロシア側に対し、これらをさらに効果的に実施するためには、日本側関係省とロシア側関係省庁・機関のすべてが一堂に会する協議を行うことが必要である旨日本側からロシア側に提案した結果、平成十五年十月に御指摘の協議が実現されるに至った。 |
|
六 過去二回の協議はいずれもポツダム宣言に遡る歴史的認識の共有などについての話し合いがなされたと承知しているが、これは、戦後六十年、二十一世紀にもなって未だに本協定の歴史的背景さえ共有されていないことを意味し、これまで両国がこの問題に真剣に取り組んでこなかったことの証左である。今後第三回、第四回の協議を早急に開催していくために、日本政府としてどのような取組を考えているか。 |
|
| (答弁) | 六について 政府としては、ロシア側に対し、いわゆるシベリア抑留について早急な対応を引き続き求めていくとともに、協議を早期に開催するよう引き続き申し入れていく考えである。 |
| 七 本協定を履行するに当たって、ロシア政府はこれまでどのような体制を組んできたと政府は承知しているか。類似の事例として、日本の厚生労働省は韓国政府の要請を受けて、戦時中の朝鮮人徴用者遺骨捜索のために人道対策室を設置している。ロシア側は本協定履行のために何という組織が責任主体になっていて、何人体制なのかを具体的に示されたい。また、ロシアの外務省、国防省、内務省等がばらばらに対応しているのでは進展がないので、大統領府に真相究明本部を設置させるなど、責任ある実施体制の構築をロシア政府に強く求めていくべきではないか。 | |
| (答弁) | 七について 外務省においては、ロシア連邦政府では、外務省が窓口となって、内務省、国防省、ロシア国立軍事古文書館等の関係省庁・機関がいわゆるシベリア抑留問題に取り組んでいると承知しているが、お尋ねの「何人体制」であるかについては、ロシア連邦政府の内部の問題であり、お答えすることは差し控えたい。政府としては、ロシア連邦政府に対し、いわゆるシベリア抑留について責任を持って対応するよう求めてきている。 |
|
八 本協定によってもたらされた資料・情報によって、「シベリア抑留」が行われた理由・背景・実施のメカニズムなど明らかになった実態を示されたい。 |
|
| (答弁) | 八について お尋ねの意味が必ずしも明らかではないが、ロシア連邦政府は、協定に基づき、日本人死亡者の名簿及び埋葬地に関する資料等を日本国政府に提出している。 |
|
九 日本人捕虜及び抑留者の強制労働が、戦後旧ソ連邦社会の建設に寄与・貢献した総額はどの程度と推定しているか。円換算にて示されたい。 |
|
| (答弁) | 九について 外務省においては、御指摘の「戦後旧ソ連邦社会の建設に寄与・貢献した総額」が何を意味するか必ずしも明らかではないので、お答えすることは困難である。 |
|
十 すでに多数の日本人捕虜・抑留者の個人情報が届き、ロシア側も労働証明書を民間団体の求めに応じて発行している。政府は捕虜・抑留者全員の労働証明書の発行をロシア政府に求めるべきではないか。求めないのであればその理由は何か。 |
|
| (答弁) | 十について 外務省においては、御指摘の「労働証明書」については、ロシア連邦政府が抑留者個人の要請に基づいて発給したものと承知している。 |
|
十一 昨年届いた北朝鮮逆送者名簿に関連して、北朝鮮逆送者名簿二万七千人のうち、現時点で何人の身元が判明し、そのうち帰国できずに死亡した者が何名で、生きて帰国された者が何名いたことがわかったか。また、照合できた事実について、御家族には伝えたのか。 |
|
| (答弁) | 十一について 平成十七年にロシア国立軍事古文書館から提供された旧ソ連邦の地域に抑留された邦人(以下「旧ソ連邦抑留者」という。)であって北朝鮮の地域に移送されたものの名簿(以下「移送者名簿」という。)に記載された者のうち、身元が特定された者の数は、現在のところ十七名であり、その内訳は、本邦に帰還せず死亡した者が七名、本邦に帰還した者が十名である。また、本邦に帰還せず死亡した者の遺族等への通知は、現在のところ行っていないが、当該遺族等が判明した際には行う予定である。 |
| 十二 これまで私が把握するところによれば、北朝鮮以外に旧満州にも病弱者が逆送されている。いまだに行方が不明である者の名簿や情報に関して、早急に中国や北朝鮮に協力を申し入れるべきではないか。 | |
| (答弁) | 十二について いわゆるシベリア抑留については、これまで、ロシア連邦政府から関連の資料が提供されてきており、引き続き、同政府に関連の資料の提供を求め、いわゆるシベリア抑留の実態の把握や死亡したいわゆるシベリア抑留者の身元の特定等の作業の進展に努めていく考えであるが、お尋ねについては、移送者名簿に記載された者の身元の特定の作業の進ちょく状況等を見つつ、今後、対応を検討していく考えである。 |
| 十三 平和祈念事業特別基金によるシベリア抑留者への慰労金支給事業において、いわゆる逆送者、つまりシベリアから逆送後、北朝鮮や旧満州の港から日本へ帰還した方から慰労金支給申請がこれまで五百六十一件あり、そのうちシベリアに送られたという証明ができて慰労金を支給した件が七十件あったと承知している。すなわち、総務省は今年四月に私に対して、残り四百九十一件については、旧ソ連邦に送られたという証明ができずに、現在でも却下せずに控えを保管し申請原本は本人に返していると回答している。厚生労働省が保有する北朝鮮逆送者名簿に照会をかけ本人と特定できれば、シベリア抑留が証明できるので、慰労金は支給されるべきと考えるが、四百九十一件の照会結果はどのようなものだったか。 | |
| (答弁) | 十三について いわゆるシベリア抑留者に対する慰労金の支給に関し、お尋ねの旧ソ連邦又はモンゴル人民共和国の地域において強制抑留された事実について判断が困難な事案については、移送者名簿も判断のための資料になり得ると考えており、現在どのように活用できるのかを検討しているところである。 |
| 十四 『引揚援護の記録 全三巻』(厚生省編・二〇〇〇年発行)の第一巻『引揚援護の記録』資料四十六頁から六十頁に、一九五〇年二月一日付のシーボルト対日理事会議長特別報告が掲載されている。「(捕虜の)四分の一は死亡す」という見出しで、「ソ連からの帰還者による無数の口頭及び書面による質問に基礎を置いた調査では、二十万九千三百人の俘虜の内、五万千三百三十二人が栄養失調と伝染病で死亡している」とある。 すなわち、一九四九年五月二六日時点で、日本人捕虜総数七十万人の約三割にあたる約二十一万人について、GHQ(連合軍総司令部)が確認した死亡者は五万千三百三十二人とある。この五万千三百三十二人の数字の算定方法及び根拠を示されたい。 |
|
| (答弁) | 十四について 厚生労働省においては、御指摘の文書は「対日理事会」において作成されたものであるため、お尋ねの死亡者数の算定方法及び根拠については、承知していない。 |
| 十五 『引揚援護の記録 全三巻』の第三巻『続々・引揚援護の記録』百七十四頁から百七十五頁の表には、昭和三〇年代前半期(一九五五年―-一九五九年)までに判明したサハリン州を含めた旧ソ連邦内の各州別の死亡人員は六万二千六百三十六人と記載されている。この数字の算定方法及び根拠を示されたい。 | |
| (答弁) | 十五について 厚生労働省においては、お尋ねの死亡人員数の具体的な算定方法及び根拠については、調査した限りではこれらを把握することができる資料がなく、お答えすることは困難である。 |
| 十六 昨年一〇月二二日、NHK教育テレビから放送された『北朝鮮に送られたシベリア抑留者たち』の中で元ハバロフスク軍事博物館館長ヴィクトル・カルポフ氏は、「北朝鮮には三万千五百八十四人の日本人捕虜がいた。日本に帰還できたのは二万二千四百三人だから、差引き約九千人の日本人捕虜たちが北朝鮮で亡くなったかもしれない」と述べている。また、『「シベリア抑留」ソ連機密資料が語る全容 スターリンの捕虜たち』(ヴィクトル・カルポフ著・長勢了治訳、北海道新聞社、二〇〇一年三月発行)の二十一頁から二十四頁及び八十二頁から八十三頁で、カルポフ氏は「赤軍後方部隊長参謀の一九四五年一二月二九日時点の資料によれば、極東の部隊には、六十五万百九十四人の日本将兵がいた」「引用した資料を比較対照すると、ソヴィエトの収容所に捕虜でいたとき、九万二千五十三人が死亡した、とすることができる」と述べ、また「(旧ソ連邦の)収容所長が多くの場合、捕虜の給養の悪さの責任を負わされるのを恐れて、収容所内の死亡率のレベルを隠したり、登録データを歪めたりしていたことはよく知られている」とも述べている。 また、『シベリアの日本人捕虜たち―ロシア側から見た「ラーゲリ」虚と実―』(セルゲイ.I.クズネツォフ著・岡田安彦訳、集英社、一九九九年七月発行)の百二十八頁から百二十九頁に作業内容別の日本人捕虜死亡者数が記載されているが、それによると死亡者数は六万千五百三十八人とある。日本政府は、これらロシア側の民間の専門家に接触して、意見や情報を求めたことがあるか。また、私がここで記したこれらの指摘・見解に対して、政府の見解を示されたい。 |
|
| (答弁) | 十六について 御指摘のヴィクトル・カルポフ氏及びセルゲイ・I・クズネツォフ氏に、旧ソ連邦の地域において抑留中に死亡した邦人(以下「旧ソ連邦抑留死亡者」という。)の数等についての意見及び情報は、求めていない。政府としては、旧ソ連邦抑留死亡者については、そのうち約四万人を旧ソ連邦名簿により把握しているが、残る約一万三千人を把握していないため、協定第一条1に基づき、ロシア連邦政府に対し、日本人死亡者の名簿の提出を求めてきている。 また、政府としては、現在のところ、旧ソ連邦抑留者の数については約五十六万千人、旧ソ連邦抑留死亡者の数については約五万三千人と推計している。旧ソ連邦抑留者のうち北朝鮮の地域において死亡した者の数については、承知していない。 |
| 十七 独立行政法人平和祈念事業特別基金が昨年三月に発行した『戦後強制抑留史 第三巻』九十一頁から九十五頁、第四編第三章第四節「シベリアに死体の堆積(やま)を築いた抑留者たち 1ソ連当局の死亡者数の操作」の中には、「シベリア抑留の犠牲者の正確な数はわかっていない」「死亡者数や死亡率には操作が行われる場合があったことをソ連側も正式に認めているということである」「ソ連本国への強制連行以降における死亡者数は、少なく見積もっても十数万人にのぼったと推定される」と述べられている。これまで長年にわたって収集してきた関係資料に基づき、左記についての推定数を示されたい。 1 旧ソ連邦からの引揚者のうち軍人・民間人の内訳の推定人数 2 一九四五年八月九日以降の日ソの直接の交戦で死亡した日本軍軍人・軍属の推定人数 3 旧ソ連邦側収容所に到着するまでの移動中に亡くなった日本軍人・軍属・民間人の推定人数 4 一九四五年八月九日以降に旧満州・朝鮮半島・旧樺太・千島の各地域において、軍から離脱するなどして行方不明になっている日本軍人・軍属・民間人の地域ごとの推定人数 5 元軍人・軍属の引揚者の中で、在職十年以下で軍人普通恩給を受給していない者の推定人数 6 旧満州及び北朝鮮にそれぞれシベリアから逆送された推定人数 |
|
| (答弁) | 十七の1について 「援護五十年史」(厚生省社会・援護局援護五十年史編集委員会監修)の付表「地域別・身分別(軍人軍属と邦人)引揚者数」によれば、「旧ソ連」からの引揚者の数は、平成八年一月一日現在で、「軍人・軍属」が四十五万三千七百八十七人、「邦人」が一万九千百五十八人である。 十七の2から4までについて お尋ねの人数については、把握しておらず、お答えすることは困難である。 十七の5について お尋ねの人数については、把握しておらず、お答えすることは困難である。なお、平成元年十月現在で認可法人平和祈念事業特別基金が行った調査によれば、旧軍人軍属であって年金たる恩給又は旧軍人軍属としての在職に関連する年金たる給付を受ける権利を有しない者の推定生存者数は、約二百五十三万人である。 十七の6について お尋ねの「旧満州及び北朝鮮にそれぞれシベリアから逆送された推定人数」については、旧満州及び北朝鮮別には把握していないが、合計数は約四万七千人と推計している。 |
質問主意書とは?
国会議員は、会期中、文書により国政一般について内閣に質問することができます。議長が承認した質問主意書は、次の月曜日か水曜日に内閣に転送され、その日から7日以内に内閣は答弁書を作成し、送付しなければなりません。また質問主意書及び答弁書は全議員に配布し、本会議録や参議院HPにも掲載されます。
谷博之のメールマガジンはこちらからご覧いただけます。
メニューのページへ戻る