2003年05月30日 代筆による郵便投票制度を創設する公職選挙法改正案について
156-参-政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会-3号
2003年05月30日(未定稿)
○谷博之君 私は民主党・新緑風会の谷博之でございます。 公職選挙法の改正案のうち、特に郵便投票制度の問題について絞って御質問をさせていただきたいと思います。 お手元に配付をしていただいている資料があると思いますが、資料一のALS患者の選挙権侵害に関する国家賠償訴訟、これが行われておりまして、昨年の十一月の二十八日に東京地裁から判決が下ろされました。その判決の骨子案がその資料一でございますけれども、時間がありませんので、それを踏まえて質問をいたしたいと思いますが。 実は、この問題は非常に重要な問題だということを私ども、ちょっと受け止めまして、民主党の中でこの問題に関して、総務そして厚生労働の部会のメンバーを中心にプロジェクトチームを立ち上げまして、不肖私がその座長をやらせていただいておりまして、今日まで六回にわたる検討を加えまして、去る四月三日に民主党の議員立法として参議院にこの法案を提出をいたしました。法案のタイトルは、代筆による郵便投票制度創設のための公職選挙法の改正案と、こういうふうなことになるわけでございまして、具体的にはどういうことを示しているかといいますと、次の資料二を見ていただきますとお分かりのとおり、六つの大きな枠で囲まれておりますが、この右下の部分ですね。自ら投票所等に行けない人で自ら投票の記載ができない人、この部分のこの該当する人たちの投票行為をどうするかという、ここに実は大きな問題があるわけでございます。 我々は、いろいろALS患者の皆さんやあるいはその家族の皆さん、さらには諸外国の具体的な事例などを検討させていただきまして、一定の議員立法を作ったわけでございますが、そのときに実は議論をいたしましたことは、こういう方々に対する投票の救済措置、投票権をしっかり確保するということはどういう方法があるだろうかということを検討いたしました。 まず、その一つは、御案内のとおり、巡回投票によってその投票を行う、もう一つは、今申し上げましたように、代筆による郵便投票制度でこれを実現すると、こういうことだと思うんです。 ところが、この巡回投票制度については、もう過去にも国会でかなり議論をされておりまして、実施上、例えば費用や人員やあるいは選挙期間との絡みでかなりこれは実施上困難があると、こういうふうな見解も出されております。 じゃ、しからば代筆による郵便投票制度でどうかということでありますが、これは例えば自治体の職員などを立会いに据え付けるというか設置して、そういう制度でもしやっていくということになれば、これまた、今申し上げましたように、巡回投票制度と同じようにその費用や人員やあるいは選挙期間との絡みについていろんな問題が出てくるのかなと、こんなようにも考えておりまして、ここらについて総務省として検討されておられれば、その内容をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(高部正男君) 選管の職員等が自宅を訪問するいわゆる巡回投票でございますけれども、この制度につきましては、委員御案内のように、現在の郵便投票制度が復活した昭和四十九年の制度を作るときに大分議論がされたところでありまして、要するに職員が出向いていってそこで投票していただくということになりますと、選挙期間が一つは短いこともございますので、すべての対象者の方々に公平に回るような仕組みが確保できるか、そのための人員が確保できるかどうかといったような問題がございます。 それからまた、その時々でいろんな事情もございますので、例えば交通渋滞で遅れて行けなくて投票できなかったらどうなるのかとか、あるいは離島等で行けなかったらどうなるのか等々、いろんな問題が指摘されて今のような仕組みになっているということでございます。 今回の判決を踏まえまして、私どもも再度この巡回投票というものをどう考えるのかといったような議論をしたところでございますけれども、やはりともかく限られた期間内に出向いていくということになりますと、出向く職員も一人というわけにはいかないだろうと思いますし、それからかなりの対象の方に出向かなきゃいけないということになるものですから、非常に限界があるのではないかというふうに考えているところでございます。
○谷博之君 今の御答弁にありましたように、いわゆる立会いを付けて代筆による郵便投票制度もかなり難しいということでありますね。そうしますと、具体的に、じゃ、これをどう実現するかということになると、我々が提出した民主党の議員立法のように、少なくとも罰則をきちっと定めて、そしてその公平性を確保、担保する、これしかもうないと思うんですね。これは一つの意見としてお聞きいただきたいと思いますが。 そして、その内容についても、時間がありませんので省略いたしますが、今度はその次に、その対象者の範囲と認定の問題があると思うんですね。少なくとも我々が出している法案の中身というのは、身体障害者福祉法上の障害者手帳を保持している者、ここを中心にしてその救済措置ということで考えているわけでありますけれども、もしそれ以外の、例えば介護度五のようないわゆる寝たきりのお年寄りの皆さん方、そういう者を対象にしていくというふうなこと、いろんなことを考えたときに、その対象者というのは広いと思うんですね。こういう人たちに対する認定の仕方についてどうするかということについて、これまた検討されておられれば、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(高部正男君) 委員御案内のように、現行の郵便投票の対象者というのは、過去の経緯にかんがみまして、身体障害者手帳という客観的に認定されたものに基づいて郵便投票証明書を発行する、こういう形にさせていただいているところでございます。 これを対象を広げるということになりますと、やり方としては、かつての制度のように、例えばお医者さんの認定にかからしめるとか、あるいは個別に選管が認定するというようなことが一つ考えられるわけでございますが、やはり個別に選挙管理委員会サイドで対象者を認定するような枠組みを作るというのは、元々選挙管理の専門セクションでございますし、それから、いま一つ、身体障害者手帳をお持ちの方のように症状が固定されている方については比較的容易なわけでございますけれども、特に問題になります寝たきり老人とかその他の方々ですと、症状が固定していないようなときにどうやっていくかというのはなかなか選管サイドでは困難だろうというふうに考えるところです。 そういうことになりますと、我々といたしましても、委員御指摘がございましたように、介護保険制度といったような福祉、保健のセクションでの一定の仕組みをこの選挙の世界にも持ってこれないかという枠組みで検討させていただいたことがございまして、介護保険についても、新たに制度ができましたので利用できないかということを検討させていただいたところでございますけれども、現在の郵便投票というのは投票所に行けないという視点で対象者を限定する仕組みになっておりまして、これも御案内かと思いますが、介護保険の場合ですと、介護に要する時間という視点で等級が定められているというようなことがございまして、今の時点で申し上げますと、私どもとしてこれを直ちにそのまま使えるかというと、いろんな課題があるのかなといったような検討をしてきたというのがこれまでの経緯でございます。
○谷博之君 いずれにしましても、全体的に完全にその対象者を認定するということは相当難しいというふうな今の御答弁でございました。 大臣にちょっとお伺いしたいんでありますが、我々が法案として提出しているその内容は、いわゆる身体障害者福祉法上の障害者手帳を保持している者、これを当面対象者として制度改正をすると、こういうふうな考え方を持っております。もちろん、これは全体の、さっき示しましたような右下隅のこの部分の人たちの全部の対象を網羅しているとは言えません。しかし、これは法改正の第一歩としてやっぱりそれは当然私は必要だと思うんですね。 ところが、一方では憲法十四条、十五条、四十四条というこの条文を出して、少なくともそういうことをやること自体が不公平さを拡大することになるんではないかという、こういう議論もあるわけでありますけれども、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(片山虎之助君) この今の在宅投票というんですか、投票所に行かないでも投票できる人の範囲をどうするか。今、身体障害者の方ですよね、これが一つありますよ。これをどうするかというのが一つの問題。それから、そういう方についての投票方法をどうするか、これがまた一つの問題なんですよ。それ、関係ないといえば関係ないですよ。あるといえばあるんです。しかし、直接は余り関係ないんで。
そこで、今、身体障害者の方の投票が自書ですよね。これは過去の経緯がいろいろあって、昔むちゃくちゃだったんですよ。だれが投票したかなんか分からぬ。そういうことで大議論があって自書にしたんですよ。自書できない人もおりますよね。そこでこの間の判決のような問題が起こるので。だから、それをどうやってクリアできるか。代筆になるんでしょうが、代理になるんでしょうが、それをだれがどう認定してどの範囲にするか、本人との意思が同じかという確認をどうやるのか、これを今いろいろ検討しているんですよ。これは、こっちに一方、これはこういうことで検討します。
それから、今のように身体障害者手帳以外の人ですね、今表を作っていただきまして、委員から、それをどうするかはまた別の問題だと私は実は思っているんです。
そういうことの中で、電子投票も地方選挙には認めてきましたし、この辺うまく何かできないかなと、こう思っておるんですが、正直言いましてまだいい知恵がございませんので、ひとつ各党でも御議論いただいて、いいお知恵があれば是非お教え賜りたいと、こういうふうに正直思っております。
○谷博之君 大臣の立場ではそういうふうな御答弁になるんだろうと思いますけれども。 実は私、手元に昨年十一月の東京地方裁判所で出されたその判決についての第一東京弁護士会からこの資料をいただいているわけですが、これは全国会議員の皆さん方にこの資料は送られていると思います。 この判決の中身、これはいろいろ国会がまだ十分この問題について対応していないということでございますけれども、もしも次の国政選挙でも同じようなことが続いていくとすれば、こういういろんなところで我々は当然勉強しなきゃいかぬわけですよ。対応も考えなきゃいけないわけです。にもかかわらず、これをこのままにしておくということになれば、これは国会の不作為に問われる問題が出てくるんじゃないかと思うんですね。 そういう点で、私は国家賠償法上のやっぱり違法性が問われるんじゃないかというふうに、こういうことも実は心配いたしておりまして、大臣おっしゃるように、今から五十年前に大変な不正が起きて、その結果としてこういう制度が一応ストップしたわけですね。ところが、調べてみると昭和四十九年には自筆による投票制度というものは復活しているわけですよ。そういう中で、それは自筆の人であって、書けない人に対するいわゆる選挙権の行使ということができていない。これはやはり、私は、もちろん過去にそういう経過があっても、もう一度やはりこれは、政府、内閣もそうですけれども、国会もそのことについては真剣に議論をしてみなきゃいかぬというふうに考えております。 そういう点で、衆議院の、先週、委員会でもこの我々のプロジェクトチームの阿久津委員が大臣にも質問をいたしまして、大臣も、民主党の案も承知していると、そして方向性は阿久津委員と同じだと、こんなような答弁もされておりまして、大変意を強くしたわけでありますが、我々、この倫選特の委員会もそうでありますし、国会全体がこの問題をもう一度早急に前向きに党派を超えて結論を出すと、こういうことをこれは委員会にも私は要望したいと思いますけれども、政府、内閣の方にも是非そういう動きの中で、余り違反が起きてはあるいはいろんな問題が起きてはということばっかり考えていると私は実現というものは更に遠のいていくと、こういうことを強く感じておりまして、最後は私の意見になりまして、時間がなくて大変恐縮でございますが、是非前向きな御検討をいただきますように心からお願い申し上げまして、質問を終わることといたします。 ありがとうございました。