国会活動報告 参議院農林水産委員会

2007年4月10日 種苗法改正に関連して質疑

166-参-農林水産委員会-6号 2007年04月10日(未定稿)

○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之です。  松岡大臣の顔を拝見いたしますとどうしても電気と水のことを思い出すものですから、事務所費の問題について、質問の前に若干お聞きしたいと思っております。  今度のこの種苗法の改正の中身の第三十六条ですか、そこにこういう条文があります。権利侵害の事実を否認する被告は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならないこととすると、こういうふうに書いてあるんですね。これは、いろいろ疑われるようなことがあった場合にその自らの潔白を証明しなさいと、こういう条文ですね。権利侵害を起こしたそういう疑いのある人、その場合に、そういう疑いが掛けられた人は自らのいわゆる潔白を証明しろと、こういうことですね。  松岡大臣は、ずっとこの間事務所費の問題についていろいろ質問されてきております。この法律の条文と政治資金規正法の法律の条文とはこれは違うわけでありますが、法律の趣旨というのは、これはいずれにしてもそういう基本的には同じことだと思うんです。  今度の法改正でこの種苗法の改正を出してきた責任者の大臣として、この条文を受け止めながら自らの事実を明らかにするというお考えはないんでしょうか。

○国務大臣(松岡利勝君) 事務所費といいますか、先生お尋ねのことにつきましてはもうずっと先般来、予算委員会やまたこの農林水産委員会の場におきましてもお答えを申し上げてきたとおりでございますし、それ以上申し上げることはございませんが、今先生の方から種苗法の改正案の第三十六条のことについて、それとの関連で御指摘がございました。  この種苗法改正案の第三十六条につきましては、これは民事訴訟における原告の挙証責任の特例についての規定でございまして、委員御指摘の点とは観点の異なるものというふうに私は認識をいたしておるところでございます。

○谷博之君 そういうお答えになると予想はしておりましたが、これ一つの具体例ですが、四月の二日に大阪の市民団体から政治資金規正法の違反というふうなことで刑事告発がされております。この告発文を大臣は見られたかどうか、そしてそれに対する感想はどういう感想を持っておられるか、お聞きしたいと思っています。

○国務大臣(松岡利勝君) 事実関係から申し上げますと、私はまだその告発文というのを直接見ておりません。これが事実でございます。ただ、そういったことを報道で、また定例の記者会見のときに御質問がございましたので、それは、そのようなことということについては承知をいたしております。  そこで、これについてどのような感想かということでございますが、もう先般から何度も申し上げておりますように、私は政治資金規正法に基づいて法令の定めに従ってそのとおり対処しているわけでございますから、法律に基づいて対処いたしておると、こういうことでございまして、特段市民団体の方々のその告発文に対して私の方から申し上げることはないというのがお答えでございます。

○谷博之君 その告発状については、これはインターネットに公開されておりますから、全部それを見ようと思えば見られる内容です。ここにその写しがありますけれども、こういうふうな告発状というのは検察の方に問い合わせても明らかにしませんので、相当あるいは幾つか告発状が出されているのかなと、こんな推察もいたしておりますけれども。  いずれにしましても、大臣が一貫してそういう答弁をされておられる。しかし、国民の中にはこの問題は依然として事実が解明されていないというふうに認識を持っている方が多いんです。大臣の地元の方々はどう思っているか知りませんが、私どもの地元の県民の人たちの中には随分そういう意味で大変不信を持っている方が率直に言って多いと思います。ですけど、大臣がそういう答弁をされ続けている限りはこの問題は依然として続いていくというふうにならざるを得ないのであって、大臣の答弁からすると、じゃ政治資金規正法を変えなさいと、変えて公開の義務が出てきたらそれは明らかにするということですから、それまでは結局のところ事実は明らかにされぬまま続いていくと、こういうことにならざるを得ないと思うんですね。  ですから、それ以上の答弁を、これ何回繰り返してもお聞きしても答弁は変わりませんが、しかし、そういう姿勢が国民の中に相当不信を呼んでいると、こういうことだけは是非大臣としてそのことは頭の隅に入れていただいて、そして我々はこれからも事実が明らかになるまでこの問題は追及をしていきたいし質問をしていきたいと、このように考えております。  種苗法の改正の質問に移りたいと思いますけれども、先ほどの岩永委員の質問と相当数これ重なっておりまして、同趣旨の質問になるかもしれませんが、若干角度を変えて質問をしていきたいと思っています。  まず一つは、今回のこの法改正で育成者権のいわゆる侵害罪の罰則の強化、これは個人、法人含めて引き上げられるということになるわけです。既に前回にもその引上げをしているわけですけれども、この間、この具体的な罰則に該当する事例というのは多分一つもなかったというふうに思うんですが、その辺の事実と、それから、もしそうであったとすればその理由は何なのか、答えてください。

○政府参考人(山田修路君) ただいま育成者権侵害罪の罰則の適用についての御質問がございました。  平成十五年の種苗法改正によりまして、法人による育成者権侵害罪の罰則を三百万円以下から一億円以下に引き上げたということがございます。現在の時点で、この罰則が適用されたという事例は私ども承知をしておりません。  なお、十八年に育成者権者を対象としてアンケート調査を実施をいたしました。その調査の中では、この育成者権侵害罪の容疑で権利者自身が告訴をしたと、実際に事件になったかどうかは別として、告訴をしたというふうに言っているケースが三件ございましたので、そういう意味で、判決までには至らないまでもいろんな形で動きがあるということではあろうかというふうに思います。  今申し上げましたアンケート調査によりますと、育成者権者、回答をしていただいた育成者権者の三四%が権利侵害を受けたあるいはその疑いがあるとしておりますが、実際その中で、権利侵害を受けたと考えている育成者権者から農林水産省あるいは品種保護Gメンへの相談件数、これは平成十六年が九件だったのが平成十八年には五十二件となっておりますので、表に出てこないあるいは刑事事件になっていないものであっても育成者権の侵害が潜在的にはかなり存在しているのではないかというふうには思っております。  では、委員のお尋ねのように、なぜその罰則が適用されていないんだろうかということでございますが、これはいろんなことが考えられると思いますけれども、例えばその育成者権者の目に触れにくいようなところで侵害が行われている。侵害者の農地がどこか分からないところにあってなかなか育成者権を持っている人に分からないと、あるいは侵害されたものと正規のものとの区別が付きにくいというようなことでなかなか露見してこない、現れてこないというようなことがあるというふうにも思います。また、侵害されたものは植物あるいは食べ物であったりいたしますので、食べられてしまったり、あるいは腐敗をするということで滅失してしまうというようなことで、侵害の事実があったけれどもなかなか侵害者が不明である、あるいは今言いましたように証拠のものがなくなってしまうということで、証拠が集まりにくくなかなか立証ができないというような性格もあろうかと思います。  それからもう一つ考えられますのは、先ほどのアンケート調査にもありますけれども、権利侵害を受けたというふうに考えておられる方はかなりあるんですけれども、その対応策、どういうことを講じましたかという質問に対して、何らかの対応策を講じたという方の大部分は、対面で交渉をするあるいは警告書を送付するということで、刑事罰を求めるよりは、やはり損害の発生防止等を民事的に解決をしていくというような選択をされる方がどうも多いのではないかというようなことが考えられます。  いずれにいたしましても、今回罰則の引上げをすることによりまして、権利侵害に対する刑事面での抑止力という点はもちろんありますけれども、いろんな形で民事的な面での交渉の際にも役立つというような意味で、いろんな働きが今後期待できるのではないかというふうに考えております。

○谷博之君 種苗法の罰則の強化の、それに先駆けて他の知的財産権保護、そういうふうなところでこういう罰則に該当するような事例というのは結構ありまして、そういう意味ではこの引上げというのは一定の抑止力を持っているというふうに私たちは見ているわけですが、この育成者権のこの問題については、少なくともその育成者権者が種苗会社のようなそういうふうなところであったとすると、利用している人がどうしても自分たちのお客さんということになれば、そういう事実があってもなかなかそれを、権利侵害を具体的に取り上げるということはなかなかやっぱりしにくいというようなケースもありますし、それから、育成者権者が個人の場合、これはなかなかそういう事実があっても、その事実を追求して特定するというところまでなかなかできにくい、これは今御答弁のあったとおりだと思うんですね。そういうふうなことの中で、たしか一昨年の十一月でしょうか、山形県のあのサクランボの問題が大分報道されましたけれども、そういうことだと思います。  私たちは、この育成者権の侵害が疑われている事例というのは、多分今のお話のとおり結構あるんだろうと思うんです。ところが、それが、具体的にそのことを取り上げて問題を明らかにしていくというその前に、正にそれが今のお話のとおり、具体的には一件もその該当事例がないということになれば、これどこかでやっぱりそれが表に出ないような、やり得といいますか逃げ得といいますかね、そういうふうなことも十分あるんじゃないかなというふうに思うんです。ですから、それは罰則の引上げももちろん大事ですけれども、いわゆるその権利侵害に対する対応の環境の整備というのはやっぱりきちっとしなきゃいけないと思うんですね。  そういう点について、告訴に対しての適切な捜査とか、そして訴訟が行えるような環境の整備、こういうものをまず行う必要があると思うんですが、この点についての御答弁をお願いします。

○政府参考人(山田修路君) 捜査や訴訟の環境整備についてでございます。  農林水産省といたしましては、今委員から御指摘のありました刑事事件となる可能性のある、あるいは疑いのある事案について、これまでも捜査当局からの求めに応じまして、種苗法の解釈に関する照会に対して迅速に回答していくことや、それから比較栽培試験、実際に栽培をして比較してみるというような試験の実施によりまして、権利侵害の認定に対する判断材料を捜査関係機関に提供していくということ、こういったことを通じまして育成者権侵害の捜査等に協力をしてきたところでございます。  また、育成者権侵害につきまして農林水産省が情報を得た場合には、これまでもその育成者権者に対して情報提供を行ってきているというような対応をしてきておりますが、委員からお話がありましたように、今後、悪質なケース等の場合には、告発等についても検討していくような場合も必要ではないかというふうに考えております。  委員御指摘のように、適切な捜査あるいは訴訟が行われることによって育成者権が保護されるということがございます。こういったことは極めて重要なことでございますので、育成者権の侵害に対する刑事事件の対応につきましては、今後、一層捜査機関等との連携等に努めてまいりたいというふうに考えております。

○谷博之君 その際、これ要望ですけれども、捜査当局に対するいわゆる種苗に対する認識を深めていくというんでしょうかね、こういうことは、是非これは農水省からも働き掛けをしてもらいたいと。  それから、先ほど岩永委員からも質問で出ましたけれども、いわゆるGメンの話ですね。品種保護のGメン、これを増やしていくというようなことが答弁されておりましたけれども、これは人数はどのぐらい予定しているんですか。

○政府参考人(山田修路君) Gメンにつきましては、十八年度十人、それから十九年度では十四人に増やすということにしております。

○谷博之君 十人、十四人ということで、これも全国の規模の話ですからね。これで果たしてどうなのかという非常に疑いを持たざるを得ないんですが。  そこで、さすが私の県、これいろいろ考えたんでしょうか。この四月二日から県の農務部の中に農産物の知的財産権センターというのをつくりました。これは全国で四番目だそうです。特に、その中でいわゆる権利侵害の相談等を受ける、そういう窓口を設けたというのは福岡に次いで二県目だということですね。ただ、そのときのセンターのスタッフ、二・五人なんですよ。何で〇・五というかというと、それは兼務していますから、ですから二人と半ということなんですね。これはこれとして、やっぱり県内の農家の相談を受けるということからすると、これはまた一つの私は大きな役割を果たしているんだろうと思うんですね。これは、このGメンとのそういう補完と言ったらおかしいですけれども、連携と言ったらいいんでしょうかね、そういうふうな活動の役割をしていきたいと。  私はここで言いたいのは、是非そういうところに民間の活力といいますか、民間のそういう方々の連携協力というのはやっぱり必要じゃないか。具体的には、農協の営農指導員のような方々にそういうふうな連携を取って役割を担っていけるようなそういう場が持てないだろうかというふうに思うんですが、この点はどうでしょうか。

○国務大臣(松岡利勝君) 谷先生の今の御指摘は、方向性としては先生の御指摘のような方向性、我々もそれは必要だろうと思っておりますが、具体的に申し上げますと、去る三月に農林水産省知的財産戦略本部が決定いたしましたその内容におきましては、その大きな柱の一つとして、知的財産に関する指導的な役割を果たす人材の育成、これを掲げているところでございます。  具体的には、今後三年間で育成者権等の権利取得や侵害対応等に専門的な知識を有し、相談に対応できる普及指導員を五百人程度確保したいと。また、それから都道府県、市町村の農業分野の研究者や行政担当者、先生先ほど御指摘ありました農協の営農指導員など地域の指導的立場を担う人を五百人程度、こういったような形で、あわせてこれらの人々をそういう対応ができるような能力を身に付けていただきたい、そういったようなことを目指して育成をしたい、これらの人に対しまして研修を拡充して対応していきたいと、このように思っております。

○谷博之君 これからの取組に当たってのそういうふうな目標ということで、これは多いか少ないかの議論がありますが、今後はやっぱりもっともっと力を入れていってもらうということになると思うんですがね。  これは我が党の話をして恐縮ですが、民主党の中でも農業者等のための農協等改革本部というのができまして、ここでいろんなそういう農協なら農協のより農民のための農政といいますか、そういうものをやっぱり取り組んでいくような改革案を私たちも今出そうといたしておりまして、そういうものの中にもこういう議論というのはやっぱり出てくるんじゃないかなというふうに思っています。  それからもう一点、これはやっぱり栃木県の話題で大変恐縮なんですが、栃木といえばイチゴの日本一の産地ということです。とちおとめという品種があるわけですが、これは二〇〇一年に韓国から不正に輸入、販売されるという事件がありまして、結果、育成者権者の栃木県が実際に現地に行ってそういう調査をしました。  しかしながら、物的証拠がなくて結果的にそれが明らかにならなかった。そして、ルートとかそういう経路というものがどういうふうになっていったのか分からなかったんですね。その結果、最終的にその段階では利用権設定者、五十九団体だったでしょうか、その方々に注意喚起を促すということで一応終わらせたと、こういうことなんです。昨年二月に、引き続いて韓国に行きまして、現地調査などをしましたけれども、なかなか具体的なそういう事実が明らかにされないと、こんな具体的な例があります。  そこで、これは一つの私の提案になるんですけれども、こういうケースなんか見ておりますと、例えば日本で登録を認められれば同時に中国とか韓国でその権利が認められるような、いわゆる工業製品の特許分野のそういう仕組み、そういうものと同様の日中韓三か国での農産物の品種登録の相互認証制度、こういうようなものができないんだろうかというふうに考えております。  その辺の考え方と、そういうことについての中国、韓国への働き掛け、この点をどのように考えておられますか。

○国務大臣(松岡利勝君) 端的に言えば、もう先生がおっしゃっていることは我々も理想としてはもうそういう姿が一番望ましいと思っておりますが、ただ、現実的にいろいろ考えますと、いろいろレベルの違い、いろんな国の事情の違い、制度の違いございまして、なかなか理想どおりにいくにはまだまだ時間が掛かるなというのが私は実態認識だと思っております。  そこで、ただ先生おっしゃいますように、国際間における植物新品種登録の相互認証制度の創設、これはもう国際的な育成者権の保護と活用にとっては極めて有意義である、したがって、本当はこれはWTOとかそういった場でそういったようなものがきちんとできれば、それを各国がその適用を受けるということで私は望ましいと思うんですが、しかしながら、各国における新品種保護制度、審査技術、能力等々から、なかなか現状においてはそこまで一遍に行き切らない、こういうことでございまして、まずは育成者権の付与の迅速化や効率化を目指して我が国と海外との審査基準の国際的な調和や審査データの相互利用等の審査協力を推進することがまずは重要ではないかと、このように考えております。  このため、昨年十一月に私どもとしては欧州植物品種庁との間で審査協力に合意をいたしました。今年度から一部の対象品目について、審査データの相互利用を開始する、そういう第一歩を踏み出したところであります。  また、アジア諸国につきましては、現在韓国との間において審査データの相互利用に関する審査協力の合意に向けて今具体的な協議を進めているところでもございます。中国につきましても、中国における我が国の育成者からの出願動向を見極めつつ、審査協力の協議を進めていこう、このようにいたしているところでございまして、さらに今後、中国、韓国を含む東アジアにおける品種保護制度の共通の基盤づくりを目指しまして、我が国のイニシアチブによりまして東アジア植物品種保護フォーラムの設置を今提唱しようということに予定をいたしておりまして、その中で一層審査協力の実現を図ってまいりたい、こう思っております。行く行くは理想的には先生がおっしゃったようなことが姿としては一番望ましいかなと、このように思っております。

○谷博之君 いろんなそういう動きがあるということは私たちも十分認識をさせていただいているつもりでございます。  実は、この部分が安倍総理、安倍内閣、よく施政方針演説でも攻めの農政ってよく言っていますが、やっぱりその攻めの農政の基盤づくりには私、非常にこれは重要な部分だと思っているんですよね。ですから、そういう意味で日本の農産物をどんどんこれから外へ出していこうというときに、やっぱりそういうところの一定の各国とのそういう基盤をどうするかということは、これはやっぱり早急に解決されていかなければいけないんじゃないかというふうに思っていまして、これは是非強くそういう意味では取組をより積極的にやっていただきたいと。  それからもう一点は、要するに、栃木のとちおとめの話をして恐縮なんですが、例えば韓国との間でいえば、二〇一二年の保護対象の期限が切れるまで農家が待つということはこれはもうできない状況が来ているとすれば、やっぱり一刻も早くそういうことについての取組を早めてもらいたいということと、それからもう一点は、例えば去年、イチゴについては韓国でいい品種ができたという話も聞いているんですが、そういう向こう側のいい品種というものももしあれば、それはやっぱり日本にそれを取り入れて、そして試験研究機関でそれを研究できるようなそういう体制が、将来、やっぱりできてくる、お互いに各国同士のそういうふうな相互交流というのもやっぱりこれは生まれてくるんじゃないかなというふうに思っておりますので、この点も一つ要望ということでお話をさせていただきたいと思います。  で、種苗法については後ほどツルネン先生の方から御質問があると思いますので、私、一点だけ品目横断の話をちょっとお伺いさせていただきたいと思うんですが。  この四月二日から米作農家の品目横断的経営安定対策、これの加入申請が始まりましたし、それから農地・水・環境保全向上対策もスタートしましたし、それから新しい米の需給の調整システムもスタートしたと。こういうことで四月の新年度から新しい農政がスタートしているわけですけれども、その中でまず一つ、品目横断について、政府は二〇〇九年度まで米の作付面積の五割以上の加入を目指していると言われていますけれども、米作についてはゲタがないわけで、非常に魅力は薄いわけですね。そういうことからすると、このいわゆる目標というものがどうなのか。それから、差し当たってこの初年度のいわゆる目標値というものはどのぐらいに置いているのかということについて、現時点では明らかにされていないというふうに思っていますので、どのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(高橋博君) 品目横断的安定対策の方、米の加入目標のお尋ねでございますけれども、今委員からのお話ございましたように、この四月からいよいよ制度が本格実施いたしまして、米、大豆などの作付けを行う農家を対象といたしました加入申請も始まっているところでございます。  米につきましては、本対策においては、市場価格、収量変動に伴います収入影響緩和交付金の対象ということでございますけれども、この収入影響緩和変動交付金に関しましては、これまでやっておりました、実施しておりました稲作所得基盤確保対策あるいは担い手経営安定対策につきまして、農家と国の負担割合がそれぞれ一対二であったものが、今回のこの収入変動緩和対策については一対三という形で農家負担が大幅に軽減されております。  また、積立金残額が、例えば当年産の積立金の額の二倍、まあ災害等、収入変動の交付金がなくてそういうような形で持ち越しがあったような場合、農家の選択によりましてそれ以上は積む必要がない、積立てを行わないことも可能とするような弾力的な措置も講じておりまして、これまでの米に対しますこのような変動緩和対策に比べても相当程度のメリットが拡大している状況にございます。  また、単にこの品目横断だけではなくて、先ほどおっしゃられましたような米政策改革の推進第二期対策、あるいは農地・水・環境保全向上対策、さらには担い手を対象といたしております総合的な支援対策、スーパーL資金等の無利子化等の措置も併せた総合的な改革がこの四月から実施されているところでございまして、先ほど御指摘のございましたように、今後、現在担い手となり得る者の作付面積、推計いたしますと大体五割程度になっているものでございますので、これらの施策を総合的に実施することによって、毎年毎年、順次この水準に向けて積み上げていくというのが目標でございます。  なお、収入減少影響緩和対策の前身でございます先ほども申し上げました担い手経営安定対策の加入面積については、十八年産、昨年産で約二十万ヘクタールとなっております。したがいまして、初年度、私どもとしては、当然これを上回るということについて意を用いるということは、これは当然のことを前提として、先ほどの五割水準に向けて、順次目標に向けて積み上げてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、今、四月から始まったばかりでございます。引き続き、制度の周知あるいは担い手育成等につきまして、団体等関係者と今連携協力してしっかりと取組を進めているところでございます。

○谷博之君 そういう取組の中で、これは一つ具体的な話ですが、生産者米価というのが非常に下がってきています。二〇〇五年の六十キロ一万三千三百円というのは、五年前と比べて約二割下がっていると、こういうふうに言われているわけですが。こういうふうな状況で、私どもも農家の皆さんと話していると、いろんな、将来にこういうふうな状況ではもうやっていけないというふうな悲鳴に近いような声も聞いているわけです。  この日本農業新聞、三月二十九日に出ていますけれども、三月二十八日に、これはJA全中が全国の農協青年部代表三十四人と行った意見交換会、この中でも多くの参加者から、具体的には再生産可能な水準まで米の所得を補償する仕組み、こういうものの創設を要望すると、こういう意見も実は出てきているわけなんですね。  これは大臣、この意見などをどのように考えています。

○国務大臣(松岡利勝君) 今の谷先生御指摘のことについては、私も一応報道等を通じて聞き及んでおります。  そこで、端的に申し上げますと、まあ二つありまして、ある一定水準の価格を目標にして支持価格的なことをやるということにつきましては、これは昔、昔というのはウルグアイ・ラウンド協定以前ということでありますが、アメリカがやっておった目標価格制度、ターゲットプライス、これを決めておいて、そこに行かないときはそれを補てんをすると、いわゆる不足払い、こういうことでありました。これはもうウルグアイ・ラウンド協定の時点でアメリカもやめてしまった。だから、国際的なWTO農政と、こういう方向からしますと、それは逆行する。国際的な農政の流れからしても、ちょっとそれはなかなか協定の加盟国としてはそれは国際的にはなかなかなし得ないやっぱりものであると、こう思っております。  一方で、国内的には、これは米政策改革というのを進めておるわけでありますが、効率的かつ安定的な経営体が市場を通じて需要動向を敏感に感じ取って、売れる米作りを行う、米作り本来のあるべき姿、今それを目指してお互いに努力をし、そしてそれをやっていこうと、こういうことでございますし、このような中で米価を一定の水準に置くということになりますと、それはもう需要動向、そういったことに関係なく、生産があるし、また消費者のニーズというか選択というものもなかなかこれは伝わり難い、こういったことでミスマッチも起きてくる。また、それから需要に応じた米作りを阻害してモラルハザードが発生するおそれもある、こういったようなことがあると思っております、そういう問題が。  このため、品目横断的経営安定対策の中の収入変動影響緩和対策につきましても、市場価格や収量の大幅な変動を緩和することによりまして担い手の経営安定対策を図る、こういうことにいたしておるところでございまして、販売価格にかかわらず一定水準の収入や所得を補償するということは今はそういう仕組みは取っていない、こういうわけでございます。  したがいまして、今後とも、需要に応じた米作り、そしてミスマッチをなくして、そして正に消費者と生産者が鋭敏に、何といいますか、直結するような形で米作りの改革を進めていくと、こういう方向を目指しているわけでございますので、そういうような御要望等につきましても、お聞きはしながらも、十分御理解を求めて、そして是非改革の方向で進んでいただけるように私ども努力をしてまいりたいと、こう思っております。

○谷博之君 もう時間が来ましたので、一言だけ。  今の大臣の答弁は、そういう考え方ということで我々は分かりましたけれども、しかし民主党としてはそうではないと。少なくともすべての販売農家に対して他の先進国並みの所得補償制度を実現すべきであって、それぞれの国の国際的説明責任も果たせ、財源についても十分確保できる、こういう具体的な内容を持って我々はこの問題には対処していきたいと、このことだけ付け加えまして、終わります。  ありがとうございました。



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