国会活動報告 参議院農林水産委員会

2006年10月26日 農業の担い手確保・育成策、植物の新品種区の育成権保護、塩那台土地改良事業の不払い問題等について質疑

165-参-農林水産委員会-5号 2006年12月12日(未定稿)

○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。短い時間ですが、何点か御質問をしたいと思っています。  まず、日豪FTA交渉の関係ですが、その前提条件ということでJA全農が政府にいろんな要請もしておりますし、その中で特に重要品目の関税撤廃の対象から例外措置をとってほしいと、こういう強い要請があることはもう御承知のとおりですが、ちょっと問題点は、今の質問、二人の先生方からの質問も含めて整理したいと思うんですが、この例外的な措置というのは、私は大きく二つあると思っているんですよね。その一つというのは、重要品目を除外するということと、それから再協議の対象にすると。  再協議というのは、デフェラル・フォー・レイター・ネゴシエーションズ、直訳すれば協議の先送りの対象とすると、こういう二通りのやり方があると。この除外をするときにも、交渉の前に除外をすること、交渉の途中で除外をするというやり方と、それから再協議の場合も、取りあえずは現状のまま関税対象としつつ後日撤廃の対象とするかどうかを協議する、こういう意味と、いったんは関税撤廃の対象としてリストに載せるが、後日その猶予措置等について協議する、こういう大きく四つの手法があるのではないかというふうに私は思っています。  まず最初にお聞きしたいのは、こういういろんな選択肢というものを、こういうカードを全部持っておられるのかどうか、まずそこからお聞きしたいと思います。

○松岡利勝農水大臣 谷先生、非常に分かりやすいというか、類型化して今お示しいただきました四つの方法といいますか、道といいますか。  そこで、まず一の、交渉入り前から除外を決めると、これはちょっとあり得ない。といいますのは、いろんな交渉がいろんなところであっていると思いますが、私もこれはちょっと、分かりやすく言うという意味で申し上げますんでちょっとお許しをいただきたいんですが、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、選挙も、選挙の前から当選が決まっているというのはこれはないわけでありまして、したがって、実態上決まっているかもしれないけれども形の上では決まっていないと、こういうことあると思いますので、交渉入り前から除外を決めてやるというのは、これはちょっと交渉としてはあり得ない。  そこで、結論から申し上げますと、あと四番が、いったんは関税撤廃の対象としてリストに載せるが、後日その猶予措置等について協議すると。これもなかなかあり得ない、取り得ない方法でございまして、そういたしますと、先生が分かりやすく類型化していただきました四つのうちから、じゃ、あり得る方法というか、そうしますと二番と三番、こういうことになりまして、交渉の最中で、やっぱり交渉の中で除外を決めていく、それから取りあえず現状のままの関税対象としつつ、後日撤廃とするかどうか協議していく、こういったこの二つの方法が対象たり得る方法になると、このように思います。

○谷博之君 大変分かりやすい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。  この間、ちょっと経過をいろいろ報道で見ておりますと、十二月の六日にJA全中の会長が安倍総理に会って、重要品目の除外をということで非常に強い要請方をしておりますね。  この要請というのは、交渉入り前の除外を政府に私は求めているのではないかと、こういうふうに考えているんですが、ここのところは、それに対して安倍総理は、この要請内容についてはよく分かっていると、しっかり受け止めて交渉に臨むという、こういうふうな、一般的な形かもしれませんが、答弁、お答えしていますが、その申入れというか、要請の内容と今の大臣の答弁というのは整合性があるのかどうかですね。  言っていること分かりますか。要するに、JA全中が三項目の要請文を出して、特にその中で重要品目の、要するに交渉前の除外を、もう交渉に入る前から除外をしてくれと、こういう要請が多分出ているんだと思うんですが、それはもう現実に、もう一度お答えいただきたいんですが。

○松岡利勝農水大臣 それは、団体の皆様方の御要請といたしましても、また我々、私ども自民党の中の党の議論といたしましても、そういったことがあったのは事実だと思います。  しかし、交渉の在り方として、今までのいろんな交渉がありましたが、その場合のいろいろの場合の例といたしましても、その前に除外が決まっているとか結果が決まっているということはそれはちょっとあり得ないということでございまして、安倍総理も、ただ要請の趣旨は、あなた方がそういう思いで要請されているということはよく分かっておりますと、したがってあとは交渉でしっかりやりますと、こういう御趣旨だったと思います。私もそこに同席しておりませんから分かりませんが、今私が言ったこととは整合性はぴったり取れていると思っております。

○谷博之君 その点について国井副大臣にもちょっとお伺いしたいと思っているんですが、その申入れの前の日ですかね、日本農業新聞でちょっと報道されていますが、そういう要請を受けた後、国井副大臣は、重要品目を除外しなければ交渉に乗れないということで、農山村を守る立場を果たすというようなことで、こういうふうに報道がされているわけですけれども、これは同じような考え方というふうに受け止めていいんでしょうか。

○国井正幸農水副大臣 やはり、私どもはこの研究会の最終報告をどういうふうにまとめるかという時点があったわけですよね、オーストラリアの事務当局と我が国の事務当局で共同研究会をやってきたと。その考え方を最終的にどういうふうにまとめるかと。  そういうときに、私どもは、私としてでも結構でありますが、やはりオーストラリア、今まで議論になってきたように、オーストラリアという国は、対外的にはアメリカとの砂糖だけを例外にしてきたという経過は私どもも承知していますし、あるいは我が国もこれまでのFTAで重要品目についてはそれぞれの国と除外をしてきた、こういう経過があるわけですから、そういう意味で、安全性を考えれば、我が国から見て、我が国の主張をよりしっかり通していくということを考えれば、この研究会報告の中でしっかりとそういう例外措置を認めるということでうたうべきだと、安易に交渉に乗っていって、そこで押し切られるようなことをなるべく避けるべきだと、こういうふうな考え方で私は思っていまして、その時点はやはり例外措置というのを事前にしっかり定めるべきだと、こう考えておりますし、あわせて、農林水産省は、それはやっぱりいろいろある中で、省庁設置法にあるように、農山漁村の振興と、あるいは農林水産業の振興というものをしっかりと我々がやっていくと、こういうことでありますので、しっかり今後ともそういう意味で、交渉に入ったにしてもですよ、まだ入ると決まっているわけではありませんが、これはやっぱりこれまでも議論をずっとしてきていますように、私どもは例外措置をしっかり今後とも求めて交渉に当たっていくと、こういうことだというふうに思っています。

○谷博之君 結論を確認させていただきますと、そうすると、大臣、副大臣とも見解は同じということで認識していいんでしょうか。今の大臣の最初の答弁と国井副大臣の今の答弁はA、Bと同じだということで認識、受け止めていいんでしょうか。

○国井正幸農水副大臣 そういう思いで私どもはやってきたわけでありますから、大臣と同じだと、このように私は思っています。

○谷博之君 この点については、私ども民主党も農林水産部会の中でいろいろ議論をしていますが、自民党の皆さん方と同じ考えでありまして、決してこの日豪FTA交渉を急いじゃ駄目だと、様々なそういうふうな状況の中で豪州と拙速なFTA交渉に入るべきではないというふうに我々も考えております。  そういう状況の中で、じゃ、しかしもう既に片足どころか両足もう突っ込んできているわけですよね。そういう交渉がもう始まろうとしている中で、どういう手法でやるのか、どういうふうなスタンスでもってやっていくのかということがやっぱり定まっていないと、私は、ただ単に頑張るぞ、頑張るぞでは話はおかしくなるんじゃないですかと。こういうふうなことで、実はその辺の一致というか、考え方を確認をさせていただいたということだと御理解いただきたいと思っているんです。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  それから、ちょっと別なことで一点だけお伺いしておきたいんですが、つい先日、有機農業推進法が成立をいたしました。これは大変私は大きな意味を持つ法律の制定であったとも、成立であったと思いますが、これ、まず施行期日はいつになりますか。

○西川孝一生産局長 施行日はいつかということでございますけれども、この法律につきましては本日の閣議において公布が決定されたということでございます。この法律は公布の日から施行することを定めているということでございますので、十二月十五日に公布、施行される予定であるというふうに承知しております。

○谷博之君 この法律で、実はこの法律に基づく農法で生産をした農産物というのは、いわゆる例えばその有機農業推進法に基づく農法で生産された農産物というふうに表示していいんでしょうか。

○町田勝弘消費・安全局長 JAS法におきましては、消費者の選択に支障が生じないようにということで、有機JAS規格に適合いたします有機農産物であって有機JASマークが付されたものでなければ、有機又はこれと紛らわしいオーガニック等、こういった表示をしてはならないということになっております。したがいまして、有機JASマークのない農産物に御指摘の有機農業推進法に基づく農法により生産された品という表示が行われた場合は、JAS法の規制対象となるということを考えているところでございます。

○谷博之君 そこら辺の問題は分かっているつもりですが。  いわゆるJAS法の、そういう意味では改正をしなければいけないということまで話は行くわけですけれども、JAS法には法律上、有機農産物という文言、字句は出てこないというふうに思っています。法改正をせずとも、政省令を改正するだけでこの有機農産物の表示規制というものを緩和することができるように考えているんですが、この辺はどうでしょうか。

○町田勝弘消費・安全局長 有機農産物のJAS規格でございますが、この制定の経緯でございますが、国際的な基準でございます有機食品に関しますコーデックスガイドライン、これに準拠いたしまして、JAS調査会の審議、またパブリックコメント、WTO通報、こういった手続を経て制定しているところでございます。  この有機食品、国際的に流通しているものでございまして、御指摘のように、我が国独自の規格、こういったものを制定するということになりますと、国内外の消費者の日本の有機農産物に対します信頼性の低下ですとか、有機農産物市場の混乱、こういった問題を生ずる懸念があるということで、私ども適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

○谷博之君 これは実際、現実の問題として私たちは感ずるんですけれども、この有機農業推進法という法律が十二月十五日から施行になって、二つの大きな条件、JAS法に基づくいわゆる有機という定義の六つの条件のうちの二つが盛り込まれた、そういう一つの農法でスタートすると。  そういう、特に有機農業にかかわろうとしている農家というのは比較的、家族的な規模の小さい、そういう農家も、全部じゃなくて部分的にも参加するという人が非常に増えてくると思うんですね。そうしたときに、分からないでその有機という言葉を使った、そういうふうな農産物を例えば出したときに、これはどういうふうになりますか。

○町田勝弘消費・安全局長 御指摘のような有機農業を実践する生産者、こういった方が有機JAS規格を認定を取得しないで一般に流通する農産物に有機と表示をするということになりますと、先ほどのような規制の対象になるということでございますので、私ども、生産者など関係者に対しまして、この有機JAS制度の周知徹底、こういったことに努めてまいりたいというふうに考えております。

○谷博之君 これは平成十二年でしょうかね、いわゆる改正JAS法のときにもこういう問題が若干あったような話も聞いているんですが、これは罰金刑があるんですよね。それは非常に私は、そこのところは現場の人たちに対して、有機農業推進法という一つの法律ができて、そこのところ趣旨を徹底するということですけれども、これはやっぱりいろんな意味で認識なり誤解を招くことになるんじゃないかなというふうに思うんですね。  それで、今年度中ですか、基本方針を作るということになっていますが、そのときにこの表示ということについては何かそこに、方針の中に盛り込まれるでしょうか。

○西川孝一生産局長 基本方針の策定についてのお尋ねでございますけれども、この法律につきましては、その策定に当たっては、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴いて定めると。また、同法第十五条におきまして、有機農業の推進に関する施策の策定に当たっては、有機農業者その他の関係者及び消費者の意見を反映させることとされております。  その趣旨を踏まえれば、基本方針を策定するに当たっても、パブリックコメントの手続などを実施することが適当であるというふうに考えているわけでございますが、今お尋ねのその基本方針の中の表示ということになりましては、これはどういうふうにするのかというのはこれからの検討になるわけでございますけれども、先ほど来議論になっておりますように、その内容につきましては、有機JAS表示に関し消費者や農業者に誤解や混乱が生じないように十分配慮をしながら検討するという必要があるんではないかというふうに考えているところでございます。

○谷博之君 この問題はまた次の機会に、有機JAS法の問題も含めて議論をしたいと思っていますが、最後に、大臣にちょっと一点、帰ったばっかりで申し訳ないんですが、いわゆる有機JASの登録認定機関というのが今相当できておりますが、これは海外にもできていますね。そして、こういう現象が今起きています。いわゆる、日本の国内で生産されているその登録認定機関によって認定されている全部の農産物というのは、全体の有機の農産物の中の一三・五%です。あとは外国から全部入ってきています。これは、外国のその国で認定機関のあるところもあれば、日本の商社と外国の企業とが一緒になって農産物を作って、有機という名称を使って日本に入ってくる場合もあるわけですね。そういう状況の中で、非常に中国からの有機野菜とか、そういうものが相当入ってくる、入ってきている現状があるわけですね。  そういうことを考えたらば、この国内の有機農産物というもののもっともっと生産を拡大し、シェアを拡大していくために、やっぱり私は農水省としてももっともっと力を入れなきゃいけないんじゃないかという気がしているんですよね。そこら辺の基本的な考え方をお答えいただきたいと思います。

○松岡利勝農水大臣 今、谷先生の問題御認識といいますか御指摘、ごもっともだと思います。  今回、議員立法によりまして、特にまた参議院発によりまして、この有機農業の法律ができましたということは非常に私はすばらしいことだし、また時代を先取りといいますか、ある意味では一番フィットした、こういった法律ができたと思っております。ここにおられる先生方が大変御尽力されたわけでございますけれども。  そういったことからいたしましても、この法律を受けまして今先生が言われましたようなことをしっかりと認識をしながら、念頭に置きながら、あらゆる対策を講じて有機農業の進展に努めてまいりたいと、このように思っております。いろいろ技術的な点も含め、そしてまたこれを推進していく上での課題も含め、いろいろと整理をいたしまして万全を期してまいりたいと思っております。

○谷博之君 時間が来ましたから最後に一点だけ要望させていただきたいんですが、この有機JASの認定は、特に家族経営の農家、そういう規模の小さい農家にとっては大変ハードルの高い、技術的にも難しいというか、そういう大変な取組をしている、しかも手間もコストも非常に掛かっている、こういうふうな意見が前からあるわけですが、今回の有機農業推進法の成立をきっかけにして、更にいわゆるその様々な認定の手続とか、あるいは細かく言えばいろんな書類の作成とか、そういうものについてもできるだけ簡素化して農家の負担ができるだけ掛からないようにやっぱりしていくべきじゃないかなと。そういういろんなハードルが結構あるものですから、やろうという意欲があってもなかなかそこに踏み込めないというふうな人たちも随分いるというふうに聞いておりますので、ここら辺は是非御検討をいただければ有り難いなということで、時間が来ましたので私の質問を終わります。  ありがとうございました。



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