2006年10月26日 農業の担い手確保・育成策、植物の新品種区の育成権保護、塩那台土地改良事業の不払い問題等について質疑
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○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございますが、冒頭、松岡大臣、そして国井副大臣、そして永岡大臣政務官におかれましては、このたびの御就任、心からお祝いを申し上げたいと思います。野党という立場でございますが、今後の活躍を御期待をいたしております。 特に農林水産業については非常に課題がたくさんあるわけですけれども、そういう中で経験豊かな方々の御就任ということでございますので、大変意を強くしておりますけれども、こういう委員会の議論などを通しまして、様々な角度からこれからも議論をさしていただこうということでございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思っています。特に、国井副大臣につきましては私と同じ地元ということもございます。地元の皆さん方も大変期待が高まっておりますので、是非ひとつこれからの活躍を心からお祈りいたしております。 早速質問に入りますが、先ほど野村委員から御質問がございましたが、品目横断的経営安定対策の、この秋まき麦の作付面積のいわゆる申請の問題が議論になりました。いわゆるナラシの作付けということですけれども、質問の内容は私も同趣旨でございましたからその質問は省略をいたしますが、ただ、一点ちょっと気になりますのは、来年度の概算要求の中で、特に事業規模の根拠となる品目横断的経営安定対策の対象面積シェアは麦が八六%と見込んでいるという、こういう記述があります。これはシェアが八六%ということですから、それ以上だよという話になればそのとおりなんですけれども、いずれにしても、逆に言えば八六%の作付けということになれば、じゃ一四%は減るというふうに見込んでいるのかと、こういうふうな勘ぐりもしたくなるわけなんですけれども。 そういう意味で、我々としては、先ほどの、作付面積は減るんではないかという、大変そういう心配をしているわけですけれども、そうではないというふうな御答弁、若干二%作付け減るけれども収量は増えるんだよというふうなこと、こういうような御答弁があったので、こういうことについてはその答弁を一応受けますけれども、大変全体としては減るという方向での心配が非常にあるということ、これは我々は実際そういうところを聞いておりますので、あえてそのことを申し上げておきたいというふうに思っております。 最初の質問ですけれども、いよいよそういう意味で、先ほどもおっしゃいましたように新年度に向けてのこの対策事業がスタートするわけですけれども、農家の皆さん方のいろんな話を聞いておりますと交付金の申請の手続が非常に難しいということをよく言われます。これナラシにしろゲタにしろ、いろんなそういうふうな交付金を申請するに当たって、この農水省の説明書にもありますが、大きく三つの申請手続ということをしなければいけない。これが時期的にもそれぞればらばらだし、そして申請する内容等のいわゆる書類の作成にしても非常に煩雑で、なかなか農家の皆さん方では十分対応しかねるというような、こんなことがありまして、実質的にはJAの職員の皆さん方が随分休日出勤などしてボランティア的に応援をしているという、こんな話も実は聞いているわけですが、そういう中で、この申請の手続を何とか簡素化したり、あるいは例えば交付金の一括仮払い、こういうようなものができないだろうかというふうなことを考えているんですが、この点についてのお答えいただきたいと思います。
○谷博之君 今の御答弁のとおりだと思いますが、来年度の概算要求の中にも、交付金の申請等の手続については、加入対象者の利便性を図る観点から代理申請等が行えるような仕組みとし、申請等が円滑・効率的に進むよう、必要な措置を講ずるという、こういう文言もありますが、いずれにしても、これそれぞれ分けられて申請手続をするという、その理由はよく分かるんですよ。そうせざるを得ないというところはありますわね。 ですけれども、まあ時間がありませんから答弁は結構ですけど、ただ何とかして、例えば平成十九年度の六月三十日までの過去の生産量の登録、これ過去三年間のこういう緑ゲタの支払のこの部分の申請は、これは異同がなければもうこれで終わりということで一回だけということになりますが、こういうふうなことも含めてやはり一括してできるかできないかという非常に難しい問題があると思います。そしてまた、それぞれこの支払の内容も違うし、またナラシの場合には積立金の拠出などもしなきゃいかぬと、こういう手続もある。 こういうことを考えたら、必ずしもこれを一本にするわけにいかないけれども、だけど何か将来工夫をしていく必要があるんだろうと、こんなような感じがしておりますので、これ素人的な発想で恐縮なんですが、是非御検討をいただければ有り難いなというふうに思っております。 それからもう一つ、これ十月二十三日の朝日新聞の読者欄に「煩雑すぎます農業収支計算」という投書が実は出ているんですね。 これ、実は平成十八年度分から農業収支計算といういわゆる農業所得の申告について税務署との対応が変わってきています。具体的には、今まではいわゆる経費目安割合という方式が取られていたと。これが十八年度からすべて収支計算による申告になってきたということになりますと、この収支計算は収入金額から必要経費を差し引いて所得を計算することになるので、農業にかかわる伝票、通帳、領収書、こういうようなものが必要になってくると。これは農家にとってみれば非常に大変なことでありまして、特に支出関係の資料のない場合には経費として認められないことがあるという、こういうような見解になってきていますね。ということになれば、税制上のそういう手続も非常にこれ難しくなってくる、複雑になる。そこに来て、この話もあります。 ということになってきますと、この投書ではありませんけれども、「今も昔も、為政者は庶民からいかにして税を絞り上げ、財源を確保するかに腐心しているようだ。」と、「こんどの複雑な徴税方式も、結局は増税の隠れ蓑か。」と、こういうふうな実は投書にまで結び付いてくるわけですね。 ですから、先ほど申し上げたように、今度のこういうふうな申請の方式というのは、いろんなそういう絡みの中に農家の方々が置かれていると、こういうことをやっぱり十分理解して我々はやっていかなきゃいけないんじゃないかと、こんなように思っております。これは意見でございますので。 それから次に、せっかくですから国井副大臣にちょっと一言お伺いしたいと思っております。 副大臣に御就任されていろんなところでいわゆるコメントを求められたりしているということが多いと思うんですけれども、たまたま私、ちょっと二、三の方からも聞かれまして、あえてこういう機会にじゃその真意をちょっとお聞かせいただこうかなと思っておりまして。 それは、まずこれは地元の新聞、栃木県の下野新聞という県の新聞がありますが、この十月六日の記事に「当面集落の」、これ国井副大臣が発言していることですが、「当面集落の場合は四ヘクタール以上積み上がれば、ある人が代表者となって個人の認定農業者になれば、それ以外の人も恩恵にあずかることができるようにする」、これは私が副大臣になる前から言い続けてきたし、こういう立場になったので徹底するよう農水省の幹部に話した、このようなちょっと記事が出ております。 それから、十月十四日の日本農業新聞のインタビュー、これ栃木版だと思いますが、そこにもこういうふうに書かれておりますが、集落営農は二十ヘクタールが基準だが、仮に集めた面積が十八ヘクタールにとどまったとしても、だれかを代表に個人の認定農業者とすれば参加した人への支援は可能だと、こういう答弁なんです。 このいわゆる恩恵とか支援というのが具体的にどういう内容なのかなということが一つ分からないのと、それから、この発言だと例えば集落営農の規模要件が何か一気に四ヘクタールまで下がるような、そんなような感じにもちょっと受け止められるんですが、その辺の真意をお聞かせいただきたいと思っております。 ○国井正幸副大臣 これまでもいろいろ議論があったところでありますが、現在、新たな農業展望を含めて認定農業者を育成をする、あるいは集落営農をつくるということで全国各地で取り組んでおるわけですよね。 そういう中で、実は今、谷先生の御質問でありますが、その前段の部分がありまして、今回の品目横断的経営安定対策は、私が、国際競争力を確保するために意欲と能力のある人に支援を集中させることは重要だが、それ以外の人が切り捨てられるようなことがあっていいと、こういうことではないと。先ほどの大臣答弁と同じようなことを私は申し上げて、それに対して具体的にはどうすればいいんですかと、こういうふうな質問があって答えたわけであって、この記事そのものは率直なところ正確でない部分もあるんです。農地を所有していなければならないなんて、そんなことを言ったわけではないんですが、これは経営でよろしいわけでありますけどね。 私が申し上げたのは、今回のこの品目横断対策は、大きく言って私はねらい三つあると思っているんです。 一つは、効率のいい経営体をしっかりつくって、コスト削減に努力を、努められるような、そういうものをしっかりやると。もう一つは、やはり我が国の最大の農産物である米の需給調整をしっかりやるということ。もう一つは、余っているものを生産をやめて足らないものに生産をシフトして自給率を上げるという、この三つが大きくあると思っているんです。 そういう中で、二十ヘクタールが一つの基準になっています。地域によって中山間地等は補正係数があるわけでありますが、しかしそれを目指していく。そのときに、我が国の平均の農家の現在の耕作面積が恐らく一・五から一・七ヘクタールぐらいだと思うんです、平均しますとね。そうすると、二十ヘクタール例えばやるためには十数戸の皆さんが寄ってこなけりゃできない。じゃ、努力をして例えば十八まで行く。十八まで行っても集落営農の基準には達しないですから、これがやっぱり支援対象にならないと、こういうふうなことになるわけですね。 じゃ、そのときに何の、それでオール・オア・ナッシングで何の知恵もないのかと。そこに対しては、やっぱり地域の創意工夫によって、それでは個人の四ヘクタールを超える経営規模を持つ認定農業者がおればその人は支援対象になるわけですから、じゃ、その人に取りあえず経営を委託をするというか、そうすることによって、で、その認定農業者の皆さんと一緒になって営農を何とか続けることによって国からの支援が行き渡るような、そういう形を是非やっぱり地域の中でつくってもらいたい。また、それを農林水産省としてもしっかりやっぱり支援をしていく。そのことによって、切捨てということではなくて、やっぱり何とか集落全体として国の支援を得ながら頑張っていける、そういう環境を是非つくりたいと、こんなふうな話を私は申し上げた次第でございます。 ○谷博之君 重ねてちょっとお伺いしたいんですが、七月の二十日にこの農林水産委員会で国井副大臣が質問をして、当時の三浦副大臣が答えておりますね。これ、そういったケースの場合には、この辺ちょっと正確を期しますので読んでみますが、二十ヘクタールに満たない集落営農組織においては、その構成メンバーに認定農業者がいる場合は他のメンバーが農地の貸付け等により集積させる方法がある、これが一つですね。それからもう一つは、当該集落営農組織自体が法人化して認定農業者になるという方法もある、こういうふうに三浦副大臣が答弁をしております。この内容と同じということでいいんでしょうか、そうすると。 ○国井正幸副大臣 基本的には、そういう知恵を出して何とか支援を受けられる、そういう努力をしてもらいたいというふうに思っていますから、認識的には、基本的には同じでございます。 ○谷博之君 そうしますと、これは私がちょっと考え過ぎなのかもしれませんけれども、この新聞の記事だけを見た人は、いわゆる対象とならない農家に何か新しい、何というんでしょうかね、救済措置というのが講じられるような、そんなようなことに取られられかねないかなというふうな感じも実はいたしました。 ですから、そういう意味で確認をさせていただいたわけですが、いずれにしても、これは国が決めてきたそういう一つの政策です。それを、委員会でも質問をして法律として成立をさせ、いよいよ新年度からスタートさせようとしているわけですから。そういう場合の中に、それは確かにいろいろ具体的に進める上での議論はあるでしょう。ですけども、その骨格的なものは、これを例えば崩していって、集落営農のいわゆる規模を、例えばじゃどんどん、特例じゃなくてどんどん下げていったとすると、これは我々民主党が主張しているように、いわゆる規模は関係なしに支えていくという、そういう話まで行っちゃうわけですよね。 〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕 そういう点は、私は本当はそうしてほしいわけですけれども、やはりきちっとしたこの原則というのか筋というのをやっぱりしっかりわきまえた形でお取り組みをいただければ有り難いというふうに思っております。これは要望させていただきます。 ○理事(常田享詳君) 要望だそうです。要望ですね。 ○谷博之君 何か、大臣の方で何かコメントありますか。 ○松岡利勝農林水産大臣 これはもう基準ははっきりいたしておりまして、認定農家の場合、そしてまた集落営農の場合、そしてこれは北海道の場合と他の都府県の場合、そしてまた平場じゃない中山間地の場合、もうこれは基準ははっきりいたしておりまして、もうそれ以外のものはございません。 ただ、国井副大臣がおっしゃったのは、政治家として、二つ、大きく分ければ二つですから、認定農家がいろんな人たちから農地を集めてやっていく場合、それからもう個々の小さい方たちがじゃ集落という形でまとまってやっていこうという場合、この二つですから、その二つありますよということの中でどっちを選択するか、どっちでまとまるかということを政治家として分かりやすくおっしゃったんじゃないかなと私はそのように思っております。 ○谷博之君 今の大臣の発言で私も分かりました、よく。 それでは次に、イチゴの問題をちょっと取り上げたいと思うんですが、実は栃木県はイチゴの産地として福岡と競っているわけですけれども、ほかのそれぞれの優秀な県もありますけれども、そういう中で、実は韓国の栽培されているイチゴの品種がその九割が日本のイチゴだと、こう言っているんですね。それで、これはもう有名な話です。 そこに一つの知的財産権の問題がちょっとかかわってくるんですけれども、実はこの育成者権者に対するいわゆるロイヤリティーですね、それが全くありません。つまり、日本のイチゴの苗を持っていって、勝手に持っていって向こうで安価な労働力を使って栽培をし、そして安いイチゴが逆に日本やほかの国々に輸出されると、こういう現象が起きています。私どもの栃木県も、今年の三月に韓国に行ってその事実があるかどうかを確認をしてまいりました。なかなかこれは結果的には分からなかったんですけれども、しかし、こういう現象というのは依然として続いております。UPOV条約というのがございまして、ここに韓国も加入しておりますが、このイチゴについての保護対象にはまだなっておりません。 〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕 したがって、こういうことが韓国側はできるわけなんですけれども、ですけれども、これはもう一日も早くこういう問題を解決しなければ、我が国の農産物の、例えばイチゴについても大変不利益も被るし影響を受けると、こういうふうに考えざるを得ないと思うんです。 そこで、一つお伺いしたいんですけれども、こういう育成者の権利保護の充実、それから侵害者の罰則強化を目指す種苗法の改正をこれ早急に国会でやるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。 ○松岡利勝農林水産大臣 もう私も谷先生と思いは全く一緒でございまして、ですから、日本で汗水垂らしてといいますか、苦労に苦労を重ねまして、本当に科学も技術も財政も投資をしてやっと開発したものがぱっと海外に持っていかれて、そこでもう簡単に栽培されて、そしてそれがまた日本にまで売り込まれてくると。そういったようなことが幾つかあったわけでありまして、これはやっぱり国際的にもう何とかしなきゃならぬという思いは、WTO交渉の場におきましてもそう簡単になかなか利害があっていかないんですが、我々ももう常にそういう思いを持って今日に至ってきております。 だから、例えばWTOのGIという地理的表示の問題とか、EUはこれを熱心に言いますがアメリカは反対とかですね。いろんなやっぱり、EUになりますと昔から古いいろいろ積み重ねがありますから、どうしてもその結果できたものは守っていきたい、しかし他のところは、いや逆にそういったものを大きく自分たちが有利な条件を生かしてどんどんやっていきたい。なかなか一方にまとまらないんですが。 しかし、今先生が御指摘のとおりでありまして、もうそれは肉にしても、例えば上海で和牛といって、神戸牛といって売られておる、どうしてこんなことになっているんだよと、そんなことが一杯ございまして、これはもう大特急で私どもも取り組まなきゃならぬと思っています。 したがいまして、今先生が御指摘の点は、種苗法の改正、また関税定率法を改正いたしまして、それなりの権利侵害に対する罰則、こういったことも図ってきたわけでありますが、なお経済産業省が中小企業の分野で行っておりますようなことも我々参考にしながら、いわゆるGメン、Gメン制度、こういったことも、今、今年はつくばのGメンの人たちを四名から十名に増やしたりいたしておりますが、まだなかなかこれをどうやっていくかという特効薬がありませんが、しかし、しっかりした認識を持って、これについては、相手があることですからなかなか時間も掛かるかもしれませんが、とにかく総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。 今の時点ではそういった姿勢をお答えするしかございませんが、いずれにしてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。 ○谷博之君 大臣のおっしゃるとおりだと思います。 それで、中小企業庁がいわゆる特許侵害の現地調査なんかに補助金を出しておりますよね。農水省も同じようなこの支援スキームというのをやっぱり早急に整備すべきだというふうに思っております。そういうことがあれば、この栃木県のとちおとめというイチゴの韓国との問題についても、これは国レベルでそういう対応をしていくことができるというふうに思うんですね。 それで、もう一つこの知的財産権問題についていいますと、例えば著作権とか特許権とか、そういういろんなものがありますけれども、農業分野のこのいわゆる知的財産権の保護というところはまだまだ非常に遅れているというふうに私は思うんですね。ですから、これは本当にせっかく、大臣おっしゃったように、農家の人たちや研究者が一生懸命研究して新しい品種を作って、それを市場に出しているわけですね、農家の皆さんが協力して。そういうことを考えたときに、やっぱりこの分野の知的財産権の保護、特に植物の新品種の育成者権の保護というのは、やっぱり著作権とか特許権と同じように、あるいはそれ以上にやっぱりしっかり守られるべきだということを改めて強く要望しておきたいと思っております。 最後に、これまた地元の話で大変恐縮なんですが、今地元で一つ大きな問題になっております栃木県の塩那台の土地改良区の問題が実はありまして、これはもう端的に申し上げますとどういう事業かというと、一九七四年から九二年にかけてこの事業が実施をされました。そして、総枠百八十億円の総事業費のうち、大半が国が負担をし、その土地改良区の負担は二十一億八千万だったんですね。これを、もう毎年毎年この負担金を返済をしてきているわけですが、ついに〇五年度分のこの負担金八千九百万円が滞納になってしまったわけですね。結局払えなくなってしまった。本当は今年三月末の年度末で払うところを、結局それが払えないで未納になっている。これは非常に大きな問題だと。で、これからのすべての支払わなきゃならない総額は三億四千万ということですから、そのうちの八千九百万が今回滞納になっちゃったと、こういうことなんです。 これは何でそうなったかということは、まあいろいろ理由が考えられるわけですけれども、ここでちょっと私たちが考えておかなきゃいけないというのは、例えば、そういう土地改良区の事業によって農家やその地域の人たちのいわゆる収益が上がるための土地改良事業であるべきだったはずなんです。ところが、どうもそうはいかなくなってしまっていると。ここに大きく、私は農業、農政の問題があるというふうに思っているんですが。 例えば、農家に本当に求められている施設を造ったのかどうか、あるいは事業決定時点で将来農業収入がどの程度伸びると考えていたのか、あるいは農家負担分の返済計画は妥当だったのか、そして採算性について合意形成がしっかりそのときにできていたのかと。こういうことをいろいろ、やっぱり今の時点になって推察をしなきゃならぬという、こういう状態になってまいりました。 そこで、国の責任はそういう意味で果たしてあるのかないのか。特に、県が今、負担金徴収の責任を負ってやっていますけれども、これはやはり私は、国も少なくともこの問題は何らかのやっぱり責任があるというふうに思うんです。 で、こういう問題が恐らく全国的にどの程度起きているかどうか、あるいはあるのかないのか分かりませんけれども、当然こういう、長期にわたるこういう大きな事業というのは必ずこういう問題が起きてくるんじゃないかと思うんですね。 この土地改良区の理事長は、そのやっぱり新聞のコメントにこういうふうに書いてあるんですが、要らない施設まで造ってはお金を払えと言って、嫌がらせにしか思えないと、こう言っているんですよ。で、ないものは払えない。しかも、理事の中にはもう解散した方がいいんじゃないかと、こういうふうな話まで実は出ているわけですね。 これを、だから県だけにその問題のいわゆる対応をするのか、任せるのか、国がどうするのかということのその考えを聞かせてほしいんです。 ○松岡利勝農林水産大臣 これは私も個別具体的に、その中身の詳細といいますか、なぜそうなったかという具体的な事実関係をよく分かりませんので、これは谷先生、大変恐縮ながら一般論的にお答えさせていただきたいと思いますが。 国営事業といえども、この土地改良法に基づく事業というものはすべて地元からの申請制度でございまして、したがって国、県と土地改良組合ですね。まあ受益者ですね。これはみんなでお互い納得し合って、ひとつこういう内容でこういう形で事業をお願いしたいと、その申請を受けてこちらはそれを採択してやると。こういう仕組みなものですから、国が一方的に要らないものまで造ったということのその御指摘については、ちょっと何とも、そんなはずはないですと、まあ事業の仕組みからしてそれはないはずでございますと、これしかちょっと一般論として言えないわけでありますが。 それから、先生が今おっしゃいましたが、じゃほかで全国的にそういう事例があるかと。今のところそういう事例があるとは聞いておりません。一応この場合、県が責任を持って国に納付をすると、こういうシステムになっておりますから、そういたしますと、県から国に納付されていない、じゃ事例はあるかと。これもございません。 したがって、今のところこのようなお答えでございまして、この塩那台でございますか、塩那台土地改良区、これはまた私どもの方としても、努力すべき点があればまた働き掛ける、必要なことがあれば県とも連絡を取りながら適切な対処をしてまいりたいと思っております。 ○谷博之君 個別具体的な問題ですから、また別の機会に、機会があれば質問をさせていただきたいと思っておりますが。 最後に一点だけ、私、今の農政の問題についてのちょっと考え方を言わしていただきたいと思っているんですが、日本の農業のやっぱり一番の基本、基本といいますか一番の課題というのは、やっぱりこれはもうどなたも言いますが、自給率の向上だと思うんですね。 振り返りますと、昨年の三月の閣議決定で食料・農業・農村基本計画というのができて、そこで、先進国の本当に最低と言われている四〇%のこの自給率を何とか十年掛かって四五%まで持っていこうと、こういうことを決めて、その後十月にいわゆる所得の経営安定対策等の大綱を作って、そして今年の国会で品目横断的経営安定対策の方向も作ったわけですね。ですから、そういう意味では、これらはすべて自給率を向上させていくための私は施策であると。しかも、それは国民にとって大変大事な問題だと思うんですけれども、しかし実際に農家の人たちと話していると、そこのところの意識といいますか、受け止め方というのはちょっと違うというか、少し乖離しているような気がしてなりません。大臣なり皆さん方はそうは思ってないかもしれませんけれども。 例えば農家の人たちが、率直に言って自給率を向上させるために我々はやっているという、そういう意識がどこかであったとしても、その受け止め方というのはやっぱり多少認識の違いというのはあると思うんですよね。だから、そういうことを考えると、やっぱりこの自給率の向上というのは非常に難しい。 そのうちの一つには、やっぱり米の値段が上がらないと、むしろ下がっていると。そういう、その下がり方もどんどん下がってきていると。もうその原因をただせば、これは米が余っているんだと、備蓄米がどんどん増えているんだと。 そういうことになってきたら、これをどうするかという、ここら辺からの問題解決をまず図っていかないと、例えば、じゃどうするかということになれば、今、例えばの例ですけれども、学校給食なんかでお金を払わない家庭が随分増えてきています。そういうことであれば、もういっそ、もう学校給食には無料のこういう備蓄米のお米をみんなに出して、そしてそれを使うとか、あるいはODAの事業にどんどんそういうものを使っていくとか、そういうようなものがやっぱりあって、その結果としてその余っているお米をどんどんやっぱり使っていかなきゃいけないんじゃないか。そういうところからさかのぼっていって、最後はこの自給率の向上まで行くんじゃないかなと、こんなふうな私は一つの考え方を持っております。 そういう点をひとつ何かのときに検討していただくようなことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。 |