国会活動報告 参議院厚生労働委員会

2009年7月7日 臓器移植法改正に関する対A案発議者質疑及び臓器移植法改正A案修正案の発議


谷博之は、下記の質疑を行った後、厚労委員長室にてA案修正案を有志代表として提出いたしました。

臓器移植法改正A案修正案のポイント    臓器移植法改正A案修正案

臓器移植法改正A案修正案要綱       臓器移植法改正A案修正案新旧対照表






171-参-厚生労働委員会-23号 2009年07月07日(未定稿)

○谷博之君 民主党・新緑風会・国民新・日本の谷博之でございます。
 今日は、それぞれ提出者の皆さんには大変御苦労さまでございます。
 質問の前に一点だけちょっとお話しさせていただきたいんですが、七月三日に、A案を提出された方々が、私たち参議院の議員会館の部屋にこの臓器移植法改正A案への御賛同のお願いという五人の提出者の連名で衆議院の先生方のこういう文書が実は入ってまいりました。これは、大変なそういうA案をそのままの形で可決、成立したいという思いがこの文書には入っているわけですけれども、基本的には今参議院が真剣に議論をしている中で、そういう意味では衆議院の皆さん方が可決したからということでその思いをお伝えしたいんだろうというふうには思うんですけれども、私個人が受け取った気持ちというのは、ちょっとやっぱりここまで御要請されるのかなというような思いもいたしました。
 ですから、いろんな受け止め方がいるということを、私はA案をどうのこうのというんじゃないんですよ、そうじゃなくて、そういうふうな院のやっぱりそれぞれの独立した検討している最中であるということは十分御理解をいただいて、そして参議院は参議院として全体が議論をしてその方向を決めるということでございますので、この点は、いろいろ言い分もあると思いますが、私はそういうふうに受け止めましたので、参考にしていただきたいと思っております。
 質問に入る前に、私自身の立場をまず冒頭申し上げたいと思うんですが、私は長い間、障害者の政策とか難病対策について当事者の皆さん方と長年一緒になっていろんな活動を取り組んできた一人の人間というふうに自分でも考えております。そういう中で、心臓移植を希求する親の気持ちとか、あるいはまた反面、長期脳死状態や重度の障害のお子さんの回復を願う親の気持ちもよく分かるような気がいたしております。
 そういう中で、したがって、それらの方々が共に共存可能な社会をつくれないのか、こういう立場は非常にこれは難しいわけですけれども、こういう思いを持ちつつ、特にA案の提出者の皆さんに何点かお伺いをしていきたいというふうに考えております。
 そのまず第一点は、通告に出しておりますけれども、衆議院ではちょっと十分な議論の掘り下げができなかったのではないかなという思いから質問をさせていただきたいんですが、A案が施行された場合、本人の意思が不明なまま家族の同意によって法定脳死判断が行われ、そして臓器摘出の最終確認を家族にしたときに、仮にその直後に本人の拒否カードが例えば自宅の机の引き出しから見付かったり、そういうことの結果、そこで家族が臓器提供の同意を撤回する、こういう場合もあるのではないかなというふうに思います。
 そのとき、一度は患者は脳死が確定しているので死亡とみなされ、呼吸器などは外されることになるのかどうか。また、その場合に本人の死亡時刻は脳死確定のときなのか、それとも家族の希望で呼吸器等の生命維持装置を継続し、最終的に心停止に至ったときなのでしょうか。

○衆議院議員(河野太郎君) 法的脳死判定にかかわる二回目の検査で脳死と判定された場合には、その時刻が死亡時刻になります。その後、本人の拒否カードの存在が明らかになったために臓器提供が行われないというときもそれは同様でございます。これは現行法のガイドラインでもそのように規定をされております。
 ただし、脳死判定が行われ、その者の死亡が確認されたからといって直ちに呼吸器その他の生命維持装置が外されることではございません。遺族の心情等に配慮して、心停止に至るまで呼吸器を装着するなど医療の現場で適切に配慮されるべきだと思っております。
 また、現行法の附則十一条に、脳死判定以後の呼吸器の使用その他についても保険が適用されるという附則の十一条はA案もそのままに残しておりますので、その場合も保険の適用になることになります。

○谷博之君 それじゃ、更に引き続いてお伺いしたいんですが、例えば本人の拒否カードが自宅の机の引き出しから発見されたのが既に臓器移植が済んだ後だった場合、この拒否カードが生かされなかった責任は一体だれが負うのでしょうか。家族なのでしょうか、それとも病院なんでしょうか、それとも立法府なんでしょうか。いかがでしょうか。

○衆議院議員(河野太郎君) 脳死判定あるいは臓器提供という切迫した時間の中で、御本人の意思の確認というのがきちっと尽くされなければならぬというのは言うまでもございません。
 A案では、そういうような事態を防止するように、カードが机の奥底にしまわれていて分からなかったということを防ぐためにも、臓器移植ネットワークに御本人の意思を登録することができるようにしてございます。また、免許証や保険証に意思を、要するに常に持ち歩いていらっしゃる可能性の高いカードに意思表示を記載する欄を付ける、そのようなことでそうした事態が起こらないように努めてまいりたいと思っております。
 これまで、腎臓移植その他で年間百件以上こういうケースがございますが、その後、本人の拒否の意思が判明をしたというようなことは起きておりません。これは、脳死からのこれまでの移植でも、二枚目のカードが見付かったとかそういうことはございません。
 ですから、そういうことは起きないというふうに思っておりますが、もし万が一先生のおっしゃるように、そういう場合が起きたときにどうなるのかというと、結果として本人の意思表示に反することになってしまいますが、十分な確認作業を、可能な限り十分な確認作業が尽くされている場合にはだれの責任ということにはならないというふうに思っております。

○谷博之君 今いろいろと御答弁いただきましたが、我々が質問をしているのは、今の御答弁は御答弁として分かりますけれども、想定し難いといいますか、いろんなケースの中で臓器移植の提供というのが行われてくるということになれば、例えば、家族がそのカードそのものを本人から聞いていないとか、あるいは本人自身がもう忘れちゃっているとか、そういうふうな状況の中で、どこかにしまっていたのがその後に出てきたということも、これはないことではないというふうに思っています。今そういう一定のルールというか、そういう状況を踏まえながら処置をしていくんだということですけれども、これは私自身がやっぱりちょっと一つのこれからの大きな課題として残るのかなという、そんな思いはいたしております。
 それから、次に、先ほど私も冒頭申し上げましたけれども、重度心身障害者とかあるいは難病患者の皆さん方のことについてちょっとお伺いしたいんですが、知的障害とか精神障害とか重度心身障害者、それから例えばALS、それから重症筋無力症等々、こういう重度の障害者やあるいは難病患者の皆さん方は意思表示が非常に難しい、こういう方々がそういう対象だと思っています。こういう方々については、現行法では意思表示ができなかった人として臓器提供者になることはないということを規定しています。そして、衆議院の審議の中でも、脳死は人の死であるということは臓器提供を選択した場合のみとすることがA案提出者からも説明がなされてきているというふうに我々理解しています。
 そこで、再度確認したいのですけれども、A案では、知的障害者など意思表示ができなかった人が家族の同意によって脳死が確定し臓器を提供することになってしまうのではないかということについての見解をお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(河野太郎君) A案は現行法と全く同じでございます。そのことにつきましては、知的障害の方あるいはその他の意思表示ができなかった方につきましては法的脳死判定を見合わせるということになっております。家族の同意によってそういう方々の脳死が確定するということは、法的脳死判定を見合わせる以上起こりません。そこは現行法と全く変えておりません。

○谷博之君 じゃ、それにさらに関連してお伺いしますけれども、そういう今申し上げたような知的障害、精神障害、重度心身障害者、ALSなどの意思表示の難しい難病患者の皆さん、こういう方々に対して臓器提供を拒否できることをしっかりと詳しく説明する対応や、そして、本人が臓器提供の拒否の意思を示すために必要なコミュニケーション支援をすることが、これある意味では拒否をする場合ですね、そういうことについてしっかりそれはそれとして、A案が成立すると同時にそういう整備をするというかそういう対応をするというのが不可欠のことになってくるんではないかと思います。
 そこで、これらについてA案発議者の皆さんは具体的にどのようにそうした対応をされていくべきと考えているのか。つまり、言い換えれば、これは障害者の国連の権利条約というのは批准を目指して今国内の法整備等々を取り組んでいるわけですけれども、そういう批准するという観点からも、こうした方々の臓器提供を拒否する権利は、丁寧にこれは保障されるべきではないのかというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

○衆議院議員(河野太郎君) 知的障害を始めとする意思表示がしにくい方であっても、拒否をされた意思表示は有効でございます。
 先生おっしゃるように、こういう方々の権利をきちっと御説明を申し上げるというのはこれは大変大切なことでございますので、A案では移植医療に関する啓発、知識の普及に必要な施策を講ずるという規定を入れさせていただいておりますので、こういう方が法的脳死判定の対象にならないということをまずきちっと分かるようにしていきたいと思っておりますし、そういう方にも拒否の意思表示ができるんだ、もちろん法的脳死判定の対象になりませんから拒否の必要性がないということもありますが、そういう方でもきちっと拒否の意思表示はできるんだということを明確にするためのあらゆる施策を講じてまいりたいと思っております。

○谷博之君 これ具体的な例としてお話し申し上げますけれども、ALSというさっき申し上げた筋萎縮性側索硬化症という、いわゆる難病中の難病と言われている患者の皆さん方。要するに、その症状が進行すると同時に自分の意思を伝達する手段というのがいよいよ低下してくるというか衰えてくるという状況になって、最後は目の、目線といいますか、それによって文字盤を使ってその患者さんの意思を確認すると、こういうところまで行くわけですけれども、しかしそれも最終的にはなかなか難しいということになれば、もう意思を伝達するということは非常に不可能になってくるわけですね。
 こういう患者さんやあるいはその家族や支援をしている方々の中から、やっぱり一番この部分についてのやっぱり懸念といいますか、そういう心配というか、そういう声が聞こえてくるということでありまして、今御答弁をいただきましたけれども、そういう方々の意思は尊重されるんだと、拒否するなら拒否するという意思は尊重されるんだということでありますから、これはこれとして是としながらも、そういう非常に大変な状況にあるという方々の立場というものもしっかり踏まえながら、そういう人たちに対する対応をどうするかを、このA案の成立と同時に、成立すれば整えていかなければいけないんじゃないかなというふうに考えているところです。
 もう一度、したがって、今の点について整理してお伺いしたいんですけれども、現行制度が例えばA案に変わると、障害者などの意思表示ができなかった人の取扱いは具体的にどのように変更されていくのか、お答えいただきたいと思います。

○衆議院議員(河野太郎君) A案でも現行法とこの分野に関しましては何ら変わるところがございません。障害者などの意思表示ができない方であることが判明した場合には、法的脳死判定は行われることがございません。ガイドラインのこの部分に関する取扱いにつきましては、今後とも維持されるべきだというふうに考えております。

○谷博之君 先ほど私の方でちょっと懸念すべきことについて幾つか申し上げましたけれども、いずれにしましても、参考人のいろんな質疑の中にも出ておりますように、本人の意思というものが、いわゆる臓器提供を是とする人、あるいはそれを拒否をする人、そういういろんな方々がもちろんおられるわけですけれども、そういう人たちのまずはやっぱり意思というのは基本的に尊重されるべきだろうと思っていますし、なおかつ、そういう意思表示のできにくい方、非常に厳しい方については、それはより、そういう意味ではその方の意思をしっかり確認できるような仕組みというものはこれから構築していかなければいけないだろうというふうに、こんなふうに考えております。
 最後に、私自身の、ちょっとこの件について、あるいは全体を通じて、見解というか主張を申し上げたいと思っていますが、ドナーカードの所持状況について、これは既に政府参考人からもその数字が出ていますけれども、七・九%から八・四%に増加していると、こういう結果が出ています。しかし、このドナーカードの記入状況については、カード所持者のうちの五〇・三%、前回よりも一〇ポイント減少しています。つまり、いわゆるカードの記入者については、全体としても記入している人が三・八%、これも若干減少しているという、こういう報告が政府参考人からありました。そうすると、逆算すると、九五%を超えるほとんどの国民が意思表示をしていないという状況に現在あるわけですね。今回のA案が全国民に対してドナーカードを所持することの義務付けや、もっと言えば臓器提供の意思表示の強制につながっていくものであってはならないというふうに私は考えております。
 この点について、ちょっと質問通告はしてないんですけれども、何かコメントすることがあったらお答えいただきたいと思います。

○衆議院議員(河野太郎君) 例えばA案では、非常に多くの方が保有されている運転免許証ですとか健康保険証にそういう意思表示の欄を設けることにしてございますが、それはあくまで欄を設けるということにとどめておりまして、そこにどちらかの意思を記入してくださいという強制は一切いたしません。意思を表示するかしないかも併せてそれは個人がお決めになることであって、記入する欄を設けることによってより多くの方に意思の表示をしていただきたいとは思いますが、そこはもう既に個人の決断の範疇というふうに考えておりますので、あらゆる方に意思表示を強制するようなことは、よもやA案では考えておりません。

○谷博之君 時間が参りましたので終わりますが、E案の発議者の皆さん方に質問ちょっとできなかったこと、残念ですけれども、大変申し訳なく思っておりますけれども、いずれにしましても、何度も申し上げますけれども、発議者の皆さん方の御労苦に敬意を表して、私の質問を終わりといたします。
 ありがとうございました。



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