2006年4月26日 男女雇用均等法改正案について参考人質疑
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164-参-厚生労働委員会-16号 2006年04月26日 ○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。 今日は、六人の参考人の皆様には大変それぞれのお立場から御意見を賜りまして、ありがとうございます。 私も、時間の関係で全員の方々にはちょっとお聞きできないということで大変申し訳ないと思っておりますが、質問をする私の基本的な立場というのは、先ほど連合の龍井参考人もお話ございましたように、今度の法改正でこの法律の理念に仕事と生きがいの調和を入れるべきだ、あるいは間接差別を限定列挙したことの妥当性はない、そして指針で例示列挙すべきだ、さらにまたポジティブアクションの義務化の明記、こういうことについて行うべきだ、こういう視点から御質問をさせていただきたい、自分のスタンスを明らかにさせていただきたい、このように思っております。 そしてまた、いろいろ御説明いただいておりますので、ちょっとそれを触れられている部分もあると思います。したがって、重複する質問になるかもしれませんが、ある意味では集約的な御答弁、御見解をいただくということで簡潔にひとつお答えいただきたいと思うんです。 まず、山田参考人に幾つかお聞きしたいと思いますが、一番大きな話ですが、まず今回の均等法改正の全体的な評価をどのように見ておられるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。 ○参考人(山田省三中央大学法科大学院教授) 今御質問にありましたように、基本的には先ほどの性差別の対象が男女に広がったということと、妊娠、出産等についての差別が保障、保護が拡大されたことはやっぱり評価するんですけれども、これは議論の分かれ目ですけれども、仕事と生活の調和を理念に入れるかどうか、あるいは間接差別の限定列挙についてはかなり、それについては大きな疑問を持っております。 ○谷博之君 続いて、仕事と生活の調和という理念を均等法に入れるという、こういうことについてお聞きしたいと思いますが、仕事と生活の調和という理念を均等法に入れても、その理念を実現する具体的な規定が存在しない限り不適切ではないかと、こういうふうな考え方があります。それからまた、仕事と生活の調和というこの理念は育児・介護休業法を始めとする他の法律のそういうものも含めて総合的になされるべきであると、こういうふうに考えているわけですが、こういう点についての御見解をお伺いしたいと思います。 ○参考人(山田省三君) 今御指摘ありましたように、この理念について、一つが、実質的に仕事と生活の調和という理念を実現化する具体的な対応する規定が均等法にないではないかというのが一つ言われていると。御指摘のとおりなんですけれども、これに対しては、先ほど申しましたように、一つには、二つの質問に一緒に答えさせていただきますけれども、生活というのは家庭だけに限定するものではなくて、そういう意味で、それは育児・介護休業法が基本的に対応しているわけですけれども、あるいは労働時間については労働基準法が対応しているんでしょうけれども、それは、やっぱり平等の在り方は、一つには、先ほど申しましたように、間接差別についての条項について解釈する場合には、単身赴任とか転勤条項というものを考えれば、単に転勤条項そのものよりも、その背景にある社会的な状況というのを無視しては間接差別はこの三つに限定しても成り立たないわけですから、そういう意味で、そういったものを、差別の理念を検討する場合の一つの解釈理念としてこの仕事と生活の調和というのが不可欠ではないかということが一つ言えて、そういう意味で、家庭生活ですね、育児、介護に生活を限定しないということで、もう一つが、立法理念として、これが解釈理念として含まれるということになりますね。 立法技術的に無理だと、それは恐らく立法の判断で、必ずしもこれ入れたら立法の面でおかしいということではないと思います。現に、今度の改正法案でも、この二条ですけれども、「労働者が性別により差別されることなく、」、それでまたその後ですね、女性労働者にあっては「母性を尊重されつつ」、これが、母性尊重と言っているのが妊娠、出産差別の今回の保護の拡大につながっていると思いますけれども、その後、「充実した職業生活を営むことができるようにする」という目的が入っているんですね。 これは別に、これ具体的にどれが対応しているかというと、必ずしもそうではないと思いますので、それは理論的にも、法理論的にも、立法論的にもそういった対応する規定がないから立法は要らない、私の個人の見解では十分対応している、その解釈理念として対応することになるんですけれども、そういった意味で具体的規定に対応していないという批判は当たらないんではないかと私は考えております。 以上です。 ○谷博之君 今もお触れいただきましたけれども、その間接差別の問題で、先ほどの説明でイギリスの例を挙げておられて御説明をいただいたわけですけれども、諸外国のこうした状況、特に限定列挙した法律というのはあるんでしょうか。 ○参考人(山田省三君) 諸外国では、イギリスが一九七五年に性差別禁止法を定めておりますし、EUの指令でもあって、各国にこれは、EUの指令は各国、加盟国を拘束することになりますので、そういった立法がなされております。そして、この彼らの立法の中で、私知る限りでは、これを限定列挙した法律、間接差別の範囲を限定列挙した法律は私の見た幾つかの法律の中ではありません。そういう意味では、日本の法律はかなり特異な、世界的に見ても特異な間接差別の規定ではないかと考えます。 ○谷博之君 ありがとうございました。 それでは、続いて西村参考人にちょっとお伺いしたいんですが、先ほど御説明の中で、同一労働同一賃金を定めたこの実定法が日本にあるのかないのかについてお聞きしたいというふうに思っておりますが、四月十九日のいわゆる参議院の本会議で我が党の和田議員が大臣に質問をいたしまして、その内容は先ほど御説明をいただきました。一言で言えば、大臣はあると。一方では、この委員会で、昨日の円理事の質問に対して北井局長はないと、こういうふうに答えているわけですが、これは明らかに矛盾をしているというふうに思うんです。 西村参考人の配付していただいたこの新聞のコピー、資料四でしょうか、これを見ておりますと、二〇〇一年の最高裁裁判官協議会の見解が新聞記事で紹介されていますけれども、こういう、先ほどの申し上げたような本会議と委員会の食い違い答弁等も含めて、西村参考人としてはここのところをどのように見ておられるか、どういうふうに考えておられるか、お聞きしたいと思います。 ○参考人(西村かつみ住友電工情報システム株式会社総務部チーフマネージャー) この付けさせていただいた資料ですけれども、私たちにとって非常に大切な賃金の問題があいまいになっているということで付けさせていただきました。 これは、発表されたのは二〇〇一年八月なんですけれども、実際、その最高裁が招集された裁判官協議会というのは一九九八年に開かれております。それで、ある弁護士が資料開示を請求してこれが出てきたというような内容なんですけれども、結局、その採用区分が違っていたときに、賃金で格差があった場合、それは違法かどうかということで、裁判官を集めて、労働裁判官を集めて研修みたいな形でされているんですね。そこでは、採用区分が違っておれば賃金格差があっても仕方がないという結論に達しているんです。 その理由として、付けさせていただいたこの資料の六枚目にありますけれども、百七十一ページという形になっていますけれども、上から十行目ぐらいです。また、実定法上、同一労働同一賃金の原則を定めた規定も見当たらないという、だから違法とは言えないという形で出されているんですね。 でも、ILOの条約も批准しておりますし、そういう状況の中でこんなふうになっていていいんだろうかということでこれは付けさせていただきました。是非、均等法でこの辺はきっちりしていただきたいなということです。 ○谷博之君 今回のこの改正案の中に、出されてきているその法改正案の中に、いわゆるその第二節に「事業主の講ずべき措置」というのがありまして、そこに「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」という、こういう大きな柱があるわけですけれども、これに関連して、実は私どもは修正案を提出すべく準備をしておりまして、その中に、この問題については、特にジェンダーハラスメントの問題ですね、この言葉についての解釈、いろいろありますけれども、いわゆるセクシュアルハラスメント以外の様々な性別による差別というものが現実にあるということになれば、そういうものも含めたいわゆる性別による固定的な役割分担等の意識に基づく言動、こういうものも含めたそういうふうな事柄に対する問題というのはやっぱり大事になってくるんだろうというふうに思うんですね。 現実に、まあこれはもうほとんど事例はなくなったというふうに思っていますが、昔、例えば公務員なり学校の先生なりが御夫婦で勤めておられると、片一方の御主人というか、夫の方が校長先生になると妻の方はどうしてもそういうことはなれないといいますか、そういういわゆる辞めざるを得ない方向に持っていかれるとか、そういうふうなことが現実にありました。そういうことを考えますと、非常にこれはある意味では大きなやはり問題だというふうに思うんですが。 そこで、西村参考人にお伺いしたいのは、そういうふうな事柄が、お勤めになっているその会社の中でも具体的にそういう問題が起きているかどうか、あるいはあるかどうかですね、ちょっとお答えにくいかと思いますけれども、お聞かせいただきたいと思っています。 ○参考人(西村かつみ君) やはりいまだに女性側とすれば、結婚して、まあ結婚は、今結婚ですぐに辞めるというのは少なくなりましたけれども、妊娠をした場合に、いろいろな形で、言葉だけではなくて、その仕事の面とかでもいろいろな形でやはり続けにくくなっているという状況はありますね。ですから、独身の場合ですと働き続けれるんだけれども、結婚して子供を産んだ場合に非常に厳しいという状況はあります。 妊娠して休まないといけない場合は、やはり周りの方にいろいろ迷惑が掛かり、迷惑というか、やっぱり大変です。そうしたら、その代わりの方を何とかしてもらわないといけないんですけれども、その辺がフォローされないと。そうすると、やっぱりその本人が気持ち的に非常にしんどくなって辞めていくという形もありますね。 ○谷博之君 実は、そこら辺、そこのところが我々としてはいわゆる今回問題になっているこの改正法案のやはり私はまだ問題として残っている部分だというふうに思っておりまして、そういうところを我々はこの法改正の修正をやっぱりしっかり求めていかなきゃいけないところじゃないかなというふうに考えているところです。 続いて、連合の龍井参考人にお伺いしたいんですけれども、昨日のこの委員会の議論とか今の龍井参考人の発言などを聞いておりましても、この間接差別問題についてコンセンサスがいろいろ言われておりますけれども、その点について再度御発言をいただきたいと思います。 ○参考人(龍井葉二日本労働組合総連合会総合人権・男女平等局総合局長) 御指摘のとおり、昨日伺っていまして、非常にコンセンサスという言葉が飛び交っていたわけですけれども、ちょっと違和感を感じました。 一点目は、先ほど山田参考人が御指摘になったとおりで、当然これは、未来永劫共通の基準というのがないことは承知しておりますけれども、いわゆる正義とか公正とかということがその時々のところで動いていっていいものなのか。やっぱりこれはある種価値判断の問題だというふうに認識をしていますので、特に今回の間接差別の場合にきちんと考え方がまず入るということが優先されるべきであって、それがまずコンセンサスのあるものからという、そういう規定の、まず規定の仕方そのものに大きな疑念を抱いています。 もう一点は、主張というより事実経過として申し上げておきたいのは、正直申し上げまして、分科会の中でこの三つの基準そのものについて労働側委員が了解したという経緯は実はございません。と申しますのは、研究会報告から出されて、七つの基準を一つ一つ吟味をして、これはイエス、これはノーということで三つ残ったという、そういう議論経過自体を今回の分科会ではしておりませんので、そういう経過だったということは御理解いただきたいと思います。 ○谷博之君 もう一つは、龍井参考人にお伺いしておきたいんですが、今度のこの法改正の動きについては、全国のもちろん連合に結集するそういう仲間の人たちを始め、いわゆる特に女性の、特に非正規で大変御苦労されているそういう方々から見ると非常に注目をされている動きだというふうに思うんです。 これはちょっと言いにくい話ですが、連合という大きな全国の労働組合の組織が、従来までこういう非正規の、特に女性の、大変御苦労されている方々に対してその問題をどこまで具体的に取り上げてこられたのかなというふうなことがあると思うんですね。 正規の労働者については今度の法改正でそれなりの、不十分といえどもある程度前進があるというふうに思いますけれども、そういうことについて、そうではない方々に対する対応といいますか、これをどういうふうにこれから考えていこうとしているか、お答えをいただきたいと思います。 ○参考人(龍井葉二君) ありがとうございます。 重要な叱咤激励として受け止めさせていただきたいと思っているんですが、連合は昨年の大会で、この二年間、パート契約労働者、派遣労働者に最大限の視点を当てていこうという運動方針を決定いたしました。 御指摘のとおり、えてして正社員中心、あるいはいわゆる勝ち組の人たちというふうに世間から受け止められていたのは否定しておりません。したがいまして、本当にこれはもうラストチャンスとして労働組合が自己改革をしていく時期だというふうに認識をしておりますので、一部報道されましたように、今年の春季生活闘争においてもパート春闘と銘打って、まあ言ってみれば連合としての役割をそっちにシフトしていこうと、そういう努力を始めたところでございますので、まだ歩みは遅々としているかもしれませんけれども、御理解をいただきたいと思います。 ありがとうございました。 ○谷博之君 最後に、もう一度山田参考人にお伺いしたいと思いますが、妊娠、出産等に関する改正点が今回出ておりますけれども、これについてどのような御見解を持っておられますか。 ○参考人(山田省三君) 先ほど申し述べさせていただきましたように、妊娠、出産につきましては非常に今回保護が拡大されたということ、特に、これは法案自体にないんですけれども、妊娠に伴う欠勤とか能力低下についても不利益取扱いが禁止されたことは大きな評価ではないかと思います。 先ほど申しました、理論的問題として先ほど申し上げたんですけれども、この妊娠、出産等については大きな前進であるとは考えますけれども、婚姻について、申しましたように男性が、今回の均等法改正は男女双方に関する差別を禁止するという趣旨であるにもかかわらず、妊娠、出産は女性ですけれども、婚姻は男性ということもあると。その意味で、男性に対するこの差別を禁止しなかった、婚姻を理由とする差別を禁止しなかったことについては理論的課題は残るという認識を持っております。 ○谷博之君 ちょっと、時間の関係で御質問をできなかった参考人の方々にも大変申し訳ないと思っておりますが、いずれにしましても、私どもといいますか、私個人でもありますが、今回のこの法改正については、一番問題になってくるのは十年ごとの法改正といいますか見直しということで、法律できて二十年ですけれども、そういう状況の中で、一番今後の激動するこういう労働情勢といいますか、そういう状況の中でやはり見直しのそういうふうな具体的な条項というものがやっぱりきちっとできてこないと、いろいろまた大変な問題が生じてくるというふうな気もいたしております。 こういうことについては、これは参考人の方々にもお伺いをしたかったわけですが、時間の関係で、私のちょっとそういうふうな考え方も申し上げまして、以上で終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。 |