国会活動報告 参議院厚生労働委員会

2004年5月13日 薬剤師の過剰、疑義照会、東京理科大学の動物実験問題について

159-参-厚生労働委員会-16号 2004年05月13日(未定稿)

○谷博之君 おはようございます。  私は民主党・新緑風会の谷博之でございます。今日は質問の機会をいただきましたので、早速質問に入りたいと思います。  質問に入る前に一言申し上げたいと思いますが、昨日、本会議で年金法の法案の趣旨説明がございまして、小泉総理そして坂口厚生労働大臣始め各閣僚からの、大臣からの御答弁もございました。法案の内容については、まだ委員会にも付託されておりませんので、中身については直接はお聞きしませんけれども、大変政府側の御答弁は私たちにとっては内容のない非常に不十分な答弁だったというふうに考えております。  したがって、当然これはこれから本委員会でこの重要法案が質疑をされますけれども、私は国民の、正に日本のいわゆる社会保障政策の一番中心的な柱であるこの年金制度が今後どうなるかということが非常に注目されている中で、この法案の具体的な審議をするこの本委員会、厚生労働委員会、そこに我々は参画をしているわけでありますけれども、そういう委員会に所属をするすべての委員は、自分自身が年金の未納問題がどうなっているか、このことぐらいははっきりさせて、そして責任ある立場からこの法案の審議をしない限り、私は国民もそのことは納得しないだろうというふうに思っています。  そして、各政党におきましても、それぞれ国会議員の未納問題についての報告、発表もしておりますけれども、私どもも、民主党も間もなく全部の国会議員の内容について公表いたしますけれども、少なくともまだ公表されていない政党の皆さん方には、特にこの本委員会の委員という立場もあるわけでありますから、速やかに御自身のお立場を明らかにさせていただきたい。  このように考えておりますが、委員長に、この内容について御検討いただけますでしょうか。

○委員長(国井正幸君) この問題については、後日理事会で協議をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)後刻。

○谷博之君 それじゃ、そういうことで、委員長にゆだねたいと思っております。  それでは、早速ですが、付託されております薬剤師法の改正に関する質問をさせていただきたいと思います。  厚生労働省は、平成十四年の六月に薬剤師問題検討会というのを設置しまして、そして薬剤師国家試験のいわゆるその受験資格の問題、あるいはまた薬剤師の資質の向上の問題等々について検討されてまいりまして、同年の九月にその中間のそのいわゆる内容を発表しております。中間ではなくてその内容の発表をしております。そして薬剤師需給の将来の予測というものを明らかにしておりますけれども、まず、その具体的な中身について簡潔にお答えいただき、そして、この予測以外に、他にも資料等があればその内容についても教えていただきたい。

○政府参考人(阿曽沼慎司君) お尋ねのございました平成十四年九月二十七日に薬剤師問題検討会で取りまとめられました薬剤師需給の予測について御説明申し上げます。  これは、需給予測のポイントでございますけれども、就業を希望する薬剤師数につきましては、平成十二年末の総薬剤師数をベースといたしまして、総薬剤師数が、毎年、過去五年間の国家試験合格者数の平均で増加をするという前提、それから、総薬剤師数に占めます就業を希望する薬剤師の比率が一定であろうという一定の仮定の下に算出をされております。また、薬剤師の需要につきましては、医薬分業の進展状況によって異なりますので、分業率が五%あるいは三%で進展する場合ということで算定をいたしております。  そういうふうな仮定の下で、その結果、この報告書におきますと、需要予測におきましては、薬剤師全体につきましては、就業を希望する薬剤師数が需要を上回ると。需給差は、その需給の差でございますけれども、平成十八年から二十二年にかけて最も縮まっていくだろうと、その後また拡大をしていくだろうということでございまして、今後いわゆる薬剤師不足が生じるということはないであろうということが一つでございます。それからまた、薬局の薬剤師につきましては、これも見込みによるわけでございますけれども、医薬分業率が年五%増で進展したといたしましても不足は生じないだろうと。それから、平成十九年以降、毎年新規の薬剤師数が逆に今度三〇%程度で減少しても、薬剤師不足は生じないであろうと。  というふうな需給予測でございまして、結論といたしまして、新規の参入薬剤師数については現状より増加しないように配慮すべきであるし、慎重に対応すべきだと。あるいは、薬剤師免許を取得したにもかかわらずその専門性を活用できないという状況を防ぎ、薬剤師の適正数を保ちながらその資質向上を図り、質の高い、安心、安全な医療を提供するためには、平成十九年以降、各年の新規薬剤師が段階的に減少し、最終的には二〇%程度で減少することが重要ではないかというふうな指摘をいただいております。  それから、もう一つお尋ねがございました、これ以外に資料はないかということでございますが、過去に厚生科学研究等で予測が行われているようでございますけれども、一番新しいデータを基にして分析をいたしましたのがこの平成十四年九月の報告書でございまして、これ以外、あるいは薬科系の大学、あるいは研究機関独自に予測データがあるかどうかについて私どもは承知をいたしておりません。

○谷博之君 今の御答弁に対し、大臣はどのような感想あるいはお考えを持っておられましょうか。

○国務大臣(坂口力君) この薬剤師さんの需給問題といいますのは、一つの真剣に考えなきゃならない時期に来ているというふうに私個人は思っております。  先日もここで議論されたところでございますが、現在約二十三万人ぐらいと思っております。また、毎年卒業される皆さん方は、医師の卒業される方をもう既に上回るぐらいなところに来ているのではないかというふうに思っておりまして、かなり卒業者も増加をしてきているという状況でございます。  いよいよ六年制にここで突入するわけでございまして、六年制になりましたときのそのカリキュラム、あるいはまた卒後の教育、あるいはまた実習等々につきまして、平成十八年スタートまでに一度見直しをしなければならないわけでございますし、それに合わせてやはり今後の問題も一つの方向性が出るのが私は望ましいというふうに思っている次第でございます。

○谷博之君 今の御答弁を聞いておりまして、具体的に年度の数字が、平成十八年度からというふうなちょっと数字も出てまいりましたけれども、我々は今の予測とは若干考え方が違っておりまして、まあ早ければ平成十八年度ごろから薬剤師の過剰傾向が出てくるのではないかと、こんなようなことも実は予測しております。  今年の四月の二十日の衆議院の文部科学委員会で参考人質疑が行われまして、ちょっとその参考人質疑を見ておりますと、薬学教育協議会の井村参考人という方がこのようなことを言っております。  この長期実績実習の実現に向けて努力をしております私どもの立場からしますと、気に掛かっていることがございます。それは、このところ薬科大学の新増設が次々に行われていることでございます。  この二年間、つまり十五年度と十六年度で、何と既に十校の新増設がございました。この傾向がもし続けば、どうしても施設の確保が難しくなりまして、無理をして実習の調整をすることはできましても、実習の質そのものが薄められてしまうというおそれが十分にあるかと考えておりますと、こういうふうな参考人の発言をしております。  こういうことも参考にしながら次にお聞きしたいんですが、このいわゆる報告書が作られる一つの、需給予測に当たってのベースの、一つの判断数値ということで、過去五年間の国家試験の合格者の平均が毎年八千九百七人、こういう数字を挙げられております。つまり、新規参入薬剤師数というこの数ですけれども、これは、改めてお聞きしますが、この過去五年間というのはいつからいつまでの年度の数字でございましょうか。

○政府参考人(阿曽沼慎司君) 最近の大体の国家試験の合格者数を見ますと、大体毎年八千人から九千人程度ということでございまして、平成十年で例えば申し上げますと八千三百八十七人、それから十一年で九千五十一人というようなことで、それを大体平均いたしましてそういう数字だということでございます。

○谷博之君 それでは、また重ねてお伺いしますが、先ほどの参考人の発言もちょっと引用さしていただきましたが、平成十年度から十六年度まで、具体的に新増設された薬学部は全国にどのぐらいあって、既存大学の定員増も含めて薬学部入学者数はどれぐらい増えてきているか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。  まず、平成十年から十五年度まででございますが、十年から十五年度におきましては薬学部の新設が二件ございました。また、薬学部の入学定員の増加につきましては、今申し上げました薬学部の新設によるものが二百七十名、それから既設大学の入学定員増によるものが四百九十名で、七百九十五名の増加でございます。  それに加えまして、平成十六年四月の段階で八学部が新設されまして、その際、入学定員が千三百四十五名増員しております。

○谷博之君 今の数字を挙げていただきましてお分かりのとおりだと思いますが、ここ数年、特に平成十六年度は大変学部の増設がございました。八学部で、八つの大学で学部の設置を認めることとなりまして、平成十六年だけでも合計千八百四十人もの定員を新規に認めると、こういうふうなことになっていると。私の手元に全国の大学の薬学部の一覧がございますけれども、大変人数が、ここ四、五年入学者の定員数が増えてきているということは、明らかにこれは数字で出ております。  このことにつきまして、実は衆議院の文教科学委員会でも質疑が行われておりまして、河村文部科学大臣はこのように答えております。医師、歯科医師、獣医師の養成については、所管官庁の方針があるので、文科省として学部の新増設の抑制を図っているが、薬剤師については厚労省がまだ方針を示してこないのでということでこの新しい学部の新増設を認めていると、こういうふうな答弁なんですけれども、この点についての答弁は間違いございませんか。

○政府参考人(徳永保君) 四月二十一日の文教科学委員会におきまして、大臣の方から御答弁申し上げましたのは、薬学部等の設置認可につきましては、従来、文部科学省では原則抑制、すべて、薬学部に限らず、大学あるいは学部の設置あるいは入学定員の増については抑制をするという方針でございましたが、これにつきましては、総合規制改革会議の方から大学の設置等に対する参入規制として働くことと考えられるので問題であるという指摘がなされ、規制改革推進三か年計画、これが平成十四年三月に閣議決定をされました。  これを受けまして、平成十五年四月より原則抑制の方針を転換をしたということを御答弁申し上げ、その上で、薬剤師の需給問題については厚生労働省においてその対応策が示されていない状況であるが、厚生労働行政の中で幅広い観点から検討されるべき課題であること、その上で、現在の状況では薬剤師の需給問題への対応策の一つとして薬学部の新増設を抑制することは取り得ない旨、そのことをお答えしたものでございます。

○谷博之君 そうしますと、文部科学省の側からすれば、厚生労働省が言うならば抑制をしてくれと言ってこないから学部の増設はこれからどんどん認めていくという、こういう形になっているというふうに我々は取らざるを得ない。  総合規制改革会議のそういうふうな話も出ましたけれども、この点については、坂口大臣、どうなんでしょうか。ということは、このままの状態を続けていくということなんでしょうか。

○国務大臣(坂口力君) 現状を見ておりますと、医薬分業もかなり進んでまいりまして、そして一時、薬剤師さん不足というのが言われたこともございましたが、最近は大体確保できる状況になってきているのではないかというふうに思っております。  ドラッグストア等もありまして、そうしたところにどうするかというような問題もあって、そうしたところにすべて薬剤師さんを正規のようにちゃんとしていくということになりますと需給状況どうなのかということが今課題になっているというふうに思っておりますが、将来の問題といたしまして、これはぼつぼつ人口も減ってくるわけでありますし、少し中長期的に見ました場合に、この現在の状況から更に学部を増やして、そして薬剤師さんが増えていくということで需給関係がどうなるかということは、今考えなければならないことの一つというふうに私は思っております。  先ほど文部科学省の方から御指摘いただきましたように、総合規制改革会議での御意見というのもあるわけでございますけれども、しかし我々は我々としてやはりはっきりした意思を持たなければならないんだろうというふうに思っている次第でございます。  ここは文部科学省の方ともよく御相談をさせていただいて決定をしなければいけないというふうに思っておりますが、現在の状況、そして六年制になりましたときに、その六年制の学校のハードルと申しますか、どういう高さにするかということともこれは関連をしてくるわけでございまして、そうしたこと等総合的に私は考えていくべき問題だというふうに思っております。  先ほど、十八年と申しましたのは、十八年からこの六年制大学がスタートするものですから、それまでにいろいろ議論を重ねて、そして一つの方針を明らかにしていかなければいけないと思うんです。十八年からといいましても、十八年からスタートするわけでありますから、その前にやはり方針を示しておかなければ各大学もお困りになるということもあるだろうというふうに思っておりまして、そうした時期を迎えているということを申し上げたのは、先ほど申し上げたとおりでございます。

○谷博之君 私の方で聞こうとしていた内容についても若干触れていただいたわけですが、実はおととい、私も文教科学委員会でいわゆる学校教育法の改正法案の中でこの薬剤師の六年制の問題についても質問をさせていただきました。  平成十八年からスタートして、六年制がスタートする、つまり平成二十四年に六年制で初めて卒業生が出てくるわけですね。平成十七年までの入学者というのは四年制です。途中から、もちろん、四年制で入学しても六年制に移行することはもちろん可能だと思いますけれども、ちょうどそうしますと、平成二十二年、二十三年度の卒業生辺りが若干数的には少なくなるのかな、こういうふうに思いますけれども、その以降はまた言うならば卒業生が増えて、そして薬剤師の国家資格を受ける人も増えてくる、こういうふうな一つの波があると思うんですね。  そういうふうな一つの将来の推計ですね、どういうふうな形でいわゆる薬剤師の国家資格を取るための人が推移していくのかということと、それから現状、そういう資格を取った人たちが実際に社会に出てどういうふうな仕事に就くか、有職の立場になっていくのかということについては、これは極めて、非常に読みにくい、そういうものがあると思うんですけれども、そこらについては、今の大臣では、それらについても十八年度前にやりたいというふうなことで御答弁がいただいたような感じしておりますが、そういう点からしますと、私は、是非、この問題については文部科学省と厚生労働省の間で、そういう実際の推移を見ながら、いわゆる全体の数の抑制なりあるいは認可なりというようなことをやっぱりやっていっていただきたい。  そうしないと、確かに医師、歯科医師、獣医師は具体的にそういうふうな資格を取ったその道に専門的に進むわけですが、薬剤師は比較的にそれが門戸が広いからということでどんどんどんどんそういう資格を取る方を増やしていきますと、これは当然限界があるわけですから、とすると、ある程度そういう関係者から数の一定の抑えをしてほしいといったときに、結局それは教育機関をどんどん増やしているわけですから、後でそれをどこでどう調節するかというと、僕は薬剤師の国家資格の合格率を下げていくしかないような気もするんですよ。  そういうことは実際は難しいと思いますけれども、そういうふうなこともありますので、これは是非、いわゆる私は、薬剤師を養成する機関の問題と、それからそれを国家資格として認めて社会に送り出していく、そしてその後の様々な対応をする厚生労働省との間に、私は今まで以上にきちっとした連係プレーを取っていただくように是非これは強く要望しておきたいと思っております。  それから、続きまして、薬害被害者の声の反映ということでお伺いしたいと思いますが、薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議、これが平成十五年の八月、中間取りまとめを行っております。それに対して、全国薬害被害者団体連絡協議会、通称、我々はこれを薬被連と申しておりますけれども、この薬被連から意見書が出ております。  この意見書についてお伺いしたいわけでありますが、その後、この薬害教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議が本年二月、最終報告を出しています。そこで、この報告書の中に、この薬被連の先ほど申し上げた意見書がどのように反映されているのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。  御指摘のように、平成十五年九月に薬学教育の改善・充実についての中間まとめを出したわけでございますが、それに対しまして全国薬害被害者団体連絡協議会から、薬害や薬剤に関する医療事故の実態から、医療倫理、患者の人権について学ぶことが薬学教育には重要である、そういう趣旨の意見書が出されているわけでございます。その中でまた、薬害教育をすべての大学で必修化すること、あるいは薬害等の被害者から直接話を聞く授業を実施すること、そういったことも要望されているわけでございます。  この意見書を踏まえまして、さきに申しました薬学教育の改善・充実という最終報告書では、中間まとめの段階では盛り込まれておりませんでした医療事故や薬害を防ぐ危機管理能力を身に付けることが薬学教育に期待される、こういう記述が追加をされております。

○谷博之君 私もこのいわゆる最終報告を何度も拝見をさせていただきまして、その点については、当初は、中間取りまとめでは「倫理観なども身につけることのできる教育」というところを、これを今もお話ありましたように「医療事故や薬害を防ぐ危機管理能力なども身につけることのできる教育」、こういうふうに記述を改めている、こういう点は私どもも承知をしております。  それでは、今お触れになったことは薬学教育カリキュラムに具体的にどのようにこれが反映されようとしているのか。

○政府参考人(徳永保君) お答えを申し上げます。  平成十四年八月に、日本薬学会の方で薬学教育モデル・コアカリキュラムというものを取りまとめたわけでございますが、その中で特に薬害防止に関する教育内容あるいは目標として、一つには、医薬品の適正使用における薬剤師の役割について概説できる、きちんと理解をするということ、また、薬害について具体例を挙げ、その背景を概説できるようにすること、あるいは、薬物の主作用と副作用、毒性との関連について説明できるようにすること、代表的な薬害の例、サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジンなどについて、その原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を討議する、こういったことが挙げられているわけでございます。  このモデル・コアカリキュラムは、すべての薬学生が卒業までに身に付けるべき最低限の到達目標、こういうものを示したガイドラインでございます。私どもといたしましては、薬学問題の重要性にかんがみまして、今後、各大学におきましてカリキュラムの編成をする中で、こういうような内容が実際にカリキュラムの中に反映をされ、実現をされ、薬害防止に関する教育が充実されますよう、各大学の取組を促していきたいと思っております。

○谷博之君 薬剤師問題検討会の中間報告書、これ平成十五年十月二十九日に出ておりますけれども、この中にはやはりこのようなことが指摘されているんですが、近年、医薬品に関連する事故が数多く発生しているが、調剤の段階から実際に患者が服用するまでのすべての段階を通じての薬剤に関する総合的リスク管理を薬剤師が十分行っているとは言えないという、こんなようなことも触れておられます。  今、薬学教育カリキュラムの話でお伺いをいたしましたけれども、こういう問題については、現役で既にもう薬剤師として活躍をされておられる方々、こういう方々に対する生涯研修といいましょうか、そういうふうなことで、よりこの内容も徹底していかなければいけないというふうに思いますが、これは厚生労働省の方でどのように考えておられましょうか。

○政府参考人(阿曽沼慎司君) 御指摘のように、薬剤師の生涯教育というのは大変重要でございまして、私ども今現役の薬剤師さんのためにもそういう実務実地研修が大変重要であるというふうに思っております。  厚生労働省としては、適切な指導者の下で業務全般の幅広い基本的研修をするということで、平成九年度から薬剤師の実務研修を実施しておりますが、これから先、更に拡充をしたいというふうに考えておりまして、その実務研修の拡充をする中で、今御指摘のございました副作用被害問題についてどういうふうに学んでいくかというふうなことは大変重要でございますので、よく研究し、検討していきたいというふうに考えております。

○谷博之君 それでは、引き続きまして、一昨日の当委員会でも当然出ている話ですが、薬剤師の疑義照会の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  私も、一昨日の文教科学委員会でこの問題を取り上げました。特に、具体的には、今年の四月、聖マリアンナ医科大東横病院で、六十歳代の男性が、併用ができない二つの抗がん剤を処方し、それを病院側が投薬したミスによってこの方が亡くなったという、こんなような事故も新聞で出ております。  日本薬剤師会の最近の調査によっても、全体の処方せんの約二%程度しか疑義照会というのが行われていないと、こんな数字も出ているわけです。私は、医療現場で、特に医師、歯科医師の方々が薬の処方せんを出して、それを薬剤師の方が調剤をする。薬については両者とももちろんプロであるわけで、専門家であるわけですけれども、特に薬については薬学のそういう勉強された方々が非常に知識を豊富に持っておられるわけですが、そういう立場から、処方せんの中身について、果たしてこれが、この量が多いのか少ないのか、あるいはこの薬とこの薬はどうなんだろうかと、こういういろんな具体的な疑問等がわくこともこれは当然あるんだろうと思うんですね。  そうしたときに、いわゆる薬剤師側から医師、歯科医師、獣医師の方々にそのことを確認をする。この薬の調合についての内容について確認をするということ、これはもう当然必要なんですけれども、現実にはなかなかできにくい状況があるということを我々は専門家の方々からよく聞いています。  つまり、問い合わせたところ、担当の医師、その処方せんを作ったお医者さんがほかに診療しているとか、いろんな事情があってそれを受けることができにくい状況がある。あるいは、何度も疑義照会をすると、もう、ちょっと忙しいから勘弁してくれとか、そういうこともあるやに聞いているわけでありまして、そういうようなことで、医師に何か言われたらどうしようかとか、あるいはいつもこれだからとか、不快な思いをしたくない、こんなようなことで疑義照会をためらう風潮が実際には強いというふうに言われているわけでありますけれども、勇気を持って疑義照会をしても、医師と直接話をさせてもらえず、病院の事務職員が門前払いをするというケースもあるというふうに聞いております。  そこで、薬剤師からのこうした疑義照会への対応について、それを受ける側の医師や看護師、病院の事務職員は、こうしたことのないようにするために、どのように対応すべきかを実際の現場やそういうところで研修教育をしていこうとしているのか、この辺についてのお考えをお聞かせいただきたい。

○国務大臣(坂口力君) 疑義照会の話、先日も出たところでございますが、大変、薬剤の方面におきましても進歩が目覚ましいわけであります。 したがいまして、新しい立場からいろいろの御意見を薬剤師さんがおっしゃる機会というのは、私は今後一層また増えてくるものというふうに思っております。  それで、先ほど大学病院の中の間違いのお話もされましたけれども、やはり病院の中で、特に病棟ですね、病棟でいろいろの注射を行う。特に、混合して、そして点滴注射を行うといったような場合に、現在、ほとんどの場合、看護師さんにゆだねているわけでありまして、本当はここに薬剤師さんに関与をしていただかなければならない問題だというふうに思っております。先ほどの問題ともこれ関連するわけでありますが、そうしたことに薬剤師さんが今後関与していただくようになりましたときに、薬剤師さんの数が一体どれだけ必要かということにもつながってくる話でございます。  そうしたことを考えて、そして、特に疑義がありますときには、薬剤師さんとそしてその担当の医師とが直接お話をしていただくというのが一番私はいいんだろうというふうに思っております。だから、病院の中でそういう体制ができていなければならないと思いますし、やはりそこはしっかりとした薬剤師さんが権限を持って御主張をいただく体制でなければならないというふうに思っております。医師の権限のみが強過ぎて、そして他の職種の皆さん方が従属的であり過ぎるということは、大変これからの医療に取りまして問題があるというふうに思っております。  したがいまして、疑義照会、二%というのが多い数字なのか少ない数字なのかというのはそれはいろいろ議論あるだろうというふうに思いますけれども、やはり疑義を持たれましたときには、これはその医師に直接やはり言っていただく、そして、直すべきは直すというルールを確立することが大事であるというふうに私は思っておる次第でございまして、中に、事務職員の皆さんですとかそうした方が中に入りますと、中に入られた皆さんも専門的なことは御存じではないわけでありましてお困りになるだろうというふうに思いますから、そこは医師と直接お話をいただいて、日々解決をしていただくルール作りをどうしていくかということに私はなるというふうに思っております。  全体として申し上げれば、そういう薬剤師さんのお声が十分反映できる環境作りというものを今後どうしていくかということだろうというふうに思っております。

○谷博之君 大臣の御答弁についてはよく分かったわけでありますが、私は、これは意見をちょっと言いますが、この疑義照会というのはじゃ何%あればいいとか、そういうふうな具体的な数字というのはこれは立てにくいと思うんですが、やっぱり現場で疑問を感じれば、それはその疑問について確認をするという、こういうふうな作業はこれは絶対必要であって、そのことによって医療ミスというものは減らされていくということになると思うんですね。  したがって、そういう意味ではこの疑義照会、これ二%が高いか低いかというふうなこと、これは議論の難しいところですが、少なくともいわゆる過去からのそういう一つのデータを取って、そして疑義照会を更に増やしていく、そういう一つの指標的なものを作って、そしてともかく細かいことでも照会をするというふうなことの中に、やっぱりみんなが研さんをし合って疑義照会の件数、パーセンテージが減ってくるということになっていくと思いますので、そういう点で、確率の増加を一つの指標として取り上げていくという、そういうふうな考え方、やり方も是非検討していただきたいというふうに思っております。  それから、いろいろ時間の関係ございまして、予定した質問が十分できません。  東京理科大学における実験動物の取扱いについてお伺いしたいと思っております。これはまた一昨日の文教科学委員会でもいろいろ細かく質問させていただいたわけでありますが、これは御案内のとおり、東京理科大学が昨年、千葉県の野田に薬学部を移転をいたしました。そして、生命科学研究所、それからこの薬学部、両方そうなんですが、いわゆる非臨床試験としてのこうした実験動物を飼育をして、そして当然それを医学、薬学の面で活用しているわけであります。  ただ、この大学の実験動物の扱い方というのは、例えば、本来決められたところで飼育すべきところが施設の外のそういう建物で管理をされたり、あるいはまたその動物を簡単に持ち運びをして、結果途中でその動物が逃げ出したり、あるいはまた繁殖記録等が全然取られていない、こういうふうなことがある。例えば、その実験動物を限られたスペースに飼育をする。そのときに、何十倍もの量の動物を本当に狭いかごに入れて飼育をするというふうなことで、結果的に食料、水も与えないということ、食料というかえさを与えないというようなことで飼育動物同士が共食いをするという、そんなような実態がこの薬学部の現場で行われていると、こんなようなことがその施設の委託管理業者から内部告発という形で今年二月に文科省に提出されております。  この辺の内容については一昨日、私は文科委員会で聞いたわけですけれども、こういう内容を受けてお伺いをしたいと思っておりますが、こういう実態になった理由というのは、そもそも我が国に現在この動物実験に関する法制度が整備されていない。その結果、その適切な扱いは基本的に実験者の自主的規制、努力にゆだねられていると。そしてその結果として、現実にはこの点が不備のために、私たちは日本じゅうのどこでどんな動物実験が行われているのか全く知ることができないという状況に今あるわけですね。  つまり、全国にこれだけの大学の薬学部があります。この薬学部はほとんどそういう実験動物をしています。そういうふうな実験動物の行っている大学の建物のすぐわきに住んでいる方々が、例えばいわゆる感染症の疑いのおそれのあるそういうふうな動物が逃げ出す、そういうことについてもそれはなかなか分からないと、こんなようなことで大変不安に思っている人たちもいるというふうに言われています。  したがって、このような実態について厚生労働省としてはどのように把握をされておられるか、まずお伺いしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 具体的な数字等、また事務局からも補足させますけれども。  昨年の十月でございますか、この感染症法を改正をいたしまして、そして動物を疫学調査の対象として明記をするといったことを昨年したところでございまして、また、動物を媒介いたします四つの、四類の感染症につきましても、消毒薬とか動物の駆除等の必要な対処措置といったものを行えるようにすると、こういうことにしたわけでございます。  御指摘のとおり、動物と人間と共通の病原体と申しますか、共通の病気もあるわけでございまして、やはり動物を飼育いたしまして、そしてそうしたことを研究をするということになりますと、その動物の管理というのが非常に大事になってくることは御指摘のとおりと私も思います。  これは、薬学部だけではなくて各医学部でありますとか他の研究所にも共通する問題でございますが、多くの病院はこの動物の、実験動物の管理というものに非常に気を遣っておりますし、中には実験動物担当教授というのを作ったりというようなところもありまして、その遺伝的なものから、あるいはまた飼育の問題から、あるいは感染症の問題から非常に気を遣っているところがございますが、やはり実験の基礎になる問題でもございますしいたしますから、そうした意味からも非常に大事でございますし、今御指摘をいただきましたように、周辺の住民との皆さん方の間との問題というのも確かにこれは存在するというふうに思っております。そうした管理というものが、やはり行き届いた管理が行われなければならないことは間違いがございません。そうしたことにつきまして、我々も十分に今後注意していきたいというふうに思います。

○谷博之君 重ねてお伺いをいたしますが、この東京理科大学の問題については、その後、地元の千葉県の野田保健所が立入検査に入ったり、あるいはまた今年二月以降、文部科学省も大学側からその辺の事情について聴取をしているということ、それらを受けて、この大学では五月に大学内部にそういう調査検討の真相究明委員会を作って、今その調査しておりまして、それを発表したいと、こういうところまで話は来ております。  我々は、そういう中で、今年の二月に遺伝子組換え生物規制法という法律が施行されまして、この三十一条にはこういう疑いのおそれのある施設についての立入検査ができるという、そういうことが法律で裏付けられるようになりました。したがって、五月ごろということですが、大学側からそういう真相の内容が発表されると。その場合に、もし実験動物を飼育施設以外で飼育をしたり、逃亡の事実が過去にあったり、こういうようなことが現実に報告として出されたときには、今申し上げたような法律の三十一条を使って改めてこの大学に立入りをする考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(石川明君) 東京理科大学の動物飼育の関係のお尋ねでございます。  ただいま先生からお話がありましたようなことにつきましては、現在、東京理科大学の調査委員会で調査が進められておりまして、これによって事実関係が明らかにされるものと考えておりますけれども、私どもの方でも東京理科大学から既に様々な形で事情を聞いております。  それによりますと、過去において遺伝子組み換え動物が逃亡防止設備を備えていない実験室で飼育されていたというような事実があったということでございますけれども、現時点では改善をされておると。また、動物の逃亡があったことを示す事実というものは確認をされておらないと。それから、遺伝子組換え生物等規制法に基づいた措置と、これは適切に現在取られておるというような報告を受けているところでございます。  このため文部科学省といたしましては、法律に基づく立入検査を実施するというような必要性は今のところはないというふうに考えておるところでございますけれども、このような問題が再発しないように、同大学におきまして体制整備など適切に対応するということがまずもって重要であると思っておりますし、文部科学省といたしましてもこの点につきまして今後とも十分に注意を払っていきたいと考えております。  なお、もし東京理科大学の調査委員会の報告書等におきまして、新たな問題が明らかになるような、そんなような場合におきましては、その内容に応じてこれまた適切に対応してまいりたい、このように考えております。

○谷博之君 この問題は、冒頭申し上げましたように、この大学のこうした実験動物を飼育の管理を委託された委託管理業者がもう過去十数年にわたって具体的に学内であったことについて細かく事実を羅列をして大学、文部科学省の方にそのことを内部告発しているわけですね。そういう非常に重大な私は問題であると思っていますが、文部科学省の側はかなり慎重にそれを対応していると思うんです。  これは、私は国立大学の場合はそういうことはないと思いますね。私立大学であるがゆえになかなか腰が引けているというふうなこともあるのではないかというふうな気もするんですね。少なくとも動物にも一つの、人間の人権じゃありませんけれども、一つの権利があるんですよね。いわゆる人間の福祉もそうですが、動物にも福祉があります。そういうふうな貴重な実験動物をたくさん使ってたくさん殺せばいいんだということではないと思うんですね。そういう中で、やっぱりいかに人間の薬や生命を維持するためにその薬を作って、そういうふうな実験動物が犠牲になりつつ一つの薬ができてくるわけです。そういうことを考えたときに、現実にこういうふうな実験動物が、そういう事実はないとおっしゃっていますけれども、もしあったとしたら、これは私は非常に問題があると思うんですね。ですから、この五月の、あるいはそのころに出ると言われているこの大学側からの報告書、これをしっかりやっぱり私は見ていただいて対応していただかなくちゃ困るというふうに思っています。  それから、大臣にもひとつやっぱりお話ししておきますが、先ほど感染症予防法の改正、これ昨年のSARSを契機になされたと。それによっても感染する可能性のある動物が確認されなかった場合には対応ができないというふうなことになるわけですけれども、しかし近隣住民の皆さん方はこういう事実がだんだん明らかになってくると非常に不安が募っていくわけです。そういう不安が募った方々はどこへ行くかというと、一番手っ取り早いのは保健所へ行くんですよ。  保健所はそれを受けて、昨年九月に野田保健所、行きました。行ったときの立ち入った根拠は何かというと、動愛法なんですよ。動物愛護管理法という環境省の扱っている法案、法律のそれを一つのてこといいますか、盾にして実際の現場に立ち入りしたと。しかし、それは残念ながら動愛法に違反するような事実はなかったということなんですけれども、しかしそういう一つの法律の限界、仕組みの限界というのはありますけれども、いずれにしても近隣住民がそういう不安を感じて保健所に相談に行く。そうしたときに、いや、そういう相談は建前上対応できませんからというわけにいかないんですね。そこら辺のことも含めて総合的にこうした問題について今後どうしていこうとしているか、この点についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(坂口力君) 地域の保健所がそうした役割をやはり担わなければいけないだろうというふうに思いますし、今回の場合にもその保健所に御相談をいただいたようでございますから、これからもそうしたことがあるだろうというふうに、そうしたことに対応できるようにやはりしていかなければいけないというふうに思っております。  で、地域住民の皆さんが、それによって何らかの感染症が起こったと、あるいは起こる可能性があるという御心配になりましたときには、やはりこの感染症の感染経路でありますとか症状、治療等の確実な情報提供をやはり行う。そこでどういう検査をしているのかということの情報も併せてそれは情報提供を行うということだろうと思うんです。全く感染する可能性のないことをやっているのか、それとも感染する可能性のある実験をその中で行っているのかというようなことを、やはり保健所はそうしたところともよく話をして、そして国民の皆さん方にそこが十分理解されるように報告をするという義務があるというふうに思います。  それからもう一つは、この感染症が蔓延するおそれのありますときには、動物実験等の立入調査というようなこともこれはできるわけでありますから、そうしたことも念頭に置いて、そこでどういう実験が行われているかというようなことも十分に聞いた上でそうした調査も判断をするということになるだろうというふうに思っております。  いずれにいたしましても、これは地域住民の皆さん方の健康と大きなかかわりのある話でございますから、我々の方といたしましても十分にそうした対応ができるよう保健所に対しましても我々は、これはもうそこだけでなく全国の保健所に対しましてもそうしたことを、体制を整えるようにしたいというふうに思っております。

○谷博之君 ありがとうございました。時間が来ましたので、以上で終わります。



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