2003年7月17日 生活保護制度の見直しについて
156-参-厚生労働委員会-28号 2003年07月17日(未定稿)
○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。 限られた時間でございますから、若干箇条書的な質問になると思いますが、お許しをいただきたいと思います。 質問は、先ほど山本理事が質問をした質問に関連をして、生活保護に絞ってお伺いをいたしたいと思います。 まず、大臣にお伺いしたいんですが、生活保護制度におけるいわゆる自立支援の趣旨や、あるいは財政上のいろんな観点から、国民健康保険のいわゆる適用除外、強制脱退、こういう形になっている現在の国民健康保険上の仕組みについて、大臣はこの点についてどのように見ておられるでしょうか。適切だというふうに思っておられるかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(坂口力君) これも先ほど山本議員から御指摘をいただいたお話とよく似た話でございまして、国民健康保険におきましては、これは適用除外と申しますか、適用しない。健康保険に、健保におきましては、これは多少の収入があるということもございますけれども、適用している。また、介護保険ではこれは適用している。こういうことでございまして、その差があることはこれは事実でございまして、生活保護のこの被保険者につきまして保険料の負担能力がないという、ないために他の被保険者の保険料負担や国保財政に与える影響が大きいと。 こういうことから、市町村の側から見ますと、ここを、非常に反対が大きいところでございまして、そうしたこともあって、この問題除外をしてきたというふうに経緯としては聞いているところでございます。
○谷博之君 具体的な例をちょっと一つ申し上げたいんですけれども、私のちょっと知っている、神奈川県に住む、お住まいになっておられる男性の方で現実に生活保護受給者の方がおられまして、この方がいわゆる年金受給資格が後になって判明をいたしまして、その結果、生活保護を遡及して取り消されたという、こういうケースがあります。 この方は医療保護の医療扶助費をもちろんさかのぼって請求されまして、ほとんどその取り分が、年金給付分をそっくり結局返すという形で残らなくなったというふうなことなんですけれども、こういうふうなケースを見ておりまして、先ほども大臣の答弁ありましたけれども、介護保険制度と同様に、保険料や自己負担分というものを国が立て替える仕組みならばその分だけの精算で済んで、いわゆる生活保護解除後の生活の自立というものが残った年金の部分でやっていけたんじゃないかというふうに我々は考えているわけなんです。 こういうふうな具体的な例を見ておりまして、これは連合などでも指摘をしているわけですけれども、生活保護受給者を特別視するのではなくて、いわゆる国民健康保険の資格喪失措置というものを廃止して、介護保険制度と同様に、現在の国民健康保険法の第六条の改正をし、国が立て替える制度等を創設するというような、そういう形を取ってみてはどうかというふうに思うんですが、この点については大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(坂口力君) 一つの考え方だというふうに私も思います。 しかし、こうした考え方を取りますと両制度の枠組みを大きく変更することになることも事実でございまして、他の被保険者の保険料でありますとか市町村国保財政に与える影響も大きいということもございますので、これらのことも十分考えて検討しなきゃいけない問題だというふうに思っております。 今後、年金の問題、介護の問題、医療保険の問題、それぞれ別々に作られ、そして成長してきたものですから、そうした整合性を欠いている面も確かにあるわけでございまして、これらの点、十分全体に配慮しながら、こちらとも同じ社会保障の中でも余りにも違い過ぎるというようなこともこれはいかがなものかというふうに私も総論として思うわけでありまして、全体よく見て取り組んでいきたいというふうに思います。
○谷博之君 そういう問題については我々も、大臣御答弁ありましたけれども、一緒になって総合的な立場から検討を加えさせていただきたいと思っております。 この生活保護に関係する具体的な問題をちょっと一点お伺いしておきたいんですけれども、この生活保護制度の悪用、乱用というものは、これは厳に慎まなければならない、対応すべきことだというふうに思っておりますけれども、最近の具体的な事例を一つちょっと申し上げたいんでありますけれども、ホームレスを例えば何十人か集めて、そしていわゆる宿泊所として用意した場所にその方々を詰め込んで、そして受給を受けているこうしたホームレスの人たちの、例えば一人当たりの東京都であれば五万円以上支給されているいわゆる住宅扶助費、こういうようなものをピンはねをしたり、あるいはそれ以外の扶助費についてもピンはねをするという、こういうふうないわゆる営利目的の宿泊所が特に首都圏や近畿圏で増えていると、こういうふうなことが指摘をされております。これは地方自治体からも様々なそういう意見書が出てきていると思うんです、私の手元にも東京都の荒川区とかあるいは大阪市の例なんかもありますけれども。 そこで、今月末のホームレス対策基本方針、これが今月末策定されるというふうに聞いているわけでありますけれども、こういうふうな事例を見たときに、住宅扶助の処理基準の適正化を考えているように聞いているわけですけれども、この基本方針の策定の中で。ところが、この制度というものは遡及して適用しないと、こういうふうな形になっているというふうに聞いています。したがって、こうした被保護者、つまり生活保護の受給者の再ホームレス化というものを、何としてもこれを防ぐためにも、既に認めたケースについても自治体が改善策を講じることができるような何らかの方針というものをこの基本方針の中に盛り込むべきだというふうに思うんですけれども、これについてはどういうふうに局長考えておられますか。
○政府参考人(河村博江君) 先生御指摘のように、社会福祉法上の無料低額宿泊所に生活保護を適用するに当たりまして、現在起きていることは、一部屋に数名の方が入居している場合に住宅扶助を、お一人お一人に通常の住宅扶助を出すのは本当に適正なのかと。確かに、バランスを欠いている事態があるというふうに思っておるわけでございまして、そういう住宅扶助費の設定というのを適正にすべきという指摘を地方自治体等いろいろなところからいただいておるところでございますが、そうしたことを踏まえまして、今後、この無料低額宿泊所に生活保護受給者が入所している場合については、既に住宅扶助が適用されておる場合であってもその住宅扶助費の額が適正に設定されるように、現在、関係自治体といろいろ相談を重ねておるところでございまして、来月にはこの具体的な取扱いについて全国に周知したいというふうに考えておるところでございます。
○谷博之君 来月にはということで今御答弁ございましたけれども、例えばこういった、NPOを装ったりあるいはボランティア団体を装って悪質な事業者がこういうところに介入してくるという、こういう事例が起きているわけですね。 こういうことに対して、例えば東京都の場合なんかは、平成十一年に、一定の、全国に先駆けて宿泊所の届出に関するガイドラインというものを制定して、しかもこれを今年の四月に再改定をして、宿泊所設置運営指導指針として、既に入居者の居住環境の向上、あるいは経営の透明性、公開度、こういうようなものを確保するためにいろんな方向性の取組をしております。 今も御答弁ありましたけれども、そういうふうなものの中で特にそういう悪質な、例えば暴力団の介入といったこういうふうなケースを防いでいくためには、より具体的なその中身として、いわゆる来月その方針というものを出していただかなきゃいけないんだろうというふうに思っているわけですけれども、そういうふうな、今申し上げたような具体的な事例の内容などを含めたガイドラインなのかどうか、再度お伺いしたいと思います。
○政府参考人(河村博江君) 今回お示ししますガイドライン、この無料低額宿泊施設の適切な設備あるいは運営を確保する観点から、厚生労働省といたしましてもそういう無料低額宿泊事業に関する指針というものを策定しようとしておるわけでございますが、その中で、開設に当たって都道府県と事前相談をする、あるいは施設開設前に所在地の福祉事務所と利用者の処遇等について協議をする、あるいは近隣住民の理解を得る、そういうようなことを盛り込みたいというふうに思っております。
なお、悪質な事業者から不当な処遇が行われないようにするという観点から、無料低額宿泊所に起居する被保護者につきましては、ケースワーカーが定期的に訪問をし処遇状況を把握する、必要に応じ居宅生活への移行に向けての支援あるいは転居指導等を行っていくということを考えておるところでございます。
また、社会福祉法上この無料低額宿泊所に関しましては当然立入調査ができることになっておりまして、この結果によりまして、この届出事業につきまして不当な利益を図る、あるいは福祉サービスの提供を受ける者について不当な行為をしたというようなことがその立入調査の結果判明された場合には、届出事業の停止命令あるいは社会福祉事業の経営の制限命令、そういったものが可能になるわけでございまして、その命令に違反した場合には罰則が科せられると、こういったことも十分念頭に置いて適切に指導してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○谷博之君 最後に、一点要望させていただきたいと思っています。 今御答弁がございましたが、こういう具体的なケース、今申し上げたような悪質な事業等々による基本的な生活保護の趣旨にそぐわないといいますか、それを悪用したそういうケースというものに対して、やっぱり毅然とした対応をしていただきたいというふうに思っています。 そのためには、県や市町村の福祉事務所やあるいは近隣住民等々との連携なども必要でありましょうし、そして地方自治体のいわゆる現場の生の声というものもしっかり聞いていかなければいけないというふうに思っているんです。こういうふうなものの中に、その延長線上に法の改正なども含めて、いわゆる生活保護の制度そのものの趣旨が本当に生かされる、そういうふうな制度として運用されるように、しっかり私はそういう責任を持って対応していっていただきたいというふうに思っております。 そういうことで、若干時間が残りましたけれども、以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。