2004年4月7日 ユニバーサル社会の形成促進について、三鷹市長など3人の参考人に対し質疑を行いました
159-参-国民生活・経済に…-2号 2004年04月07日
○谷博之君 私は民主党・新緑風会の谷博之でございます。
今日は、三人の参考人の皆さんには大変貴重な御意見、ありがとうございました。
私は、いつも参考人の皆さん方にお越しいただくときに先生方が書かれておられる本を読ましていただいておりまして、前回の竹中参考人のときもそうだったんですが、そういうものを参考にさしていただきながら、限られた時間ですが、それぞれ一問ずつお伺いしていきたいと思っております。
まず、福島参考人の書かれている「渡辺荘の宇宙人」、そして「盲ろう者とノーマライゼーション」、こういう本を読ましていただいておりまして、いろんなことが書かれておりますけれども、特に私は端的な文章として、感じましたのは、例えば障害者福祉を進めていく担い手として先生は次の五つの主体を考えていると。第一は障害者自身やその家族、第二は地域の住民、第三は障害者福祉に関する活動を職業としている人々、第四はボランティア、そして第五は企業であると、こういうふうなことですね。それから、それらを含めて、特に二十一世紀の障害者施策の基本というのは、障害者自身と地域住民、専門ワーカーとボランティア、そして企業をも巻き込んだ社会全体の変革の流れの中に展望することができると。また、おまとめの中に、自分が盲聾者となった自らの体験を基に、私たちと最後の部分でつなぎ止める命綱が心に響くコミュニケーションなのではないかと思うと、こういうふうに書かれておられます。
こういう文章を読んでおりまして、私は、この担い手にしろ、あるいは将来の二十一世紀の障害者福祉の先ほど挙げられたいろんな方々、こういうものの中に行政という言葉、国家という、国という言葉が直接的には出てこない。そういう中に、この指摘をされている方々が当然そこに行政というものも含まれて考えているのか。
お配りいただいたこの参考資料を見ておりますと、二十ページに先生こういうふうに書かれておりますが、知的障害者を含む障害者の解放を目指す上で重要な側面として、第一に障害者自身のエンパワーメント、第二に障害者一人一人の身近な関係者によるサポート、第三に法的枠組みを含む社会の制度的インフラの整備、この三つの側面を挙げておりますけれども、この第三のところにそういうものが含まれているというふうに解釈していいのかどうか、そこのところの説明をしていただきたいというふうに思っております。
それから、清原参考人にも、実は「三鷹が創る自治体新時代」という本を読ましていただきました。市制五十周年の二〇〇〇年の記念ということで書かれた御本人が清原参考人でございまして、前安田市長の後を継がれまして、今、三鷹の市長として行政のトップで活動されておられると、こういうことであります。
一つ具体的にお伺いをしたいんですけれども、この本の中にも幾つかのワークショップの取組について出されております。私も、実は地元が栃木県なものですから、地元でいろんなそういうまちづくりにワークショップを取り入れて、地元の国立大学の工学部の先生、学生と一緒にそういう作業に参加したことがございます。
今、一つ問題になっておりますのは、こういう具体的なケース、ちょっと課題として抱えておりまして、そういうものに対する市長としてのアドバイスをいただきたいと思っているんですが、実は、今年の五月に全国から宇都宮に脊椎損傷の方々が三百人ほど集まって全国大会を開く。こういう方々がどうしても日光を見たい、東照宮、陽明門を見たいんだということで、我々は一年ほど前からそういうことで地元の市とか関係者と打合せをしておりますが、玉砂利とあの石段はどうしても車いすで上がれない。これはやむを得ないものですから、我々は業者に頼みまして、車いすが通るようなそういうふうな板を敷いて、そしてその彼らのそういうのが見たいという、そういうことについて何とかしようと、そういうふうなことを考えているわけですが。
そういう中で、これを機会に何とかそういうふうな、先ほどお話ありましたように、ほかから訪れた人たちに対してそういうふうな、言うならばユニバーサルサービスあるいはユニバーサルデザイン、さらにまた人に優しいそういうまちづくりを、作っていこうじゃないかと、こういうことで市民の有志が立ち上がっているわけですけれども、なかなかそういう意味での町全体のそういうふうな構造上の問題、あるいは古い町ですからそういう意味の理解がなかなかまだまだ得られないと、こんなようなことがございます。
そういう点で、三鷹市の場合は非常に先進的に、この本にも書いてありますように、進んでおられる。そういうふうな経験を是非我々のそういうふうな地域にもアドバイスをしていただきたいと思うんですけれども、そういう今の現状に対してどのような具体的な取組、これ、現に我々は意識的な方々、具体的にはJRや東武の駅長さん始めいろんなそういう方々と、部分部分では駅前のそういうふうな関係者が集まってまちづくりの相談をいろいろしているというようなことがあるわけですけれども、なかなかそれが全体に広がっていかないという、そういうふうな悩みを抱えていますけれども、そこら辺の三鷹におけるそういうふうな長い経験の中で何かアドバイスしていただくことがあればお聞かせをいただきたいと思っております。
それから、川口参考人には、いろいろお話ございましたけれども、私は前回の参考人質疑のときにも申し上げたんですけれども、国内的なやっぱり物事の見方と世界的なやっぱり視野の中で、このITとかユビキタスの問題、そういうものは当然これは取り組んで、日本がその正に指導的、リードを取ってやっているわけですけれども、そういう中に、一つはやっぱりいろんなインフラの整備とか、そういう社会的なやっぱりそういうふうな整備というものがどうしてもやっぱり必要になってきているんだろうと思うんです。
したがって、こういう協議会を作られていろいろ研究され、企業なり関係者が取組をされておられるわけですけれども、こういうものが例えばイベントとか国際会議とか、そういう展示場でいろんなそういう技術が明らかにされていくということはもちろん大事なことですが、その先の、具体的には、例えば世界的に言えばアフリカなんかは特に具体的にそうですけれども、そういうふうな社会を作ろうとしてもなかなかできないという今の現状ですね。
国内でもそういうふうな、いわゆる財政との問題とかいろんな課題があって、その技術をその地域なりそういうふうなまちづくりのためになかなか生かせない、あるいはいろんな福祉の現場でそういう技術が十分取り入れられないというふうなこともあると思うんですけれども、そこら辺のこの協議会がどのようにこれからそういう部分で働き掛け、取組をしようとしていこうとしているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(福島智君) なかなか鋭い御指摘で、その論文を書いたとき、もう十年ぐらい前なので今正確には覚えていない部分もあるんですが、国や行政や法制度というものについてはもちろん前提として踏まえるべきだと思っております。恐らくそのときは、ボランティアという観点に注目していたことと、もう一つは福祉ワーカー、職業人としてかかわる福祉ワーカーというものの背景には、当然、行政施策があり、予算的裏付けがあり、さらにはその背景にはそういった制度を作る根底と立法措置があるということで、直接、国、自治体という表現はしていないんだろうと思いますが、もう一つで御紹介いただいた、この知的障害者の方ですね。 これは昨年行われたアジア知的障害者会議で行った基調講演の記録だろうと思いますが、そのときは三つの枠組み、つまり個人のエンパワーメントと、それから他者によるサポート、身近な方によるサポートと、制度的、法制度的枠組みということ、先ほど申し上げていたこととつながりますが、そういう三つの階層でお話ししていたと思います。その点では、三つ目の法制度的枠組みというのが行政や立法にかかわる部分だろうと。 いろいろな文脈でどういうふうに分けるかというのはあると思うんですが、ちなみに職業人ということで少し申し上げますと、私が障害を持つ立場でボランティアの皆さんの支援を受けたりあるいは日常的なサポートを受ける中で感じてきたことは、やはり個人的なつながりでありますとかボランティア的なかかわりは非常に重要なんですが、それだけでは限界があるだろうというふうに思っております。やはり法的な規定にのっとった行政施策、さらに公的なサービスとしての、職業人としての福祉サービスというものは必ず必要だろうと。 私は、多分十二年ぐらい前ですが、当時の厚生白書にごく短い文を載せたことがあるんですが、例えば警察や消防という仕事、これはボランティアではなされていないわけですね。火事が起こったときに消防の方が来る。もちろん近所の人が自発的に火を消すということはあるけれども、職業人としての消防士の方々が火事を消してくださる。そのことに対して、ほかの人たちはボランティアだとは思わない。きちんと敬意を払い、コストを払い、公的な責任として税金でその方たちに給与を払う。 しかし、例えば障害を持っている人やお年寄りが命にかかわるような状況になって、その人たちに対してサポートをするという場合でも、それがボランティアだったり、あるいは家族のお世話ということの延長でなされたりする。そのことについての疑問というものは余り起こってこなかったりする。なぜなのか。なぜ障害や加齢、高齢になるということで発生するニーズやトラブルに対するときはボランティアや奉仕や家族の愛情ということが言われて、例えば火事やあるいは犯罪といったものに対しては当然公的になされるべきだというふうに考えているのかということが非常に感覚的に違和感がありますが、つまりボランティア精神というのは重要なんですが、ボランティアを強調するだけではなく、一方できちんとミニマムの部分は公的に保障するということが重要だろうというふうに思っておりますので、公的な、あるいは法制度的な、あるいは行政的な枠組みを軽視しているわけではございませんので、是非、その点は誤解していただかないように是非お願いいたします。 以上です。
○参考人(清原慶子君) 谷委員が現在栃木県内で直面していらっしゃる具体的な事例について、私から何か提言できることはないかという御質問でございますが、今、谷委員が直面していらっしゃる問題というのは正に、とりわけ車いす利用の障害者の方が移動して旅行をするという場合に、これまでも大きく問題視されていた課題を、正に人数が三百人という規模であるがゆえにより大きく難しくなってきている課題ではないかなというふうに承りました。 元々、障害者の方が社会参加をする上でやはり何よりも優先されたのが教育機会の提供であり、あるいは参政権の行使であり、そういうことであるならば、就業の問題も個別具体的に難しいと同様に、より移動して、とりわけこのような文化遺産をごらんになりたいという気持ちを尊重するような条件整備が不十分であるということの表れた顕著な事例だろうというふうに思います。 私は、実は研究者のときに、ある業界の御依頼いただきまして店舗のバリアフリーについて調べますときに、自ら車いすに乗ってみて、そしてその店舗の移動の困難を体験するということを学生とともにいたしました。 私は、すぐさま、車いすの方をどうお手伝いしたらいいか、あるいはどのような場所にどのような板を置いたらいいのかということを、図上で分かることは難しいとも思いますので、実際にボランタリーに健常者の方であっても車いすに乗っていただいて、そして日光の町の玉砂利を例えば自ら動いていただく体験をしていただく有意義な、高校生あるいは大学生あるいは若い勤労者の方などの体験ワークショップというんでしょうか、そういうのをしていただいて、障害者が、とりわけ車いす利用者が直面している課題を体感していただいたら、そういう方がせっかく日光に来ていただいてごらんになるのであれば、その日光の市民のみならず、周辺の方々がその御苦労を軽減させようという知恵もわいていくでしょうし、あるいはどのような道筋を通ればより文化遺産でありますものを傷付けずに景観等も少し我慢していただいて、板あるいは布等で越えられるところもあるかもしれませんし、そうした建築業界あるいは施設の業界あるいは川口さんの関係者のお知恵など、デザイナーのお知恵などをかりることで比較的というか、相対的に容易なルートが探せるかもしれませんし、手だてが講じられるかもしれません。 あるいは、三百人が一斉になら無理だけれども、例えば一日百人ずつ三日間ならできるかもしれないのであれば、大会の前後にそうした機会を作るというようなこともあるかもしれません。 そんなことはとっくに谷委員周辺で取り組まれていらっしゃるかもしれませんけれども、私は、頭で理解するのではなくて体で理解する体験が体験学習、ワークショップとして有効ではないかと思うものですから、是非車いすに乗って、つかの間でも脊椎損傷の方の体の痛み、心の御苦労を体験される層を増やされ、そしてできれば私は体力のある、あるいは時間的に比較的融通の利く若い層がこうした担い手となって結集していただければ有り難い。必ずしも栃木県周辺の、あるいは栃木県内の大学生や若い層だけではなくて、ひょっとしたら周辺の、そのときにやってきて手助けしてくださる、そうした有意なボランタリーの方がいらっしゃるかもしれません。 ただ、その中で御配慮って悩まれているのは、ひょっとして事故でもあってはいけないし、けがでもされてはいけないし、また支援する方、補助する方が不慣れのためにかえってそうした支援が災いをもたらしてはいけないのではないか。そんなような多様な問題をきっと整理して、お悩みを深くされているとは思うんですけれども、今申し上げましたようなことで、三鷹市の場合でもこうした大規模な障害者の方の移動を支援した事例は余りないと思いますし、私自身もそれほどの経験はないわけでございますけれども、もしこれが成功されることであれば大いに栃木県のユニバーサル社会化は進むでしょうし、ほかにも影響が及ぶと思いますので、御苦労多いと思いますけれども、御成功を応援させていただきます。 御質問ありがとうございました。
○参考人(川口光男君) 谷議員の御質問は、我々協議会の今後出す成果をどのように活用し、どのような役割を担っていくのかということだと思いますけれども、現在、先ほど述べましたけれども昨年末に発足しまして、現在〇四年度の事業計画を作ったところでございます。 と同時に、現在の私たちの一つの大きな課題は会員の拡大ということもございます。この会員の拡大というのは、単に会費の増収を得るということだけではなくて、現在も既に企業としては百二十社、各界を代表する企業に入っていただいて百二十社というふうに集まっているんですが、それ以上に準会員として団体あるいは自治体の方々に参画をいただこうと思っています。この辺のその勧誘活動がまだ不十分で、現在のところ二団体ということになっております。 なぜその会員を拡大していくかということを言いますと、会員に入っていただき、その会員の方々が既に持っているユニバーサルデザインに関する、あるいはバリアフリーデザインに関する知識あるいは技術あるいは実績、こういったものを持ち寄っていただいて会員同士で共有すべきところは共有しようと、そしてお互い高めていこうという一つの役割がございます。 したがって、先ほど詳しくは述べませんでしたけれども、テーマ研究の中の一つの目標としまして分野ごとの標準化みたいなものをやっていこう、あるいはガイドライン作りをやっていこう、それが社会インフラの整備にもつながっていくんではないのかなというふうに考えております。こういった協議会の各分科会でやる、ワーキングでやる成果を共有する場として、先ほど議員がおっしゃった展示会とかイベント等を考えております。 ただ、これを、成果をそういったところで発表するだけが私たちの役割ではなくて、会員がそれぞれ地元あるいは自分の企業に持ち帰って、その事業あるいは経営の中に生かしてこそこの本来の役割があると思っています。その役割を果たすときに更に協議会に対して、もうちょっとこういうふうに、こんなことを聞きたい、あるいはこんなことをしてほしいといったことで、コンサルティングといったものも一つの事業というふうに考えております。 したがって、会員を拡大し、事例を増やして、インフラの、標準化としてのそのインフラが整備できれば、結果としてその社会づくり、まちづくりに生かしていけるのではないのかなというふうに考えております。 以上です。
○谷博之君 どうもありがとうございました。