国会活動報告 参議院経済・産業・雇用に関する調査会 中間報告

2005年6月13日 「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」について調査中間報告の概要

 参議院経済・産業・雇用に関する調査会は、経済・産業・雇用に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、第161回国会の平成16年10月12日に設置され、同年11月に調査テーマを「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」と決定し、3年間にわたる調査を開始した。
 第161回国会においては、「構造改革と経済財政の中期展望及び新産業創造戦略」及び「雇用対策基本計画及び若年者に対する就業支援」について、政府から説明を聴取し、質疑を行った。
 次いで、第162回国会においては、「成熟社会における経済活性化に向けた方策」、「地域経済の活性化」、「日本経済の国際競争力の強化」、「多様化する雇用への対応」、「フリーター・ニート等若年者をめぐる雇用問題」、「経済社会の変化に対応した人材育成の在り方」について、参考人から意見を聴取し、質疑を行った。その後、初年度の中間報告をまとめるに当たって、各会派からの意見表明、委員間の意見交換を行った。また、京都府に委員派遣を行った。

 本報告書は、初年度に行われたこのような活動を取りまとめたものである。なお、近年、フリーター、ニートの増加等若年者をめぐる雇用問題が大きな社会問題となっているが、調査会における議論を踏まえ、特に緊急を要するものとして、この問題について次の6項目の提言を行った。

【提言】
 本調査会は昨年10月に設置されて以来、調査項目を「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」と決定し、鋭意調査を進めてきたところであるが、初年度の調査を踏まえ、特に緊急を要する若年者の雇用問題について、以下のとおり提言を行う。
 政府及び関係者においては、その趣旨を十分に理解され、これらの実現に努められるよう要請する。
 景気の緩やかな回復を背景に平成16年平均の完全失業率は4.7%と改善傾向にあるものの、若年者とりわけ15歳から24歳までの完全失業率は9.5%と依然として厳しい状況にある。また、近年、若年者世代においてフリーターやニートが急増している。この背景には様々な事情が考えられ、要因ごとのきめ細やかな対策が必要である。生き方についての価値観の多様性は認めつつも、国際競争力への影響、所得格差の拡大、人材の質的な低下等、今後の我が国経済・社会に与える懸念も大きい。さらに、フリーター、ニートの増加は今後の社会保障制度の在り方にも大きな影響を与えるとともに、経済的理由等による晩婚化、未婚化が広がり、少子化を一層進行させる要因の一つになりかねない。このような影響の深刻さにかんがみ、政府等においては、経済の活性化に努め、雇用情勢全般の改善を図るとともに、若年者の雇用問題に関し、次の事項について一層取組を強化すべきであ
る。

一、若年者の就職支援活動を行う通称「ジョブカフェ」や「ヤングジョブスポット」の設置を一層拡大するとともに、その周知徹底、施策の充実を図ること。

一、現行のトライアル雇用、インターンシップ制度の拡充強化を図ること。

一、フリーター、ニート等の就職支援活動を積極的に行っているNPO法人との連携を強化するとともに、財政上、税制上の支援の在り方について検討すること。また、若年者の就職支援を行うNPO法人の一覧リストを作成し、公開するよう努めること。

一、ニートについては、各分野の専門機関の連携を強化し、相談、支援体制の整備を図るとともに、イギリスで実施されている「パーソナル・アドバイザー」の導入について検討すること。

一、若年者に対する勤労観、就業観の育成の重要性にかんがみ、義務教育段階からの就業体験の一層の拡充を図ること。

一、若年者の労働環境の一層の整備に努めること。また、多くの若年者が働いている製造業における請負業務の実態把握に努めるとともに、いわゆる違法派遣については、その取締りを強化し、厳正に対処すること。

(参考2)

初年度の主な活動経過

第161回国会(臨時会)

○平成16年10月12日(召集日)
本会議において、本調査会の設置を議決。

○平成16年11月10日
・ 理事会において、調査テーマを「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」と決定した。
・ 構造改革と経済財政の中期展望について西川内閣府副大臣及び政府参考人から説明を聴き、新産業創造戦略について保坂経済産業副大臣及び政府参考人から説明を聴いた後、政府参考人に対し質疑を行った。

○平成16年11月17日
・ 雇用対策基本計画について藤井厚生労働大臣政務官及び政府参考人から説明を聴き、若年者に対する就業支援について塩谷文部科学副大臣及び政府参考人から説明を聴いた後、藤井厚生労働大臣政務官及び政府参考人に対し質疑を行った。

第162回国会(常会)

○平成17年2月16日
・ 成熟社会における経済活性化に向けた方策について、参考人から意見を聴いた後、質疑を行った。
(参考人)
内閣府経済社会総合研究所長   香 西  泰 君
日本労働組合総連合会(連合)副事務局長   久保田 泰 雄 君
社団法人日本経済団体連合会専務理事   矢 野 弘 典 君

○平成17年2月17日〜18日
・ 経済・産業・雇用に関する実情調査のため、京都府に委員派遣を行った。

○平成17年2月23日
・ 地域経済の活性化について、参考人から意見を聴いた後、質疑を行った。
(参考人)
法政大学経済学部教授   黒 川 和 美 君
社団法人全国地方銀行協会会長・株式会社東邦銀行取締役頭取   瀬 谷 俊 雄 君
日本政策投資銀行地域企画部参事役   藻 谷 浩 介 君

○平成17年3月2日
・ 派遣委員から報告を聴いた。
・ 日本経済の国際競争力の強化について、参考人から意見を聴いた後、質疑を行った。
(参考人)
オリンパス株式会社代表取締役会長   岸 本 正 壽 君
株式会社三菱総合研究所主任研究員   後 藤 康 雄 君

○平成17年4月6日
・ 多様化する雇用への対応について、参考人から意見を聴いた後、質疑を行った。
(参考人)
大阪大学社会経済研究所教授   大 竹 文 雄 君
テンプスタッフ株式会社代表取締役・社団法人日本人材派遣協会会長   篠 原 欣 子 君
株式会社日本総合研究所調査部主任研究員   山 田   久 君

○平成17年4月20日
・ フリーター・ニート等若年者をめぐる雇用問題について、参考人から意見を聴取した後、質疑を行った。
(参考人)
特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長   工 藤   啓 君
東京大学社会科学研究所助教授   玄 田 有 史 君
兵庫県教育委員会教育次長   杉 本 健 三 君
千房商事株式会社代表取締役   中 井 政 嗣 君

○平成17年5月11日
・ 経済社会の変化に対応した人材育成の在り方について、参考人から意見を聴取した後、質疑を行った。
(参考人)
早稲田大学ビジネススクール経営専門職大学院教授   梅 津 祐 良 君
ジャーナリスト   多 賀 幹 子 君
お茶の水女子大学文教育学部教授   耳 塚 寛 明 君

○平成17年5月18日
・ 各会派からの意見表明、委員間の意見交換を行った。

○平成17年6月13日
・ 経済・産業・雇用に関する調査報告書(中間報告)を参議院議長に提出することを決定した。



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