2005年3月2日 日本経済の国際競争力の強化について参考人オリンパス株式会社岸本正壽代表取締役会長及び株式会社三菱総合研究所後藤康雄主任研究員から意見を聴いた後、両参考人に対し質問
162-参-経済・産業・雇用…-4号 2005年03月02日
○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。 参考人の先生方には、大変貴重な御意見をありがとうございました。
端的に何点かお伺いしたいと思いますが、まず岸本参考人には、二点ちょっとお伺いします。
一つは、この説明資料の中で、一ページ目の「生産技術」という項目、ずっと説明をいただきまして、企業の対応ということで、創るという「創」は日本で、しんにゅうの「造」は、造るの「造」は海外と役割区分ということで、特にその中でも中国の例を挙げられまして、そうはいっても高付加価値な商品については国内で生産をするということでありますけれども。その次の「課題」のところでも説明いただいておりますけれども、高額雇用による定年退職技術者の流出というのが増加傾向にあるということを私、前々回のこの調査会でも他の、別の参考人の先生にもお伺いしたんですが、結果的にそのことがそのしんにゅうの造るという、この製造部門の比較的国内で担っている高付加価値の商品を海外で創るというところまで流れが相当進んでいるんではないかなというふうに感じているんですけれども。ここのところ、こういう形で、「創」は日本、しんにゅうの「造」は海外と役割区分ということで必ずしも言い切れない部分が出てくるのではないかなというふうな感じがしているんですが、その辺の感想についての御所見をお伺いしたい。
それからもう一点は、知的財産の問題ですけれども、一番最後のページに「知的財産」の項目が出ておりますけれども、特に特許行政ですが、日本の場合は非常に、特許庁に登録されているいろんな特許がありますけれども、そういうものが前々から十分活用されていないのではないかというような議論が他方ではあります。
そういう意味で、この特許行政というふうな言葉でくくられておりますけれども、研究開発の成果を迅速に保護する特許行政ということですが、それを活用する、そういう分野での現状と今後の何かお考えがありましたら御指摘をいただきたいと思っています。
それから、後藤参考人には一点だけお伺いしたいんですが、これまたそのことに関係をしますが、資料の一番最後の十八ページ、十九ページに、「研究成果(技術)の製品化状況」、あるいは「製品化されないことへの自己評価」というのが表として例示されております。これがなぜこうなのかということの説明をもう少し詳しくしていただければ、なぜこういうふうな結果になっているのか、そこら辺の原因と申しますか、そういうところのお考えがありましたら御指摘をいただきたいと思います。
以上です。
○参考人(岸本正壽君) 一点目の御質問でございますが、だんだんと造のところ、創のところがはっきりと区分できなくなる、そういうことも言えるんじゃないかという御指摘でございます。 その理由として、退職技術者が流出していろいろ指導に入るんじゃないかと。現実にそういう時点はあるわけでございますが、おっしゃるとおり、最初は付加価値の低いいわゆる価格の安いものの量産品は中国だという考え方だったんですが、だんだんと、量産品物は中国なんですが、価格が少々高くても中国で作る。例えば、カメラでいいますと一眼レフ、これは高付加価値、高価格ですが、今、中国で作られているものもかなり入っております。まあプロ用の高級品じゃなくて中級品と我々は言っているわけですが。ですから、だんだんこういうところが中国で作られるようになってくる。それは、企業としては合弁ではなくて独資系であって、我々がコントロールできるんだという考え方が一つあると思います。 ですから、ある程度、技術、これは流出と、我々企業は流出と言わないで単なる移換と。それはなぜかといいますと、日本人がしっかりと管理をしていると、向こうで。こういう一つの保護予防的な対策を取りながらやっておりますんでいいんですが、私が言っている、企業の買収のみならず、この技術者の流出というのはこれ中国の企業なんですね。外国系の企業じゃなくて中国の企業。ここに今、日本人の方で行っていらっしゃるのは、ただ技術を教えるということよりも品質の管理手法、これが今中心でございます。技術となりますと、たった一人ではそうはうまくいかないと思います。ですから、単独で行かれているのはそういう管理手法。特に今品質の管理手法。今、中国で約三万社がISO9000を取っております。それぐらい品質についても大変熱心に今活動しておりますので、そういう点が今起こっているということでございまして、技術の面からいけばそう恐れるほどのことはないんじゃないかという具合に認識をしております。 それから、二点目の特許行政のところですが、これは特許庁もディスクに全部今情報を入れていただきまして、それを買えば我々はすぐ取り出して情報を取れる。非常に便利になっておりまして、我々のような企業はそれやっているんですけれども、全部の企業がおやりになっているということじゃないと思います。 私がここで申し上げているのは、逆に言いますと、物すごく今特許件数も多くなっている。特許庁は、何でもかんでも出すなと、内容のしっかりしたものを出してほしい、選択してくれないととても調査をして登録させるというのは難しいんだよという具合におっしゃっているんですが、そこのところを私は申し上げておりまして、成果で特許に申請したものはできるだけ早く登録できるようにということでございます。なかなかこれは特許件数と要員の問題、それから特許技術者の養成の問題、いろいろあると思いますけれども、できるだけ早く保護をしていただきたいなということでございます。
○参考人(後藤康雄君) それでは、研究開発が必ずしも製品に結び付かない原因をもう少し詳しく御説明させていただきますと、先ほど社内の問題が大きいというふうに申しました。 上位から三つ御紹介いたしましたが、多少ちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども少し詳しく御説明いたしますと、一つはやはりマーケットが必要としているニーズを具体的なコンセプトとして表現できるような体制になっていない、あるいはそういう人がいないと。 具体的なイメージで申しますと、ふだん営業マンがお客さんと接していて、こういう製品があったらいいのになというのがうまく伝わらない、それは単に連絡が行かないということだけではなくて、言ってみれば会話の土俵が違うと申しましょうか、言語が違うというような面もあろうかと思います。 いずれにしましても、ニーズがうまく形、ビジョンとして形になっていかない、したがって受け止める研究開発サイドのスタッフもなかなかマッチした研究を提供できないという、そういった広い意味でのやはり連携不足というのがあろうかと思います。 それから、人材面の不足の問題ですけれども、結局三点とも同じような基本的なところに絡んでくると思うんですけれども、そういった技術というのを経営の観点から考えられる人材というのが少ないということなんじゃないかと思います。 それで、逆に、うまくいっている、研究開発がうまく製品につながっている企業さんはどういう体制になっているのかというのを聞きますと、そういった人材がいる。人材をじゃどういうふうに提供をしているのかというと、実は結構簡単だったりとかして、トップダウン型で、もうこういうのを作れということが実は一番手っ取り早い解決策だったりとかいたしまして、いずれにしましても、技術というのを理解して、そこを製品と結び付ける人材がいないというような面があるようでございます。 それから、三番目の連携不足というのは、もうそういった、以上全部絡んでくる、もう社内の連絡が悪いということかと思います。 それで、以上を少し別の視点から統一的に申し上げると、やはり、ちょっと今も申し上げましたけれども、研究開発というのを経営全体の中できちんと位置付けて考えるという発想がまだ十分に浸透していないという面があるんじゃないかという理解でおります。 具体的には、例えば研究開発投資というのは、これは経営上紛れもなく投資でございますので、言ってみれば広い意味でのポートフォリオの中に入ってくる項目のはずなんですけれども、どうも日本の研究開発体制を見ておりますと、研究開発部隊はもう何かある意味で独立した王国みたいのを築いていて、研究所の中で何か自分たちの何かこう仕事の回し方でやっているというような、まあいい意味についても悪い意味でもちょっと一種独立したところがあるんじゃないかと思います。 それに対しまして、やはり技術というのは、少なくとも企業が行う技術というのはあくまでも経営全体の中の一つなんだというふうに位置付けて、で、研究開発もあくまでもやはり投資の一つと位置付けて、かつ、そこで出てきたアウトプットも最終的な目標とする製品のロードマップの中でどういう位置付けで発展させていくべきかというような全体像をつくる、そういった経営全体と技術のかかわりをうまく連携付けるような体制ができていないという、まあ、あえてまとめて統一的に申しますと、そういうことなのかなという理解でおります。