2002年5月9日 土壌汚染対策法案に関して、参考人質疑に立ちました。当日ご出席いただいた参考人の方々は下記の通りです。
| 土壌汚染対策法案に関する参考人質疑 平成十四年五月九日 参議院環境委員会 参考人: 福岡大学法学部 浅野直人教授 君津市環境部環境保全課 鈴木喜計主幹 社団法人土壌環境センター 大野眞里運営委員長 大阪市立大学大学院 畑明郎教授 |
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○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。今日は、大変参考人の皆様には貴重なお話をいただきまして、大変ありがとうございます。 先ほどの質問、そしてまた今日までの衆議院における参考人質疑、そして附帯決議等も含めてかなりいろんな議論も出されておりますが、そうしたものも踏まえながら、限られた時間ですが、何点かお伺いをさせていただきたいと思います。 まず最初に、鈴木参考人に早速お伺いしたいんですが、特に冒頭、いろんな説明の中で、技術的な科学的な分野から何点か冒頭からお伺いしたいわけですが、鈴木参考人が今年の三月二十五日の朝日新聞の「私の視点」という欄で「土壌汚染対策法案の充実めざせ」という論文が書かれておりますね。全文長いですから、ポイントだけちょっと読み上げますと、土壌とは表層の土壌層から地下水を胚胎する深部の地質を含むとすべきであると、こういう規定をされておりますが、この土壌のいわゆる規定というのは、先ほど説明がありましたように、かなりどこまでという定義をするのは非常に難しいと思うんです。 その定義と同時に、地下水の問題が先ほど重要な話だということで出されましたけれども、またこの地下水についても、これはもう正に公共的なものでありますけれども、その地下水のいわゆる水源から水脈ですね、それがどういうふうに流れてくるかという、この実は状況調査については、残念ながら今、我が国ではされていないと思います。したがって、例えば地下水の汚染がされたということになると、その汚染源の特定が非常に難しくなるんだろうと思うんですが、こういう点について、これは私も詳しくは調べているわけじゃないんですが、外国の例として、例えばドイツなどでは地下水保全法のようなものが何かできているような話を聞いておりますが、そこら辺のことがもし分かれば教えていただきたいと思います。 ○参考人(鈴木喜計君) 幾つか御質問があったと思いますが、まず冒頭、土壌の定義でありますけれども、土壌というのは明確に定義がされております。地殻の一番外側にあって、風雨にさらされて、動植物の遺骸が倒れ込んでできた特殊な地層であると。動植物が根の張る範囲であります。ですから、そこの田んぼの土が正に土壌です。これが汚染されたから土壌汚染なんです。ですから、僕は土壌汚染という言葉は行政用語だというふうに理解をしております。 学問的にも土壌学というのがございまして、土壌学をやっておられる方は一番頭しかやっていません。我々地質屋からいいますと、地質学の方では地層と言っています。地層の特殊な形態が土壌層であるというふうに表現をしております。したがいまして、土壌汚染、市街地土壌汚染というのは僕は行政用語だというふうに理解しております。 さらに、地下水の流れなんですけれども、この地下水というのは実は大きく分けて二つございます。一つは地層水、もう一つは裂罅水、我々が利用に供する地下水というのは二つあります。砂粒でありますとか粘土粒、砂利粒、そういうものの間隙に存在するものを地層水と言っております。そういうものが重力でありますとか圧力によって移動をしてまいります。こういうものを地下水と呼んでいます。一方、岩盤地帯なんかに行きますと、岩に割れ目が発達します。その割れ目の中で流れているような水を裂罅水というふうに呼んでおります。 この地下水については、どこに降った雨がどんなふうに地層中に胚胎されてどこで流出していくのか、どこで利用されているのかというのは、地下水盆管理という手法がございますけれども、地下水盆管理手法というものが我が国でも二十数年前に学問的に確立されております。全国的にどんな地下水があるかということは分かっております。例えば、ここは関東平野でありますけれども、関東平野の地下は関東地下水盆という入れ物がございます。幾重にも幾重にも地下水の入れ物が重なっているわけですけれども、一番深いところで二千メートルくらいあります。ですから、関東平野はそういう意味でいいますと運命共同体なわけであります。大阪平野もしかりであります。そういうふうな形で、地下水の胚胎、そういうものは学問的にもはっきりしております。 その汚染がどんなふうにどう拡散していくかということについては、最近、諸外国でもむしろ我々が作ってきた調査法を一生懸命勉強してやっているというのが事実であります。法制面では、米国でありますとかEU、特にドイツなんかではかなり社会制度として進んでおります。したがいまして、大きな成果を作っているところでありますけれども、技術論としては僕はまだまだかなと、ちょっと申し訳ないですが、そんなふうに理解をしておるところであります。 いずれにしましても、御質問のありました地下水の流動系であるとか地下水汚染がどんなふうになっているか、汚染機構がどうであるかということは確実に分かります。完璧に分かります。 以上です。 ○谷博之君 いろいろありがとうございました。 実は、この法律の名前が土壌汚染対策法という法律ですが、実はこれは私は、今もお話ありましたように、地下水を含むそういう汚染についてどう対応するかという法律で本来はなきゃならぬだろうというふうに思っておりまして、特に水道水の水源になるような、そういうところの地下水についてはこれは極めて重要な意味を持っているんだろうと思っていまして、そういう点では今の鈴木参考人のお話は大変理解をさせていただきました。 続いて、畑参考人にお伺いしたいのでありますが、今、説明をいただきました中で、先ほども質問が出ましたけれども、十番の問題ですね、いわゆる汚染された土壌の問題、あるいはその土地の問題についてでありますけれども。 これは、方法は、撤去する方法から、それから覆土をするとか、あるいは封じ込めるとかいろいろありますけれども、まず最初にお聞きしたいのは、これは私どもの県で一つの例があるんですが、今年に入りまして、栃木県の日光市で古河電工日光事業所が、土壌などから、会社内の土地から毒性の重金属が見つかったということで、これはセレンという重金属、これは基準の四千三百倍、砒素も検出されたということで、こういう記事になっておりますけれども、地元の新聞にですね、これは撤去するんだということで、これは事業所が率先して県などと一緒になってそういう方向を取り組むようでありますが、こういうふうな撤去する土壌、土壌というか土砂ですね、これは現在どういうふうに現実的に扱われているんでしょうか。まず、そこからお伺いしたいんですが。 ○参考人(畑明郎君) 私、ちょっと大阪の例しか知らないんですけれども、一つは、USJ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの汚染土壌につきましては、一応環境基準を超える土壌については搬出、外に出したと聞いております。しかし、どこに持っていったかにつきましては、これは定かではないんです。むしろ、うわさによれば、新日鉄の堺製鉄所の遊休地の中に置いてあるだけだという話もあります。 それで、フェニックスがあるんですけれども、大阪湾のフェニックスの管理型処分場には受入れ基準があるんですよね。ある一定以上の濃度のものとかは受け入れないんですね、危ないものは。近畿には遮断型処分場は全くありませんし、管理型処分場で受け入れる範囲しかできません。 今回の高見の、此花区高見のフローラルタウンの場合は、これは環境基準の三十倍以上、数百倍超えているものが、砒素、水銀、鉛、一通り出ているんですけれども、それが、今、鴻池組が工事やっていますが、三十倍以上は搬出すると。これは環境庁の運用指針に基づきまして環境基準以下のものは現地の封じ込め、今回資料に入れていますけれども。その搬出の先につきましてもなかなか受け入れてくれるところが少ないと聞いております。だから、ちょっとどこに持っていくのかというようなことも僕も確かめておりません。むしろ、ゼネコンさんに聞かなければ、工事やっている鴻池とか、それに発注している公団、住宅公団ですけれども、大阪市とか、そういうところに聞かないと分からないですね。 ○谷博之君 これはちょっと参考人の方にお聞きするのもいろいろ問題があるのかもしれませんが、我々自身は率直な疑問としてそういうことを持っておりまして、今お伺いしたわけなんですが。 それで、もう一つは、その封じ込めとか、何というんですか、覆土という話が出ましたけれども、これまた私の方の栃木県の例ですが、県南の野木町というところでマンションの駐車場からベンゼンが検出されまして、元化粧品工場の跡地として、ここはいわゆる地下の、揮発性物質がそこに埋設、埋蔵されておりまして、駐車場が隆起をして問題になっているというところがございます。 これは、あくまでこれは駐車場として土をかぶせたとか、あるいはアスファルトで舗装したかどうか分かりませんが、こういう現象というのは、これは私は一つのそういう汚染された土壌の現実の在り方としてこういうのは結構事例があるんだろうというふうに思っておりまして、そういうことからすると、先ほどの大野参考人の御説明もありましたけれども、こういうふうないわゆる揮発性物質、これは鈴木参考人も御指摘をしておりますけれども、こういうふうな土壌に対して、先ほどのような御説明でこれは対応できるのかどうかということについて重ねて説明していただきたいと思うんですが。 ○参考人(大野眞里君) 今の谷先生の御質問でございますけれども、揮発性物質につきましては、御質問のとおり、単なる封じ込めということだけではいろいろと問題がある点はあろうかというふうに我々も考えております。これは、封じ込めというのは、あくまでも接触、土壌との、汚染された土壌との接触に伴いますあるいはリスクということ、健康リスクということを考えておりますので、そういう意味での有効性というのは十分持っているだろうというふうに考えますが、揮発性の物質につきましては当然大気中に出てくるという面がございます。この辺につきましては、ある意味では大気汚染防止法の世界の中で本当は扱っていかなければいけない話の一つではないかというふうに考えておりますけれども、実態としては、それが出てきてどれだけ健康被害に、大気を通じた健康被害にどれだけの影響があるのかにつきまして、今後ともまだ検討を重ねていかなければいけない部分ではないかというふうに考えております。 ○谷博之君 限られた時間ですので、更にちょっとお伺いをしたいところなんですが、最後の質問をさせていただきたいと思いますが。 浅野参考人にお伺いしたいんですが、先ほどの御説明の中で、一番最後の今後の課題というところの中でいわゆる無資力者への配慮というふうなことが御指摘されておりましたけれども、これは個人に限らず、地方自治体やあるいは企業でもそうなんですけれども、例えば今回のこの法案でいいますと、特に費用負担能力の低い中小企業者などに対していわゆる基金を造成するということですけれども、こういうことについて、そういうふうな地方自治体とかいろんな、経団連を始めとするそういう団体の中でも、やっぱり国の補助率をもっと上げてほしいとか、あるいは何で汚染原因と無関係な第三者の負担が、いわゆる経団連辺りもそのような考え方があるようでありますけれども、負担をしなきゃならないんだというふうな議論も内部的にはあるというふうに聞いております。 要するに、こういう土地を持っておられる方々のそういうふうな土壌汚染対策についてのそういったいわゆる支援の在り方、これについて配慮すべきだというふうに説明しておられますけれども、具体的にどのような配慮が必要かということについてもう少し説明をいただきたいと思うんですが。 ○参考人(浅野直人君) ただいまの御質問でございます。なかなか短い時間で端的に答えることは難しいわけです。 まず、この問題については、総枠でどの程度の支援のバジェットを用意できるかということが一方の制約要因としてございますから、それ抜きにして無制限にいろんなことを理想的に述べることも難しいかと思います。実際にどの程度の対策が必要で、その対策のためにはどの程度の経費が必要なのかという見通しが立ちませんと全体像を語ることが難しいわけですが、当面申し上げますと、やはり無資力者という場合に特に配慮すべきだと思いますのは、自らが汚染者ではない、しかしながら土地所有者であって、そしてその浄化を原因者が明らかでないのでさせられてしまうというような場合、これはある意味では被害者的な要素も出てくるわけです。しかし、それをうまく立法的に整理して仕分けすることが無理なものですから、一応全部網をかぶせるという形になっているんですけれども、こういう被害者型の場合にはやはりある程度の配慮が必要だろうと。 しかしながら、例えば農水系の様々な施策の中でも受益者負担というのがあるわけですから、私は、土地所有者として土地所有権を自ら持っていて、クリーンアップによって土地の地価が回復するという利益があるならば、やっぱりこれは全面的に、全部公費投入とかあるいは基金による投入ということは適切ではないんで、そのところのやっぱりシェアリングというのは必要だと。それを抜きにして、ともかく補助をすればいいとか援助すればいいとか、全額公費負担は基金負担でやるのがいいという考え方にはならないだろうということを考えているわけです。 それ以上に、今度、中小企業者の場合で自らが汚染原因を作り出していて、なおかつクリーンアップをしなきゃいけないというケースの場合には、これはなかなか難しいわけでありますけれども、しかし、それで全く対策が進まないということによる国民の健康に対する危険ということを考えますと、その観点からの公共政策的な配慮で資金を投入するという必要が出てくるわけです。 そして、先ほど御質問の、直接原因者でない者もそれに応分の負担をするということに関する御議論でございますけれども、しかし、やはり経済社会システムというものはどこかでつながっておりますから、直接の汚染者でない者であっても、その者が何ぴとかの製造した汚染物質を購入して使用したということになりますと、その購入して使用したということからその製造元のところに当然行き得るということになりますが、それを一々特定することは難しいわけですから、そこはやっぱり全体としてある意味じゃリジットに、責任原理に基づかないで応分の御負担というような形で基金を作るというのは一つの政策の在り方だというのが私の考え方でございます。 ○委員長(堀利和君) 時間が参りましたが。 ○谷博之君 どうも、時間が来ましたので、ありがとうございました。終わります。 |