国会活動報告 2002年12月12日

国際協力銀行に
環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立手続についての申し入れ

日時:12月12日12:20 〜12:45 
場所:参議院議員第二会議室
出席者:議員(五十音順)岩佐恵美、谷博之、中村敦夫、福島瑞穂、福山哲郎、保坂展人、国際協力銀行志賀理事(環境担当)、矢島総務部次長他2名

谷:定刻になりましたので、始めます。お手元に資料を置いたが、4点申し入れがある(※申し入れ内容は資料参照)。1点目は、融資契約調印前の異議申し立てについて。2点目は情報公開の内容と時期。3点目は調査報告書の公開時期について。4点目は調査期間中の融資契約先送りについて

○意見交換○

JBIC:現在が最終段階というわけではない。途上国からの返答・反応を踏まえてもう一度パブリックコメントを募集する予定。

福山:異議申し立てのタイミング問題について、融資契約後ということを変えたそうだが、内容を確認したい。それから、環境担当審査役の選任のプロセスについて教えて欲しい。

JBIC:基本的な考え方として、審査についての遵守不遵守という問題であることは変わらない。ただ、円借款はまず政府決定がある。政府決定を経て閣議決定をした後、交換公文を交わし、それから融資契約をする。通常は貸付の数ヶ月前に政府決定がある。手続き的には、実施機関である我々が調べ、その線でいける、ということを確認してから政府に推薦し、「JBICとして進めていく方針だ」ということを政府に申し上げる、という手順を踏む。円借款については、政府決定後に貸付契約に入るということでワンステップが入るが、それ以外については、我々が単独に決定する、その後も審査をつづけるということで、融資契約後に異議申し立てを受けるということにしている。これまでパブリックコンサルテーションでも、「第三者意見が反映されないのではないか」「ルールを明確にしろ」とも言われてきた。そこで、環境担当審査役に異議申し立てがなされたとき、総裁に意見を移送し、報告を受けるということを可能とするルールを明確化した。二点目の環境担当審査役の選任について。これは総裁直属の機関になるが、選任の方法は、まず環境問題・業務に対しての知見を有すること・それから言葉がわからないといけないと言うことで、住民との対話=英語になるが、という語学・コミュニケーションに長けているか、ということから候補者を事務局が選ぶ。まずはNGO、産業界、学識経験者による選任委員会を選びたいと思う。その推薦を受けて総裁が決定するという透明性を高めたい。

福山:審査役は何人か?

JBIC:異議申し立ての量・程度はわからないが、2人を考えている。

福山:選任委員は何人か?

JBIC:まだ決めていない。各界を代表する方は含めたい。

福山:1点目について、JBICが意思決定をして政府に上げる、それから閣議決定をするまで時間がある。その間、異議申し立てが可能と言われたが、JBICの意思決定から円借款の契約までの間の異議申し立ては、契約後の異議申し立ての間と審査役の権限は同じなのか?

JBIC:同じである。政府決定後ということ、つまり我々が政府に意見を示したということだが、それ以降はまったく同じ。

福山:両期間について、審査役の役割は同じということでいいのか?

JBIC:はい。

谷:審査の手続きについて。

JBIC:受理してから5日以内に受理の返事を出し、1ヶ月かけて予備審査を行う。それから、2ヶ月かけて本審査にはいる。手続き規定は要綱案に入れている。公開は、漠然とした書き方を要綱案でしているが、プロジェクト次第ということになる。検討中の情報は、公開によりシロかクロかはっきりしていない段階で案件が審議されているということが明らかになるだけで、プロジェクトを妨害することになりかねない。そのため、出来るだけ出すべきではない、と考えていた。パブリックコンサルテーションにおいて、政府と民間とで情報公開は異なってしかるべき、との意見があり、またケースバイケースであるとも言われ、プロジェクト次第で公開する、ということにした。一方、政府のプロジェクトの場合、競合先相手のプロジェクトを潰すということはまずなく、早めの情報公開をしても問題ないと思う。一方、民間だと競合先の権利乱用によりプロジェクトそのものが問題とされることとなる。情報公開法の不開示事由も鑑み、漠然とさせた。

保坂:ケニアのソンドミリウダムについて調べていた際にJBICと議論したが、大抵の場合、プランニング段階で異議は出てこない。工事が始まって影響が出てきだすと、既にケニア政府の水力発電の会社のものになっており、内容も明かされてこなくなる。本当に適切になされているのか、情報が出ることで問題があるなら、情報漏洩のないようにしながら、しっかり民間でもチェックできるようにすべき。

JBIC:プロジェクトの実施主体が住民ときちんと議論したか、ということなどもチェックするし、環境影響の調査・報告書の提出・公開を義務づけている。過去はそこまでしていなかったが、これからは事前に住民に情報が広がっていることを前提にしている。

福島:情報公開がされていることと異議申し立ては別。事前に情報公開がされている場合の入札妨害を懸念されていたが、これまで問題となったことはないはず。国際機関でも事前の異議申し立てを認めているのに整合性がない。JBICの対象は、大規模でリスクの大きいことが多いのだから、始まってしまってからはなかなか止められない、ことの方が問題。

JBIC:円借款については対応が出来ていると思う。システムがJBICと世銀とでは違う。世銀はボードとアドミニストレーションが別々の機関。競合ということでは、世銀の場合、相手国政府の要請を受けてプロジェクトを決め、融資契約を決めてから国際入札するという手順になり、世銀は競合先がまったくない。一方、我々の業務としての民間プロジェクトは、我々だけが唯一の取引先ではない。世銀と平仄を合わせたものはODAで確保したと思っている。

保坂:インドネシアのコトパンジャンダムについて、JBICも絡んでいる問題だが、既に地元住民4000人が提訴をしている。先般代表者から意見を聞いた。一方で、JBICの方で懐柔策、住民の切り崩しのような計画があるように聞いている。これはゆゆしきこと。ODAが訴えられたこと事態前代未聞である。取り下げを迫るようなことはないよう、調査して報告していただきたいと思う。根拠なく言っているわけではない。

谷:申し入れにあるように、18名の議員が参加している。十分検討をお願いしたい。

以上 (記録のご提供:民主党参議院議員福山哲郎事務所 三葛敦志さん)

2002年12月12日

国際協力銀行総裁 篠沢 恭助 殿

環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立手続についての申し入れ


貴職におかれましてはますますご活躍のこととお慶び申し上げます。

 さて、本年6月から議論が進められてまいりました国際協力銀行の新しい環境社会配慮ガイドラインに基づく異議申立手続につきましては、これまで12回にわたるパブリック・コンサルテーションが開催され、積極的な意見交換が行われてきたと聞いております。国際協力銀行が支援を行う事業において、ガイドラインに定められた適切な社会環境配慮が行われることを確保するために、事業によって影響を受ける人々から直接にガイドラインの不遵守について意見を受け付けるという異議申立手続きは、新しい環境ガイドラインに続いて、国際的にも大変注目を集めている画期的な取り組みであると期待しております。

 とりわけ、これまで意見の対立があった融資契約調印前の異議申立の受付について、ODA業務においては融資契約調印前であっても「本行としての評価を示したとき以降」は異議申立てを受け付けるとの改善があったことは、これまでの活発な議論の成果であろうと評価しているところであります。しかし、残念なことに、これまでの議論を踏まえた十分な改善が行われていない箇所があります。

 1点めは、国際協力銀行の民間企業支援業務における、融資契約調印前の異議申立ての受付です。産業界が懸念を示している入札妨害を意図した異議申立ては、受付時に厳格に排除する手続きが定められています。また、融資契約前に行われる異議申立は通常は環境審査に反映され、それでも異議申立てが行われるのは審査においてどうしても意見が反映されないごくわずかな事例です。この様な環境社会配慮をめぐる意見が大きく対立する事業は、その影響について予測することが難しく環境のリスクが非常に大きい事業です。こうした事業に関しては、民間企業支援業務においても融資契約調印前から異議申立ての受付を行うべきです。

 2点目は、情報公開の具体的な内容とその時期についての明示です。11月18日にJBICから提示された案では「異議申立の受付状況、手続き進捗状況を公開する」との記述が盛り込まれていますが、どのような資料がどの時点で公開されるのかについて、具体的な記載が必要です。

 3点目は、ガイドラインの遵守・不遵守についての調査報告書の公開時期です。11月18日の要綱案では、JBICの投融資部門による意見書が作成されるまで報告書は公開されないことになっていますが、報告書は総裁に報告後は意見書の作成を待たず速やかに公開され、報告書に対するステイクホルダーからの意見も踏まえた上で、JBICの投融資部門による意見書が作成される必要があります。

 4点目は、異議申立案件の調査期間中の、融資契約の先送りについての記載です。融資契約調印前に受け付けた案件に関しては、ガイドラインの遵守・不遵守についての調査が終了し、報告書が作成されるまで、融資契約の調印は当然見送られなければなりませんが、これについての記載が見当たりません。要綱案に適切な記載が盛り込まれる必要があります。

 以上の4点については、これまでの議論を踏まえて、最低限確保すべき項目であると考えております。様々なステイクホルダーが、透明なプロセスで十分な時間をかけて議論を重ねた成果として、これら点を十分に反映した、国際協力銀行の異議申立て手続き要綱案を策定して頂きたく、ここに申し入れを致します。

賛同人
衆議院議員 阿部知子                  衆議院議員 植田至紀
衆議院議員 川田悦子                  衆議院議員 北川れん子
衆議院議員 佐藤謙一郎               衆議院議員 首藤信彦
衆議院議員 原 陽子                 衆議院議員 保坂展人
参議院議員 岩佐恵美                  参議院議員 大渕絹子
参議院議員 岡崎トミ子                参議院議員 加藤修一
参議院議員 小宮山洋子               参議院議員 谷 博之
参議院議員 千葉景子                  参議院議員 中村敦夫
参議院議員 福島瑞穂                  参議院議員 福山哲郎