2007年1月31日 政府四演説に対する代表質問
166-参-本会議-4号 2007年01月31日(未定稿)
○谷博之君 民主党の谷博之です。私は、民主党・新緑風会を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
総理は所信表明演説の中で、福沢諭吉の「出来難き事を好んで之を勤るの心」という言葉を取り上げましたが、この福沢諭吉や幕末明治の日本の夜明けを築いた人たちの中でも、特に吉田松陰や高杉晋作を尊敬されていると聞いております。その松陰をさかのぼること二百年前、江戸時代の前期に、貧困の中で苦学して大成した伊藤仁斎という思想家がおりました。松陰にも大きな影響を与えた彼は、富貴に惑わされず貧苦にもくじけず、清貧を守って折り目正しい一生を、積極的に、上機嫌に送りつつ、人のために、人と和して生きるという倫理観を実践した人でありました。私は、彼こそが正に美しい国の国民が目指すべき生き方をした人物であったと思います。 しかし、総理、今の世の中は全く逆になっているとは思いませんか。自分のために、自分だけが金もうけをして、折り目もなく、消極的に、不機嫌にさえ生きている人の住む社会になっているとは思いませんか。最低限のルールさえ守ればモラルなんか守らなくてもいい。極端な規制緩和とあらゆる面に自由競争を導入することですべてをよしとするそうした勝手な社会になろうとしているとは思いませんか。また、あなたは美しい国という言葉だけを羅列しつつ、逆にそうした社会をつくろうとしているのではありませんか。総理、お答えください。 総理、あなたは幹事長代理のときに、堀江さんの成功は小泉首相の改革の成果、ホリエモンのような偉大な起業家が出てきたのは小泉改革のおかげと持ち上げていました。あなたの目指す教育改革は、あのライブドア元社長の堀江被告のような若者をどんどん世の中に送り出すということなのでしょうか。モラルなき競争社会となった我が国の現実に対する総理の認識と、総理の教育改革が目指す理想の人物像について改めてお伺いいたします。
次に、人口減少時代の国の基本的方向について伺います。総理はシュリンキングポリシーという言葉を御存じでしょうか。市街地に空き家が増えて様々な問題が発生している事態を悲観せず、むしろ絶好のチャンスととらえ、緑地や森林など自然に戻すといった取組で、急速な人口減少に直面しているドイツでは、自治体が連邦政府の財政支援を受けて積極的に地域再生を行っています。生物の多様性、あるいは安全性とか美しさとかゆとりを取り戻し、町の質を高め魅力的な空間へと変えようとしているのです。同じ人口減少社会でも、閣僚が女性を産む機械や装置に例える我が国の情けない状況とは雲泥の差であります。 私は、このシュリンキングポリシー、つまり創造的縮合政策の発想を福祉や農政にも当てはめ、単なる切捨てではない、五十年先、百年先を見据えた、前向きで積極的な政策を展開していくべきだと考えますが、総理の所見を伺うとともに、許し難い暴言を吐いた厚労大臣の罷免を強く求めるものでありますが、総理の御見解を伺います。 人口減少は、設備投資に必要な資金減少を引き起こすので、賃金上昇、消費拡大のチャンスだと言う人がいます。無駄な公共事業や基地をなくし、福祉や農業、教育に重点配分する政策に百八十度転換すべきです。これを実現できるのが民主党政権です。政官業の癒着から逃れられない自民党には一日も早く政権を降りていただき、政権交代を実現するしかありません。
次に、安倍内閣の後ろ向き政策、福祉切捨ての象徴である二つの具体的問題についてお伺いいたします。
その一つは難病対策であります。 昨年秋、厚労省が示したパーキンソン病と潰瘍性大腸炎患者の一部を医療費公費負担の対象から外す方針について、私は民主党難病対策推進議員連盟の事務局長として、同僚議員とともに財務、厚生労働両省に反対の申入れを行いました。その結果、二つの疾患の削減は、来年度は行われないことになりましたが、再来年以降については定かではありません。
今後どのような日程で再検討するのか、また、特定疾患対策懇談会の提言をどう扱うのか、罷免を求めている厚労大臣に聞いても仕方がないことではありますが、辞任がうわさされている厚労大臣、お答えください。
この制度は、本来、国と都道府県で半分ずつ負担することとなっていますが、実際には国は三割しか負担しておりません。栃木県など自治体独自の指定疾患を削減する動きも出ています。この改善についても強く申し入れたところでありますが、わずかに七億円、三%程度増加した予算案で自治体の超過負担を幾ら軽減できるのか、厚労大臣、具体的にお示しください。
さらに、私たち民主党は、医療費の公費負担制度を難病患者に対する福祉制度とするため、必要な法制化について検討することを厚労省に申し入れました。私は、当選以来、ずっとこれを提案し続けています。現在、安倍内閣としてどのような青写真を描いているのか、総理、お答えください。
そもそも、数ある難病のうち、どの疾患を公費負担の対象とするのかは医師だけで決めるべきものではありません。一方、患者や家族の代表や行政代表も含む難病対策委員会は、五年間に一度も開かれないまま、この一月に任期が切れ、改選手続に入っています。これは行政の不作為ではありませんか。医師以外の委員枠を維持し、早期にこれを開催するよう強く求めるものでありますが、厚労大臣の御答弁をお聞かせください。
私は、先日、SMA、脊髄性筋萎縮症という難病団体の方々から陳情を受けました。SMAは、難病中の難病と言われるALSの類縁疾患でありながら、医療費の公費負担対象には該当せず、高額の医療費に苦しんでいます。先日テレビで放映された、筋肉が骨になってしまうFOPという病気も難病中の難病であります。ほかにも多くの希少疾患の患者、家族が医療費の公費負担を求めて一日千秋の思いで運動を続けています。
医療保険や介護保険、障害福祉が軒並み給付減、負担増となる中で、こうした疾患に光を当てられないで何が選択と集中なのでしょうか。こうした希少疾患の早期指定について、総理並びに厚労大臣の明確な御答弁を求めます。
次に、障害者自立支援法について伺います。 政府は今回、三年間で約一千二百億円規模の利用者負担の軽減措置や事業者への激変緩和措置を打ち出しました。そして、その理由は様々な意見に対応するためと説明し、実態を調べた結果とは言っておりません。つまり、このことは、厚労省はいまだに実態を直視していない証左だと言わざるを得ません。
重度障害者の在宅介護給付は、障害者自立支援法で義務的経費となりましたが、あくまで障害程度区分で規定される範囲内でしかありません。その結果、自治体の独自予算の有無に生死が懸かる状態が続いています。在宅重度障害者地域生活支援基盤整備事業の柔軟な運用を含め、きめ細かな地域生活支援が必要だと思いますが、厚労大臣に伺います。
法施行前、身体障害者の平均負担額は月八千四百円と見積もられていました。が、しかし、施行後にDPI日本会議が行ったアンケートでは、平均額は約二万円となりました。所得が低い障害者に対して、重度の方ほど負担が増える応益負担の仕組み自体に無理があるのです。また、運営費を削減して作業所や通所施設の運営を行き詰まらせていることも、地域自立支援という理念と逆行するものであります。
軽減策でお茶を濁すことなく、早急に一人一人の生活実態を把握し、応益負担の撤回と所得保障を含めた制度設計を見直すべきだと考えますが、総理並びに厚労大臣の明確な答弁を求めます。
障害者の法定雇用率や障害者自立支援法などは障害認定が要件になっているために、障害手帳のない難病患者や学習障害、注意欠陥多動性障害児者の人たちには職業紹介を受けられず、就労政策も利用できません。特に若年患者には雇用機会もなく、福祉制度の対象にもならず、制度の谷間に置かれ続けています。再チャレンジ政策の下、これらの方々に対する具体的な就労支援策について総理並びに厚労大臣にお伺いをいたします。
次に、年金問題について伺います。 社会保険庁の解体案は、我々民主党が言い出したことであります。総理、年金問題に詳しいと自負するあなたが官房長官という要職にいた折、なぜねんきん事業機構法案を提出したのですか。あなたのせいで年金改革が丸一年遅れたではありませんか。 総理は所信表明の中で、高齢者の多くが加入し未納率四割の非常事態にある国民年金については全く触れずじまいでした。働き方が多様化した今、転職のたびに厚生年金から国民年金に切り替えるのは大変面倒です。また、昨年十二月、出生率が一・二六に下方修正された結果、現役収入の五〇%を年金給付水準とした与党の百年安心という約束はもはや破綻したも同然であります。国民年金も含めた公的年金の抜本改革が求められていることについて、総理はどのように考えておられますか、お答えください。 総理は所信表明の中で、パート労働者への厚生年金の適用拡大に触れられました。現在は労働時間週三十時間以上を加入対象としている中で、パート労働者は一千二百六十六万人、そのうち女性は約七割を占めています。適用対象を週何時間まで広げるお考えなのですか。アドバルーンだけに終わらぬよう、御答弁を総理、厚労大臣から伺います。
次に、教育改革について伺います。 私は、今後の教育改革は、国家統制、権限強化の方向ではなく、国際的な方向である子どもの権利条約と日本国憲法の精神を生かした、すべての子供たちへの教育条件の整備充実、機会均等を実現するため、保護者や地域の広範な人々との連携を日常的なものとし、地域に開かれた、根差した学校を目指して、現場からの教育改革を更に進めていくことが重要だと考えておりますが、総理及び文科大臣の御認識を伺います。
いじめや自殺の問題が深刻になる中、教育委員会の消極的な対応が批判されています。
そうした中で、規制改革会議では、教育委員会の設置義務の撤廃が一度は盛り込まれたものの最終答申で後退、教育再生会議では、保護者代表の参加を義務化すべきとの意見が出たにもかかわらず、先日の第一次報告書では盛り込まれませんでした。また、第三者評価機関の設置がうたわれていますが、学校に対する第三者評価機関と同じ組織のことなのかはっきりしません。総理の所信表明でも責任の所在を明確にするというだけで、住民や保護者、児童が安心できる改革内容を示してはいません。
総理は教育委員会を具体的にどう改革したいのか、また、文科大臣は第三者評価機関をどこに設置すべきとお考えなのか、見解を求めます。
また、教員免許更新制に至っては、再生会議と中教審の意見が対立しており、今後、関連法案提出に向け、どのように政府・与党内での合意形成を図るのかが不明です。やり方によっては、教師を追い詰め、ストレスを増やし、ついには教員を自殺にまで追いやるような悲惨な結果にならないのか、極めて心配です。文科大臣の見解を求めます。
最後に、農政について伺います。 今年は戦後農政大転換の年であります。
政府は、担い手対策の名の下に農家を耕作面積で足切りし、施策を大規模経営体に集中させることで中小・兼業農家を離農させ、農地を集約させようとしています。さらに、それと同時並行的に、農業大国オーストラリアとの自由貿易協定交渉を本格的に始めようといたしています。
我が国の現在の食料自給率四〇%は、イギリスやドイツの半分であり、韓国でさえ四九%もあり、日本は先進国で最も低い状況にあります。日豪FTAを締結して、二〇一五年度までに食料自給率を政府目標どおり四五%まで引き上げることができると本気でお考えなのでしょうか。総理お得意の安全保障上、我が国の食料自給率は十年後に何%必要だと考え、そのためにどのようにしようとしているのか、お答えください。
今回の農林水産関係予算は七年連続の減少です。しかも、その大半は担い手に集中し、非担い手向けの施策は五年間の農地・水・環境保全対策と三年間だけの産地づくり交付金などになってしまいました。農地の半分に当たる二百万ヘクタールを耕す非担い手農家が営農意欲を失い、耕作放棄地が増えることは、地元栃木県の農村を回ってみても明らかです。さらに、構造改革不況によって農村地帯では兼業収入も近年大幅に減っています。安倍自民党農政は、今正に戦後施策の大転換を行い、比較的均質だった日本の農村に巨大な格差をつくり出そうと考えているように思います。総理はどうお考えですか。
もっとも、下げ止まらない米価の現状では、担い手の将来も明るいものではありません。担い手は果てしない規模拡大を迫られていますが、どこまで拡大すれば経営が安定するのか、どれほど借金をしなければならないのか見通しが立たず、規模拡大意欲は衰えを見せています。そのことは二〇〇二年の農業白書でも既に警告されており、今度の農政の大転換により一層担い手の規模拡大意欲は減退し、農業は崩壊すると私は危惧しております。このことをどうお考えですか。
また、政府は、農山漁村活性化推進法を今国会に提出するようでありますが、そのために新設する農山漁村活性化交付金はわずかに三百四十一億円です。その陰で、従来あった地域活性化のための交付金四百十五億円は廃止になっています。法案を作りながら予算を削減するということは、一体どんな了見なのでしょうか。
以上二点、農水大臣の明確な御答弁を求めます。 JA全中、全国農業協同組合中央会は、昨年六月、次期参議院選比例区候補者の支援のための当面の取組についてという文書を発し、組織一丸となって、まだJA全中専務職にあった組織内候補の後援会づくり、カンパ活動などを進める取組を指示しています。JA全中はまた、部長クラスの幹部三人を特命休職として選挙対策に当たらせるとうわさされております。形式上、全国農政連の推薦候補でありますが、指摘した文書がJA全中の連名で発信されていることを見ても、JA全中の直営選挙の様相が極めて濃いと言わざるを得ません。
農協は、農業協同組合法に基づき、組合員農家のための最大の奉仕をすることを目的とする非営利団体です。中でも、JA全中はその組合の健全な発達を図ることを目的として設立され、農政の実施に深くかかわっています。このような公益性の高い法定団体が特定政党の候補者を応援する政治活動を行うことは、農協法の趣旨に反すると同時に、農政の中立性への信頼を失いかねないと言わざるを得ません。
この点についての農水大臣の御見解を求めます。 さらにまた、農協の職員が五千人のリストラを、改革を余儀なくされている中で、勤務時間中に職務上のラインを通じ、様々なこうした後援会加入やカンパ用紙の活動をさせられているということについてインターネット上で明らかにされております。
こうした事柄について、組織ぐるみの事前運動に当たるのではないかと危惧をいたしますが、総務大臣にその御所見をお伺いいたします。
最後に、農協法の理念や公職選挙法に反するような事前運動を本来業務に優先して続けていると、消費者である一般国民の信頼をも失いかねない事態になることを危惧しております。
そうした中で、全農家への戸別所得補償を一兆円規模で行うという民主党の提案こそが農業、農村を崩壊のふちから再生させ、自給率を向上させる道であるということを強く申し上げ、私の質問を終わりといたします。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷博之議員にお答えをいたします。 美しい国と競争社会に関してのお尋ねがありました。 私が目指す日本の姿は、世界の人々があこがれと尊敬を抱き、子供たちの世代が自信と誇りを持つことができるように、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた「美しい国、日本」をつくることであります。自由な社会を基本とし、規律を知る凜とした国であります。 先般取りまとめた「日本経済の進路と戦略」においても、日本が目指すべき経済社会の姿として、自律の精神が尊重され、自由で規律ある市場の下で民間の力が十分に発揮される社会を目指しております。 教育改革が目指す理想の人物像についてお尋ねがありました。 教育は、個人の多様な可能性を開花させ、志ある国民を育てるものであります。これがひいては品格ある「美しい国、日本」をつくることにつながるものと考えております。 このため、公共の精神や自律の精神、道徳心といった価値観をしっかりと子供たちに教えていくことが必要であります。また、社会総掛かりで教育改革に取り組み、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間を育成してまいります。 シュリンキングポリシーについてお尋ねがありました。 我が国は、今後本格的な人口減少を迎えることが見込まれておりますが、社会保障、農業、地域再生などの政策において、人口減少社会の到来に適切に対応し、国民がゆとりある質の高い生活を送ることができるよう取り組んでまいります。 一方、更なる少子化の進行は我が国の社会経済全体に大きな影響を及ぼすことから、社会経済の活力を維持していくためにも少子化対策を戦略的に実施していく必要があると考えております。 厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。 私は、厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言だと思います。厚生労働大臣に対し厳重に注意をいたしました。閣僚の発言は重く、今回の発言によって多くの女性の心を痛めたことに対し私も深くおわびを申し上げます。柳澤大臣も深刻に反省をしており、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を進めることにより国民の信頼を得られるよう、全身全霊を傾けて職務を全うしてもらいたいと考えております。国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げまして、御理解を賜りますようお願いを申し上げます。 難病患者に対する医療費の公費負担制度についてのお尋ねがありました。 難病患者の方々の医療費については、現在、予算事業として公費負担を行っておりますが、御指摘の法制化に関しては、難病患者の方々の中にも賛否両論の意見があることから、更に関係者の御意見をよく聞きながら検討してまいります。 希少患者の早期指定についてお尋ねがありました。 難病のうち医療費の公費負担等の対象となる特定疾患については、医学、医療の専門家から成る懇談会において選定しております。患者、御家族の実情を把握しながら、また科学的な見地を大事にしながら、公正な議論を行い適切に対応してまいります。 障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。 本制度においては、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いをしていますが、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細やかな軽減措置を講じております。さらに、今般、法の実施状況として把握したデータや現場の声も踏まえ、もう一段の負担軽減措置や作業所の支援措置など、三年間で千二百億円規模の特別対策を実施することとしており、引き続き法の定着に万全を尽くしてまいります。また、法の附則において、就労の支援を含め障害者が所得を確保できるようにするための施策の在り方などについて検討をすることとされており、今後更に検討を進めてまいります。 難病患者や発達障害者に対する就労支援策についてお尋ねがありました。 国民一人一人が日々の生活に対し、誇り、生きがいや充実感、明日への希望を感じられることが大切であり、難病患者や発達障害者の方々も含め自立して生活できるようにしていくことが重要であると考えております。このため、障害者の就労支援策においては、障害手帳の有無にかかわらず、それぞれの方の障害の状況に応じて様々な支援を実施し、また強化しているところであります。 社会保険庁改革についてお尋ねがありました。 社会保険庁については、事業運営に関して様々な問題が生じたことを受けて、運営体制全般を刷新して新たな行政組織として再出発できるよう、昨年の通常国会に、ねんきん事業機構法案を提出いたしました。しかしながら、その後再び国民の信頼を損なう問題が生じたことから、規律の回復と事業の効率化を更に徹底すべきとの国民の声をしっかりと受け止め、非公務員型の新法人の設置など、社会保険庁の廃止・解体六分割を断行することとし、新たな改革法案を今国会に提出してまいります。 公的年金制度の抜本改革についてお尋ねがありました。 国民年金も含めた公的年金制度については、平成十六年の制度改正において、保険料水準の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組みの導入等により、持続可能な仕組みを入れ込むことができたと考えております。また、年金財政においては、人口だけでなく経済の長期的な動向がどうなるかが重要であり、法律の規定に基づき、定期的に年金財政の状況を検証いたします。その一環として、昨年十二月に公表された新人口推計や平成十六年改正時より好転している近年の経済動向などを踏まえた暫定試算を急ぎ行わせており、まとまり次第公表する予定であります。 パート労働者への厚生年金の適用拡大についてのお尋ねがありました。 パート労働者への厚生年金の適用拡大については、再チャレンジを支援し、被用者としての年金保障を充実させる観点などから、具体的な検討を進めているところであります。今後、幅広い関係者からの意見聴取の結果も踏まえ、週労働時間を始め勤務期間の長さ、月収の水準など総合的な観点から、厚生年金の適用にふさわしい対象者の範囲について適切に判断してまいります。 地域に開かれた学校を目指して現場からの教育改革を更に進めていくべきとのお尋ねがありました。 私は、保護者や地域と連携しながら学校運営や教育活動を展開していくことは重要と考えております。このため、国においては、保護者などに対する学校の情報公開を進めております。また、保護者や地域住民が学校運営に参画する学校運営協議会制度や学校評議員制度を導入しているところであります。今後とも、これらの取組を推進して、地域に開かれた学校づくりを進めてまいりたいと考えております。 教育委員会改革及び第三者評価機関についてのお尋ねがありました。 教育委員会制度については、その在り方を抜本的に問い直すとの教育再生会議報告を受け、更に議論を深め、教育に対する責任の所在を明確にし、国民の皆様から信頼される教育行政の体制を構築する具体的改革案を形作ってまいります。教育委員会に対する第三者評価機関については、教育再生会議において、教育委員会の外部評価委員会を都道府県、市町村段階に置くことについて検討することとされており、地方の教育行政がきちんと評価されることとなるよう、教育委員会制度全体の改革の中でしっかりと検討を行ってまいります。 食料自給率についてのお尋ねがありました。 食料の安定供給を確保していくためには、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これに輸入と備蓄とを組み合わせることが必要です。将来的な食料自給率は、供給熱量の五割以上を国内生産で賄うのが適当と考えています。これを前提に政府としては、実現可能性を考慮して平成二十七年度における食料自給率目標を四五%と設定し、消費、生産両面からの取組を重点的に行ってまいります。なお、豪州とのEPA交渉については、豪州が農業大国であることから国内農業への影響を十分に踏まえ、日本として最大限の利益を得られるよう政府一体となって取り組んでまいります。 農業政策についてのお尋ねがありました。 農業従事者の高齢化、兼業化により、かつては均質だった農業構造が変化している中で、生産性や品質の向上などの課題を解決するためには、意欲と能力のある担い手に施策を重点化することが不可欠であります。このため、担い手に対象を絞った新たな経営安定対策が農業の体質を強化する上で最善の方法と考えており、農村の活性化を図るため、その他の施策の展開と併せて、活力ある農業農村を築いてまいります。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) 谷議員から私に対しまして八点につきましてお尋ねがございました。 お答えに先立ちまして、私、谷議員の御質問の中で、私の先般講演の中での言葉に触れるくだりがございました。私は、過日、講演の中で誠に不適切な表現を用いまして、この表現によりまして女性の方々を深く傷付けたことがございました。この点につきまして改めてここで深くおわびを申し上げます。大変申し訳ありませんでした。 まず、難病対策でございます。昨年十二月の特定疾患対策懇談会の提言につきましては、与党等から、患者の生活実態等により配慮し、現在事業の対象となっている者に対して医療の継続が図られるよう措置を講ずるよう、更に検討を求めるという経過がございました。このため、引き続き患者団体等関係者の意見も幅広く伺いながら、慎重に検討を行ってまいりたいと考えております。 次に、難病対策委員会についてのお尋ねがありました。 厚生労働省の難病対策委員会は、職種ごとの委員構成が決まっているわけではありませんが、医師、患者、行政、学識経験者等によりまして構成されております。委員会の会議につきましては、今後とも必要に応じて早急に開催してまいりたいと考えております。 特定疾患治療研究事業の地方自治体の負担に関するお尋ねがありました。 特定疾患治療研究事業の国の事業費については、平成十五年度以降毎年増額しており、来年度予算案におきましても、厳しい財政状況の中、一般歳出の伸びを上回る高い伸び率を確保いたしております。 この国の予算の下で、地方自治体の負担、特に超過負担がどうなるかの見込みにつきましては、正確な事業費の見込みが難しいことから今具体的にお示しすることはできませんが、今後とも事業の適正かつ着実な推進に努めてまいります。 希少疾患の特定疾患への早期指定についてのお尋ねがありました。 現在、特定疾患治療研究事業及び難治性疾患克服研究事業の対象疾患は、医学、医療の専門家から成る特定疾患対策懇談会におきまして選定することとなっております。昨年十二月に開催されました同懇談会では、今年度中に疾患の選定について議論を行うとの意見も示されたところでございまして、これを踏まえまして新たな難病指定についての検討を進めてまいりたい、このように考えております。 重度障害者の地域生活支援についてのお尋ねがありました。 障害者自立支援法におきましては、特に重度の障害者の方々を対象として新たなサービスを創設いたしております。また、その費用を負担する仕組みにつきましても、より重度の方に厚く配慮したものといたしております。 また、今般新たに関係者の意見と調査データを踏まえまして策定いたしました特別対策におきましても、地域で暮らす重度障害者を支援するため、二十四時間のホームヘルプサービス提供体制の整備を図るとともに、住まいの場であるケアホームの整備のための助成等を行うことといたしております。 障害者自立支援法についてのお尋ねがございました。 利用者負担につきましては、先ほど総理からもお答えがありましたとおり、これまでにもきめ細かな軽減措置を講じてまいりましたが、さらに、今般の補正予算及び十九年度予算におきまして、関係者からの御意見だけでなく、これまでに得られたデータをも踏まえて、もう一段の負担軽減措置を講ずることといたしております。法の趣旨の定着に今後におきましても最大限の努力をいたしてまいりたいと、このように考えております。 また、法の三年後の見直しにつきましては、今後更に幅広く検討を進めてまいります。 難病患者や学習障害等の発達障害者に対する就労支援についてのお尋ねがありました。 難病患者や発達障害者につきましては、障害手帳をお持ちにならない方の場合でも、障害者雇用促進法に基づく職業リハビリテーションの措置の支援対象となっております。その中で、ハローワークにおけるきめ細かな職業相談・紹介、障害者職業センターにおける専門的な職業リハビリテーションなどの就労支援に取り組んでおります。これらの方々に係る福祉施策と連携をしながら、より実効性の確保に努めてまいる所存であります。 最後に、パート労働者への厚生年金の適用拡大についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、総理がお答えしたとおり、現在、社会保障審議会年金部会におきまして幅広い関係者からの意見聴取を行っているところでございます。 こうした結果も踏まえまして、週労働時間を始め、勤続期間の長さ、月収の水準など総合的な観点から、厚生年金の適用にふさわしい対象者の範囲について検討を進めてまいる所存であります。 以上でございます。(拍手) 〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕
○国務大臣(伊吹文明君) 谷議員から三つの質問がございましたので、逐次お答えをいたしたいと思います。 まず最初に、現場からの教育改革についてのお尋ねがございました。 学校教育を具体的にどう進めていくかにつきましては、保護者や地域住民の参加や協力を得ながら、開かれた学校づくりを進めるという御質問の趣旨は、先ほど総理も御答弁を申し上げましたように、政府の方針と一致をいたしております。また、行政府としては、憲法や条約を尊重するのは、これは当然のことであります。予算等の現実の制約の中で最大限の努力をしてまいりたいと思います。 一方、御指摘のございました、これらの条件整備の下で、何を教え、児童生徒に基礎学力と規範意識を身に付けてもらい、国際化時代に対応できる日本人をつくっていくためにはどうするかについて、先般国会でお認めいただきました改正教育基本法に基づき、学習指導要領の見直し等を進め、教育の責任の所在が明確になるような教育行政を確立するために、関係法令を国会に提出いたしたいと考えておりますので、御審議をお願いいたしたいと思います。 その教育委員会改革及び第三者評価についてもお尋ねがございました。 議員の御指摘のように、未履修、いじめ等につきまして、教育の責任の所在が誠に不明確であるという御指摘もございますので、信頼される体制を構築すべく、中央教育審議会等の御議論を受けまして、改正法を国会に提出させていただきたいと思っております。 第三者評価機関をどこに置くかにつきましては、教育に対する最終責任をどこが負うかということについていろいろな御意見があることを承知いたしておりますので、広く意見を伺いながら、この第三者評価機関をどこに置くかを決めて国会にお諮りしたいと思っております。 最後に、免許更新制度でございますが、教育の原点は良き教師にあることは言うまでもありません。私の立場からしますと、教師に努力を期待するだけではなく、教師の方々にも広い意味で教えがいのある条件を整備するのが私の責任であると思っております。したがって、更新制度は教員の立場だけではなくて教育を受ける児童生徒の立場からも考えていただかなければなりません。 教員が時代に合った資質を備えることにより学校教育が一層充実したものになりますように、教育再生会議の提案もいただいておりますので、中教審にこれをお諮りして国会に法案を提出したいと考えております。 その際に、一方で、私としては、頑張っていただいている大多数の教員の方々の処遇や、教える以外の事務負担の軽減にも配慮しなければなりませんので、免許制とこれが両々相まって良き教師をつくっていくように努力をいたしたいと思っております。 以上です。(拍手) 〔国務大臣松岡利勝君登壇、拍手〕
○国務大臣(松岡利勝君) 谷議員にお答えさせていただきます。 三点であったと思います。 まず、農政改革についてのお尋ねでありますが、十九年度から実施いたす予定であります品目横断的経営安定対策の対象となる担い手につきましては、将来的に他産業並みの所得を確保し得る農業経営に発展していく努力を促すとの観点から、一定の規模要件を設けまして、それ自体を規模拡大のインセンティブとするとともに、対象となった担い手は、諸外国との生産条件の格差から生じる不利を補正するための支払を受けることができるとともに、市場価格や収量の変動に伴う収入の変動の影響を緩和するための支払を受けることができるなどの経済的メリットを、法律に基づき、将来にわたって受けることとなります。 さらに、このような品目横断的経営安定対策と併せまして、スーパーL資金等の無利子化、無担保無保証によるクイック融資、融資残補助の実施、担い手への農地集積面積に応じた実績払いの導入、担い手に対する新たな税制特例の創設等といった斬新な手法によりまして、担い手のメリットを大幅に充実強化することとした次第であります。 このような所得の安定も含めた経済的メリット等を受けることによりまして、対象となる担い手は、自らの経営の向上に向けて、農産物の品質の向上などのほか、思い切った規模拡大にも取り組むことができるものと考えております。 したがいまして、認定農家、法人経営等に加えまして、単独では規模要件に達しない小規模の農家の方々にも一定の要件をクリアして集落営農という形でまとまっていただくなど、そういったことによりまして様々な形の担い手の体制が構築され、集落の再活性化も図られるなど、我が国農業農村の大きな発展につながるものと考えております。 いずれにいたしましても、小規模農家切捨てではなくて、たとえどんな小規模の農家の方でも一定の御努力をいただくことによりまして担い手となり得る、正に日本農業の総合力を最大限に発揮していくための政策であります。 次に、地域活性化に関連する予算の減額についてのお尋ねでありますが、過疎化、高齢化の進展により活力低下が続く農山漁村の活性化を図るため、居住者や滞在者を増やすという新たな視点から、今国会にいわゆる農山漁村活性化法案の提出を予定いたしております。 本法案に関連する十九年度の交付金三百四十一億円につきましては、今までにない形で農、林、水の事業が一つの計画で一体的かつ弾力的に実施できること、廃屋利用など既存施設の活用や地域提案メニューの採用など柔軟な仕組みとなること、市町村への直接補助が可能となり市町村の主体性が生かされることなどから、これまで以上に事業の効率的実施やコストの縮減が期待できること等を総合的に勘案して計上したところでございます。 なお、平成十九年度予算におきましては、本交付金の創設と併せまして、地域の資源でありますバイオマス利活用のための交付金の創設などを行い、これまでにも増して充実した予算額の確保を図るとともに、より集中的、効率的な運用に努めることにより、農山漁村の活性化を総合的かつ積極的に推進することといたしております。 最後に、全国農協中央会の政治活動についてのお尋ねでありますが、農協組織につきましては農業生産力の増進及び農業者の経済的、社会的地位の向上を図ることを目的とする団体であり、このような目的の達成に資する限りにおいて行う政治活動については、他の法人と同様、公職選挙法や政治資金規正法に抵触しない限り認められるものと認識いたしております。 以上であります。(拍手) 〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅義偉君) 事前運動についてのお尋ねがありました。 選挙運動については、公職選挙法の第百二十九条において、立候補等の届出日から選挙期日の前日までに限られており、それ以前に行うことはいわゆる事前運動として禁止されておりますが、これに当たらない後援会活動については政治活動として認められております。 個別の事案が公職選挙法に違反するかどうかについては、具体の事実に即して判断されるものであり、総務省として具体の事実関係を承知する立場にないので、お答えは差し控えさせていただきます。(拍手) ─────────────