国会活動報告 参議院本会議

2006年5月12日 地球温暖化対策推進法改正案について代表質問      


164-参-本会議-23号 2006年05月12日(未定稿)

○谷博之君 私は、民主党・新緑風会の谷博之でございます。  民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。  冒頭、一言申し上げます。  小池環境大臣には、このたび元気で公務に復帰されましたこと、心からお喜び申し上げます。がしかし、小池大臣が第二次小泉改造内閣で環境大臣と沖縄及び北方対策担当国務大臣を兼務されたときから、ある意味では相矛盾する任務と激務になることが予想され、昨年の本院環境委員会でも私はこの点を指摘をさせていただきました。もし、そうした働き過ぎが今回の御病気の一因だとすれば、それはその任をお引き受けになられたその時点からある程度はお覚悟があったことと言わざるを得ません。  いずれにしても、小池大臣、是非御自分のお体を大切にして、御自分でできる範囲の役割を演じることを心からお勧め申し上げます。環境大臣は、小池大臣、あなたお一人なのですから、あなたは今自分の置かれている立場を更に重大に受け止め、現職の大臣が長きにわたって公務から離れることのないように、十分に気を付けられるよう御忠告を申し上げ、早速質問に入りたいと思います。  我が国は、京都議定書を取りまとめた議長国として、世界に約束した温室効果ガスの六%削減目標は確実に達成しなければならない立場にあります。しかるに、我が国の温室効果ガス排出量は、環境省の速報値によりますと、二〇〇四年度においては基準年の一九九〇年比で七・六%の増加となっており、六%削減目標を達成するためには、都合一三・六%もの削減が必要という現状にあります。そして、再来年には京都議定書の第一約束期間、二〇〇八年から二〇一二年が始まります。  そこで、現状ではこのように約束達成は極めて厳しいと言わざるを得ないのでありますが、果たして政府は一体こうしたことについて本当に危機感を持っておられるでしょうか、お伺いいたします。  政府は、昨年四月に閣議決定をした京都議定書目標達成計画において京都メカニズムを本格的に活用する方針を打ち出し、今国会でそのための法整備を図ろうとしています。しかし、この他国における温室効果ガス排出削減量等をクレジットとして自国の約束達成に利用できる京都メカニズムは、京都議定書上、国内対策に対してあくまで補足的でなければならないとされています。  京都議定書目標達成計画でも、国内対策を基本として、国民各界各層が最大限努力していくことが最も重要な課題となっていますが、国内対策を加速するためには、第一約束期間の前年である来年度に行おうとしている京都議定書目標達成計画の見直しは極めて重要な課題だと言わざるを得ません。  そこで、その見直しについてどのような方針で臨まれようとしているのか、お伺いいたしたいと思います。  京都議定書目標達成計画には、国内対策を講じてなお京都議定書の約束達成に不足する差分一・六%については、「補足性の原則を踏まえつつ、京都メカニズムの活用により対応することが必要」と記述されています。しかし、一九九八年の地球温暖化対策推進大綱策定以降、国内対策の見直しが行われてきているにもかかわらず、一・六%の数字だけは全く変わっていません。補足的と言いながら初めに一・六%ありきとする姿勢について、根本的矛盾はないのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。  環境税については、京都議定書目標達成計画において真摯に総合的な検討を進めていくべき課題と位置付けられ、環境省では昨年、一昨年と二年続けて具体的な提案を行っているものの、経済産業省などの反対によって導入は見送られていると承知しています。  京都議定書の目標達成が極めて困難となっている中、環境税の導入は喫緊の課題であり、民主党としても具体的な環境税の提案を行っているところであります。今や、環境税の導入の是非を議論している段階ではなく、どのように導入すべきかを議論する段階と考えます。  とりわけ、二階経済産業大臣は、環境大臣の臨時代理のときに環境省に赴き、経産省と環境省は一体となってこの問題を解決するために具体的に協力し合うべきだと国会答弁をされております。  そこで、経済産業省と環境省は、協議の場を設けて、環境と経済の両立の観点から、産業界を説得しつつ、環境税の制度づくりに積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、国内排出量取引制度の早期導入と併せて、環境大臣並びに経済産業大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。  京都メカニズムには、国際排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム、CDMの三つがあり、これらの活用はある程度の大きな役割を示すものと考えられます。そこで、この活用はどのように考えておられ、進めようとしているのか、環境大臣にその方針をお伺いいたします。  また、先進国間での排出枠のやり取りを行う国際排出量取引についても、旧ソ連、東欧諸国におけるいわゆるホットエアの問題もあり、その活用には極めて慎重でもあるべきと考えますが、この点についてもお伺いしたいと思います。  そして、京都メカニズムの中では、クリーン開発メカニズム、CDMにウエートを置いた対応を考えているようでありますが、これに過度に依存するべきではないと私は考えます。CDMは先進国と途上国の間の共同プロジェクトで生じた削減量を当該先進国が獲得するものであり、しかも、それは結果として先進国の総排出枠を増やすことになりかねません。  そこで、途上国の持続可能な開発への貢献を主張するものであれば、それは環境ODAの増額によって具体的に対応すべきものであると考えるのでありますが、この点についても政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。  京都議定書目標達成計画では、我が国として、基準年比一・六%相当分、五年間で約一億トンの二酸化炭素のクレジットを取得することを決定していますが、その確保の見通しとともに、取得のための費用総額は一体どのくらいになると予想しているのか、次にお伺いいたします。  一方、温室効果ガスの削減に資するものであっても、例えば大規模なダムとか新規の石炭火力発電、あるいは発展途上国で住民の反対運動が起きているような、別の角度から見た場合、自然環境や地域社会を破壊するような事業からも安易にクレジットを取得するようなことになれば非常に問題だと言わざるを得ません。  そこで、こうしたことが起きないようにするためにガイドラインを作成し、それに基づき取得を行うようにすべきではないかと考えるのでありますが、この点について環境大臣と経済産業大臣にお伺いいたします。  経済産業省では、原油価格の高騰を始め世界の厳しいエネルギー情勢を踏まえ、エネルギー安全保障を核とした新・国家エネルギー戦略の策定を進めており、三月の中間報告を踏まえて、この五月を目途に最終取りまとめを行うこととしています。その中間報告によれば、戦略項目として省エネルギー推進、石油依存度低減、原子力推進などが挙げられており、地球温暖化対策とは不可分の関係にあります。  一方、我が民主党のエネルギー政策では再生可能エネルギーの開発、導入を積極的に推進し、天然ガス利用の普及促進等により石油依存度の低減を図り、原子力政策は安全性を最優先に過渡的エネルギーとして慎重に推進するなどの主張をしています。そして、その上で、戦略的なエネルギー政策を推進するため、国民の意見を十分反映した国家エネルギー戦略を構築することとしています。  そこで、今回、新・国家エネルギー戦略を策定するに当たっては、国民の意見を十分に聞き、これを十分反映したものにするべく強く求めたいのでありますが、経済産業大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。  政府は、二〇〇六年度までに二〇〇一年実績値に比べて二酸化炭素などの排出量を七%減らす目標を決定していますが、二〇〇四年度の実績を見るとまだ〇・八%の削減にとどまっています。その原因の一端には、各省庁の電力購入に際し入札が行われるようになり、その結果、価格は安いが発電段階で排出される二酸化炭素がより多い電力が購入されるようになったことが挙げられております。そして、これにより一・七%も損をしているとの政府推計もあります。これでは、この一・七%分を相殺するために、電力料金が安くなった分以上の費用を掛けて省エネを進めなければなりません。  現在、政府では、入札方式を環境に配慮したものに改善する方針と聞いておりますが、入札方式の改善となると行政府だけでは決められない問題でもあります。そこで、私は議員立法も視野に入れて検討すべきと考えておりますが、その前に、政府としてこの問題についてどのように具体的に検討がなされようとしているのか、その状況をお伺いいたしたいと思います。  京都議定書の最大の課題は、世界最大の温室効果ガス排出国である米国を復帰、参加させることであります。そして、そもそも京都メカニズムは米国の主張により京都議定書に導入された経緯があり、その米国が参加を拒否していること自体は極めて遺憾なことであると言わざるを得ません。そして、政府としては引き続きあらゆる機会をとらえて米国を説得していくべきと考えるのでありますが、今後どのように米国に働き掛けていく方針なのか、お伺いいたしたいと思います。  また、京都議定書後の二〇一三年以降のことについては、京都議定書の枠組みをベースとしつつ、批准していない米国はもとより、具体的削減義務のない中国や韓国、インドなど途上国も実効的な参加ができる枠組みの構築に向けて国際的なリーダーシップを発揮していくべきだと考えますが、政府の対処方針をお伺いいたしたいと思います。  以上、結論を申し上げますと、京都議定書は温暖化対策の第一歩にすぎず、今後の温暖化に対しては、真の意味での究極の目標に向けての長期的戦略を打ち立てる必要に迫られており、またその実行が求められているものと思っております。したがって、この大きな課題についての政府の明確な姿勢と強力な取組の方針を承り、私の質問を終わりといたします。(拍手)    〔国務大臣小池百合子君登壇、拍手〕

○国務大臣(小池百合子君) 谷議員からは、私へのお心遣いとともに、十問の御質問をちょうだいいたしました。  まず、六%削減約束の達成見通しについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、現在の排出状況から見ますと、約束達成というのは決して容易ではございません。そこで、環境省のみならず、政府全体が危機感を持って対策を推進しているところでございます。今後とも、省エネルギー、新エネルギーの推進、国民運動の展開、京都メカニズムの活用など、京都議定書目標達成計画に盛り込みました対策の確実な実施を図りまして、削減約束の達成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  次に、京都議定書目標達成計画の見直し方針についてのお尋ねでございます。  計画の評価、見直しは、第一約束期間の温室効果ガス排出量に直結します重要なプロセスでございます。今年の夏ごろに予定しております対策の進捗状況の点検を手始めにいたしまして、来年度には定量的な評価、見直しを行うことといたしております。その際には、排出量の見通しと対策の進捗状況を厳格に評価いたしまして、必要に応じて対策、施策を追加することで六%の削減約束の確実な達成を図ってまいりたいと考えております。  次に、国内対策に対しましての京都メカニズムの補足性についてのお尋ねでございます。  九八年の温暖化対策推進大綱策定以来、京都議定書に定められました補足性の原則に基づきまして、この京都メカニズムは国内対策を最大限実施してもなお約束達成に不足する差分について活用していくことといたしております。この差分につきましては、九八年の大綱策定時には一・八%相当分でありましたものが、二〇〇二年の大綱改定時には一・六%相当分となっておりますが、今後も国内対策の実施に全力を挙げる所存でございます。  次に、環境税と国内排出量取引制度についてのお尋ねでございます。  まず、環境省及び経済産業省におきましては、環境と経済の両立の観点から、温暖化対策の強化につきまして、石油特別会計のグリーン化であるとか両省の局長級会議の設置などで連携を進めてまいったところでございます。  また、御指摘の環境税につきましても、今回の経済産業大臣からの御提案をしっかりと受け止めまして、今後幅広い観点から議論、検討を深めていきたいと考えております。  また、国内排出量取引制度でございますが、現在、自主参加型の取引制度を実施しております。これを義務型の制度を含めまして更に検討を進めてまいりたいと考えております。  京都メカニズムの活用方針、それからいわゆるホットエアの活用についてのお尋ねでございます。  京都メカニズムを活用するに当たりましては、クリーン開発メカニズム、CDM、共同実施、JI、また具体的な環境対策と関連付けされました排出量取引の仕組みでありますグリーン投資スキーム、GIS、これらを最大限活用することで温室効果ガス排出削減事業に裏打ちされました削減量を取得したいと、このように考えております。  次に、環境ODAについてのお尋ねでございます。  CDMは、地球規模での温暖化の防止と途上国の持続可能な開発のための有意義な仕組みでございます。国連のCDM理事会や第三者の検査機関によります厳格な審査によりまして、CDMの活用が地球全体での温室効果ガスの排出削減を損なわないように配慮していくこととなっております。  政府といたしましては、途上国の持続可能な開発のために、引き続き途上国の援助需要を踏まえた環境ODAの実施に努めつつ、国際的なルールにのっとってCDMの適切な活用に努めてまいりたいと考えております。  次に、認証排出削減量などの確保の見通し、その費用総額が幾らか、環境配慮に係るガイドライン、これらのお尋ねがございました。  取得に要する費用につきましては、認証排出削減量などの単価が需要動向などによって変動することから、予測はなかなか難しゅうございます。また、調達量、調達のタイミングなどにつきましても不確定な要素が多いということから、現時点で明確に示すことはなかなか難しいと言わざるを得ません。  いずれにいたしましても、我が国が必要といたします一億トンCO2の認証排出削減量を確実に取得するため、政府としての取得をまずは早急に開始し、新たなプロジェクトの形成支援などを通じまして世界全体の供給量が一層拡大するような、そのような努力をしてまいりたい、そしてまた、京都メカニズムの活用に当たりましては、国際的なルールを踏まえまして、可能な限り環境や周辺住民への配慮を確認するよう努めてまいりたいと考えております。  それから、電力の入札方式の改善についてのお尋ねでございます。  政府実行計画に電力入札の改善が盛り込まれたことを受けまして、既に環境省などの省庁で電力当たりのCO2排出量の最低条件を定める入札方式を導入いたしております。さらに、この最低条件を満たすだけでなく、より排出量の少ない電力を総合的に評価する手法について関係省庁とも検討を行ってまいりたいと思います。  米国への働き掛けについてのお尋ねでございます。重要なお尋ねだと思います。  温暖化対策を進める上で、アメリカ、米国の参加は重要な課題でありまして、これまでも我が国は米国の建設的な対応を働き掛けてきた次第でございます。また、昨年末の気候変動枠組条約第十一回締約国会議、いわゆるCOP11でございますが、こちらでの合意を踏まえまして開始されますすべての条約締約国が参加する長期的な行動に関する対話や、我が国独自のチャネルであります日米ワークショップの開催なども活用いたしまして、引き続き米国には粘り強く働き掛けてまいりたいと考えております。  京都議定書の第一約束期間後の取組についてのお尋ねでございます。  自然の生態系や人類に悪影響を及ぼさない水準で温室効果ガスの濃度を安定化するという気候変動枠組条約の究極の目的を実現するためには、その排出量の大幅な削減が不可欠でございます。二〇一三年以降も京都議定書の更なる充実発展が必要と、このように考えております。よって、我が国といたしましては、米国や、中国、インドなどの主要途上国を含みますすべての国が参加する実効ある枠組みの構築に向けて更に主導的な役割を果たしたいと、このように考えておりますし、また地球環境はもちろんですが、自らの環境を整えつつ、しっかりと覚悟を持って重責を担ってまいりたいと考えていることを最後に付け加えさせていただきます。(拍手)    〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕

○国務大臣(二階俊博君) 谷議員にお答えをいたします。  環境税と国内排出量取引制度の早期導入についてのお尋ねでありますが、政府は、京都議定書の目標達成計画に基づく施策実施について全力を挙げて今日取り組んでいるところであります。この目標達成計画では、これらの施策の進捗状況を見ながら、環境税や国内排出量取引制度などについても総合的に検討を行うこととしております。  経済産業省としては、小泉内閣の大方針であります環境問題と経済成長の両立という面につきまして、私どもはあらゆる機会にこの方針に基づいて国際会議等でも対応しておるところであります。  先ほどお尋ねの中にもありましたとおり、私も先般、環境省に参りまして、幹部の皆さんとともに、これからは経済産業省と環境省は、向かい合って議論しているだけではなくて、ともに共通の課題として国民の期待にこたえようということを申し上げてまいりましたが、その線に沿って今後一層協力をし合ってまいりたいと思っております。  クレジットの取得における政府のガイドライン作成についてでありますが、京都メカニズムの活用に当たって、自然環境や地域社会への配慮は極めて重要であります。このため、途上国においてプロジェクトを実施する場合、周辺環境やあるいは地域住民への悪い影響が及ばないことを確認することが国連の手続としても定められておるところであります。  我が国としては、こうした国際ルールを尊重し、これを踏まえて周辺環境や地域住民への影響について適切に配慮することは当然のことだと考えております。  新・国家エネルギー戦略についてのお尋ねでありました。  まず、民主党のエネルギー政策について御披露がありましたが、正に傾聴に値する大きなテーマであると思っております。是非、与野党の枠を乗り越えて、エネルギー問題について国会挙げて御協力をちょうだいできるようにお願いをしておきたいと思います。  エネルギーは日本の経済産業の正に生命線であります。その安定供給確保こそ国家の重要な課題であると考えております。同時に、これは地球温暖化問題への対応とも表裏一体の課題であります。こうした課題の解決のために、御意見にもありましたように、広く国民の理解を得ながら取り組んでいく極めて重要なことであります。私は、このため、現在、省エネ対策、さらに新エネルギーの対策のために、次世代エネルギーパーク、これは仮称でありますが、こうしたものの実現について目下検討中であります。  それはどういう意味か、詳しく申し上げるわけにもまいりませんが、太陽光発電や風力やバイオマス等、その他次々に海外の事例も踏まえて新エネルギーというものが登場しております。これらの問題について、我が国がやっぱり積極的にこれに取り組んでいく姿こそ、産油国に対しても、この交渉の際にも極めて重要なことでありますし、まずは国民の皆さんの御理解を得るということが大事であります。それがゆえに、省エネについても深い関心を寄せていただけるものと考えております。  お尋ねの新エネルギー戦略の結論は、今月の末に取りまとめをしたいと思っておりますが、目下、審議会や、全国六都市で説明会などを催してまいりましたが、国民各層の御意見を尊重し、また、国会の場を通じまして御議論いただきましたことなどを参考にしてしっかりした新・国家エネルギー戦略を構築してまいりたいと思いますので、一層の御協力をお願いを申し上げます。  以上です。(拍手)



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