活動報告 シンポジウム「外来種新法を問う!」
2003年9月6日 於:港区立芝浦港南区民センター


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1.このページ
2.民主党外来生物種規制法案全文
3.配付資料参照(法案の概要 イメージ図 他法規との罰則比較
民主党の外来生物種規制法案について
講演要旨とフロアからの意見及びよくあるQ&A

【講演要旨】
昨春からの1年半にわたる法案策定のプロセスで、村上先生、磯崎先生、草刈さんはじめここにいる多くの専門家、NGOの皆さまのご指導を仰いだ。この場をかりてお礼を申し上げる。6月18日に骨子を発表後、法案を策定し、7月23日に党内手続を終えた。

●今、なぜ外来生物種規制法か
(1)グローバリゼーションの時代に不可欠な規制、生物多様性は国家存立の基盤
(2)民主党の公約:野生生物保護法の制定と移入種(外来種)対策の法制化

●民主党案のセールスポイント
(1)管理が著しく困難で生態系に重大な支障を及ぼす生物種は、国内にまだ入っていない段階でも、輸入禁止とする。
(2)生態系に支障を及ぼす生物種の遺棄・放逐に直罰。最長6ヶ月の懲役か最高50万円までの罰金。
 (配付資料3の関連法規の罰則比較表参照)
(3)現場の手足がない環境省では実効性に疑問なので、都道府県知事が防除計画を策定・実施することとする。

●民主党案の概要  配付資料参照(法案の概要 イメージ図 他法規との罰則比較 法案全文と経緯はこちら

●補足説明
(1)法案名の理由
民主党では昨年11月、環境部門会議に移入種対策ワーキングチームを設置、私が事務局長を務めているが、法案の検討過程で、海外からの入ってきた生物に特化する法案と整理することとしたため、日本生態学会やNGO、環境省小委員会での有識者のご意見も踏まえ、国内移入種も含まれる「移入種」という呼称をやめ「外来生物種」とした。

(2)当初民主党として検討したブラックバス法案との関係
ブラックバス、ブルーギルは、環境省の資料によれば代表的な特定外来生物種であり、この法案により輸入制限、防除等が厳しく行われると考えられる。具体的には、都道府県が特定外来生物種防除計画を立てる場合、まずブラックバス、ブルーギルが対象となると考えられ、ブラックバス、ブルーギルの無許可輸入、密放流等は、厳しく処罰されることになると考える。
 なお、この法案を、ヒアリングさせていただいた方々に送付したところ、日本釣振興会から7月30日付けで意見書が届き、基本的な考え方についてはご賛同されること、ただし防除計画は地域差が出ないよう、大きな指針は国が決めるべき、などの貴重なご意見をいただいた。法案提出までに検討したい。

(3)この法案の対象と想定している生物の分類群
当面、哺乳類、鳥類、は虫類、両生類、魚類、昆虫類、その他の無脊椎動物及び維管束植物、それ以外の植物、そして動物・植物以外の生物も含む。

(4)特定外来生物種として想定される例
ペットとして輸入されるエキゾチックアニマル(は虫類、両生類含む)や昆虫類など。

(5)特別特定外来生物種として想定される例
フクロギツネ、トウブハイイロリス等。ジャンボタニシは植物防疫法で輸入禁止されているので対象外。

(6)国レベルの情報収集の窓口
自治体や各省庁にまたがる情報を一元的に管理する必要がある。山梨県にある環境省の「生物多様性センター」が国内生物種台帳や特定外来生物種リスト、国内外からの情報収集についての一元的な窓口と想定。一般国民からの通報もメールや電話で受け付ける体制の構築を期待したい。

(7)防除計画に対する国の財政的補助は?
防除計画の策定は自治事務と規定し、第21条で国が予算の範囲内で補助できることを明記した。

(8)環境の変化や科学的知見の変化に応じて適時に指定の見直し
法案第18条に明記。リスクゼロと評価され導入後に、急速に自然界に広まり、生態系に甚大な影響を及ぼしたような場合は、再度リスク評価を行い、特定外来生物種に指定することになる。

(9)環境省の準備する法案との関係と今後の見通し
昨年夏の検討会報告で環境省に早期法制化の考えがないことがわかり、民主党として一足先に法案検討に着手。今年に入って環境省が法制化の時期を早めることに貢献した。当面臨時国会に提出、単独で審議を求めるが、与党の反対でおそらく継続か廃案になる。政府案の中身が民主党案より劣った内容であれば、対案として次期通常国会に再提出し両案の審議をしてもらいたい。

【フロアからの主な意見】
(1)リスク評価の具体的手法についての議論・考えが民主党、環境省ともに不十分。
(2)リスク評価を間違え、導入されてから深刻な被害が場合の責任が不明確。
(3)植物防疫法などと統合して外来生物に関する包括的な法制度を検討するべき。
(4)個体識別などの徹底を図るためには動物愛護法の改正が不可欠。
(5)十分な国の予算措置を担保するべき。
(6)東南アジアの昆虫など、日本に持ってくることによって原産国の生態系が破壊されたり希少種が失われる問題についても取り組みを明記するべき:現地国の法体系や摘発体制整備のための専門家派遣、技術支援などの国際協力。
(7)最近の環境法は枠組みだけで、詳細は省令に委ねることが多いが、法治主義に違反するのではないか。附帯決議の価値を重視すべき。
(8)国内在来種との交雑を禁止するべき。
(9)生物多様性条約第6回締約国会議の指針原則を忠実に反映させるべき。
(10)自治事務では不十分。国の指針を定めるべき。
(11)ギルやバスなどの「再導入」を禁止するべき。

【法案に関するよくあるQ&A】
Q.種より上位の指定はできるのか?
A.できる。種の保存法でも同様の取扱いがされている。

Q.法律の施行時に国内生物種台帳は完成できるのか?
A.国内生物種台帳は法律の施行時に作成されるが、法律の施行後も、環境大臣が存在を確認した生物種について、随時台帳に追加していくことが予定されている。

Q.環境省の検討会では植物のリスト化に相当の年数がかかるとのことだが、この法律における植物の扱いはどうなっているのか?
A.生物の多様性に支障を及ぼすことが既に確認されている植物は特定移入生物種になると思われ、それ以外の環境大臣が存在を確認した植物については国内生物種台帳に記録されるため、新規扱いにはならない。新たに危険性が発見されたものについては、適時、省令を改正し、対応することとなる。

Q.特別特定外来生物種は輸入禁止するだけか?
A.いいえ。特別特定外来生物種は、輸入について特別に厳しい規制があるが、特定外来生物種であるので特定外来生物種と同じ規制がかかる。

Q.外来種を「在来種」と偽って持ち込む者を防止できないのでは?
A.運用段階で検討すべき課題と認識。

Q.キャッチ&リリース禁止は?
A.この法案上「放逐」「放つ」にはいわゆる「再放流」「CR」は含まれる。「みだりな放逐」には直罰。法律上「みだり」を用いるのは、廃棄物の投棄のように、具体的な行為が適法か違法かの判断が、当該行為の具体的な態様を見ないと判断できない場合である。キャッチ&リリースについても、「みだりな放逐」に該当すると裁判所で判断されれば、罰せられることになる。都道府県がリリースを全面禁止することを義務づけているものではなく、また防除計画の一環として全面禁止することを妨げるものでもない。

Q.新規外来生物種によっては、簡易・迅速なリスク評価が行われるべきではないか?
A.なし。国内にまだ入っていない生物であっても、海外の科学的知見に基づくリスク評価によって特定外来生物種に指定されることがあり、管理指針も策定される。また厳しいリスク評価を義務づけることで、国内生物種台帳の整備が進むものと見られ、結果、新規外来生物種の数はかなり少ないと想定。

Q.マルハナバチは輸入禁止?
A.特別特定外来生物種に指定され、輸入禁止になることは想定していない。科学的知見がすでにあるので、おそらく特定外来生物種に指定され、厳に自然への逸出を防止する管理指針を制定することを想定している。

Q.適用除外について。感染症予防法において輸入が禁止されたプレーリードッグが、感染症媒介のおそれがなくなったとして、輸入制限がなくなった場合、この外来生物種規制法案上、輸入制限の規定が適用されるのか。また、感染症予防法では輸入される全ての哺乳類と鳥類に対し輸入禁止か、検疫或いは届け出という3ランクに峻別する改正を検討しているが、同法上、輸入禁止対象種から届け出対象種などにランクが落ちた場合、この外来生物種規制法案上、輸入制限の規定が適用されるのか?
A.この外来生物種規制法案の法益に照らし、必要と判断されれば、当然この法案の輸入制限の規定が適用される。

Q.再び適用除外について。漁業法に基づく漁業調整規則によるオオクチバスの駆除・生息拡大防止の施策が十分でない現況においても、この外来生物種規制法案上、防除の規定の適用除外になるのか?
A.ならない。他の法令が「ざる法」となってしまっていて、十分な防除が行われていないと環境大臣が判断すれば、この法案の防除の規定を適用し、より厳しい防除の施策が行うことになる。他の法令との整合性については、条文化の過程で細かく規定されることとなるが、他の法令で輸入制限や防除等の措置が講じられている場合であっても、この法案の法益に照らして不十分な措置であると環境大臣が判断すれば、この法案の適用除外とはならない。

Q.都道府県の役割が重視されているが、その窓口の一元化などを法律で規定するべきではないか?
A.地方分権の理念に基づき、地域の特性に応じて都道府県で判断する問題と認識。具体的には都道府県の防除計画策定指針を国で定める際に、情報処理の一元化や、保健所、鳥獣保護センターなど関連する担当部署間の連携を図るべき旨を明記することなどが考えられる。

Q.リスク評価や特定外来生物種の指定、防除計画の策定にあたり、「専門家でもわからない不確実性が大きい」場合は、問題に関わる人々(NGOや市民)の相互の情報交流によるリスクコミュニケーションに基づき意思決定することを法律上明記すべきではないか?
A.外来種についての学識経験を有する者とは、生物種ごとに存在するので、設問の場合、問題に関わる人々が学識経験を有する者ではないか。食品安全基本法にはリスクコミュニケーションを規定する13条があるが、基本法における施策の策定についてであり、この法案におけるリスク評価や種の指定にはなじまないと考える。もちろん指定や防除計画の策定にあたっては、国民一般の常識からかけ離れた施策では「ざる法」になってしまうので、パブリックコメントなど「その過程の公正性及び透明性を確保するため、当該施策に関する情報の提供、当該施策について意見を述べる機会の付与」は当然になされるものと理解している。

Q.南西諸島などでの島嶼間移動への規制は? 国内移入種に対する規制はできないのか?
A.沖縄の島々などでは、重大な問題と認識。在来種を含む国内移動については、民主党の公約である野生生物保護基本法体系において、適当な法改正か新法で対応していくことを移入種対策WTとして今後引き続き検討していく。

Q.罰則が不十分なのではないか?
A.遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の罰則と同じレベルにした。関連法規と比べ、行為の同一性に着目すれば、決して罰則が不十分とは思わない。配付資料3ページ目以降の関連法規の罰則一覧表参照。生物多様性の保全という、21世紀的な、これからその価値が高まる法益に対する罰則としては、実効性を考えるとこれ以上は無理と判断した。


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