動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(谷博之案) 2005.06.14
(※自民党理事、公明党理事の反対により廃案となったものです)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一、環境大臣による基本指針の策定に当たっては、動物に関する部署、とりわけ野生鳥獣担当部署や警察の遺失物取扱担当部署との連携、動物愛護担当職員の資質の向上、動物愛護推進員の公募等による委嘱の推進、犬・ねこの殺処分数の削減の数値目標、災害時の動物救護策、公衆衛生や感染症などに対する危機管理対策、学校、地域、家庭等における動物愛護の普及啓発等が都道府県の動物愛護管理推進計画に適切に盛り込まれるよう促すとともに、必要な支援について検討し、適切に措置すること。
二、動物取扱業の登録制導入に当たっては、動物の輸送に係る委託基準を定めるとともに、行政の指導・勧告に従わない場合、登録の取消し等の措置を執ることに加え、取消しされた業者名が明らかになる仕組みとすること。
三、インターネットオークション等に動物を継続して出品する者に対しては、オークション主催者やプロバイダーの協力を得るなどして、動物取扱業の登録義務の周知徹底を図ること。
四、飼い主がやむを得ない理由から所有権を放棄した犬及びねこ以外の愛護動物や虐待を受け保護が必要な動物については、多種多様な動物がペットとして販売され飼養されている実態を踏まえ、都道府県等による動物愛護センター等の施設を活用した一時保護及び新たに適切に飼養可能な飼い主への譲渡など、適切な措置がなされるよう助言及び支援を行うこと。
五、犬及びねこの引取りについては、飼い主の終生飼養の責務に反し、やむを得ない事態としての所有権の放棄に伴う緊急避難措置として位置付けられるものであり、とりわけねこの引取り及び殺処分数が前回法改正以降も一向に減少しない現状を深刻に捉え、引取りの在り方について引き続き検討を行うとともに、都道府県等がNPO等の協力の下、新たな飼養希望者を募るなど、可能な限り殺処分の減少を図るよう、適切な支援を行うこと。
六、やむを得ず引き取った犬及びねこを殺処分する方法については、行政獣医師による麻酔処置等による処分など、犬及びねこの苦痛を極小化する方法が都道府県等で採用されるよう、適切な助言及び支援を行うこと。
七、動物虐待の摘発、立件に当たっては、自己の所有する動物に必要な治療行為を施さずに死に至らしめる等の不作為のケースについても、正当な理由がない限り、社会通念を踏まえて適切な処分を検討すること。
八、附則第九条に基づき検討を行うに当たっては、次の事項について、適切に措置すること。
1 法律の目的において、動物が苦痛を感じる生命存在であることを前提として、動物の愛護に加えて、動物の健康と福祉の保持に関する規定を設けることについて検討を行うこと。
2 動物取扱業者の登録制については、その実施状況を調査し、とりわけインターネットによる販売等における問題の発生の有無等によりその有効性を評価するとともに、許可制など更なる規制の必要性について検討を行うこと。
3 規制対象となる取扱業の範囲については、実験動物の生産販売業の現場によってはペットと区別せず行われている等の実態、また兵庫県や東京都などの先進的な取組を踏まえ、実験動物の生産販売業を規制対象の範囲に含めることの是非について検討を行うこと。
4 罰則の対象となる動物虐待の定義等については、現行法に基づく摘発や立件等の状況が前回法改正以降も芳しく改善していないとの指摘を踏まえ、引き続き摘発や立件等の状況の把握に努め、定義のより一層の明確化についての見直しを検討すること。
5 インターネット等を利用して動物虐待の映像を流すなどして青少年に有害な影響を及ぼす一方で、摘発が困難な動物虐待の事例が増えていることにかんがみ、警察を補完する動物愛護調査専門機関の設置など取締り体制の強化について検討を行うこと。
6 愛護動物の範囲については、空前のペットブームで多種多様な動物が飼養されている実態や、熱帯魚など観賞魚の遺棄や野生化が増加していることなども踏まえ、今後の問題の発生状況等により必要に応じてその見直しについて検討を行うこと。
7 実験動物は、医療や科学研究など広汎な分野で飼養及び保管がなされているところから、本法の定める動物実験の3R(代替手段の活用、使用数の削減、苦痛の軽減)及び関係省庁が定める関連基準の周知徹底を図るとともに、可能な限り実態を把握し、その有効性について検討と評価を行うこと。
8 本法第四十一条第一項の配慮事項を第二項並みに義務的事項とすることについて、問題発生の状況や国際的な動向等を踏まえて再検討を行うこと。
9 本法に盛り込まれていない畜産動物の福祉の向上に関しては、国際的な各種の取組等を踏まえ、国際水準に照らして動物の適正な飼養の推進の観点から基準を整備し、周知徹底を図るとともに、その有効性について検討と評価を行うこと。
右決議する。
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