谷博之国会活動


足利銀行の破綻処理に関する質問状と大臣回答書


金融・経済財政政策担当大臣 竹中 平蔵 殿

去る11月29日、足利銀行が経営破綻した。同行は栃木県内で圧倒的なシェアを占め、県経済にとって極めて重要な役割を果たしてきた。今後、県経済のさらなる悪化を招くことのないよう、適切な対応が必要である。また、一時国有化に伴い、同行には今後巨額の公的資金が投入されることから、関係者の責任を明確にすべきであることは言うまでもない。  よって、次のとおり質問するので、2004年1月13日までに回答願いたい。

2003年12月24日
民主党 栃木県選出国会議員団
参議院議員 簗瀬  進
衆議院議員 山岡 賢次
衆議院議員 水島 広子
参議院議員 谷  博之

昨年12月24日にいただいた「質問状」につきまして、本日、回答書をお届けさせていただきます。
2004年1月16日 金融担当大臣 竹中 平蔵
1.  金融庁は、足利銀行は2003年3月期において債務超過であったと認定した。従って、金融庁は、同行の2003年3月期決算は粉飾であると認定すべきではないか。
(回答) 株式会社足利銀行(以下「足利銀行」という。)に対する検査結果では、平成十五年三月期において債務超過であったとしているが、金融機関に対する検査は、粉飾決算などの犯罪捜査を目的とするものではなく、あくまでも銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保することを目的として行われるものであり、証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)が目的とする投資家保護とは趣旨が異なるものである。

足利銀行は、平成十五年三月に株式会社あしぎんフィナンシャルグループの完全子会社となったことに伴い、同年六月に証券取引法第二十四条第一項の規定による有価証券報告書の提出免除承認を受けたことから、平成十五年三月期の有価証券報告書は提出しておらず、当局として、証券取引法上、足利銀行の平成十五年三月期の決算書類に対する権限は有していない。

なお、足利銀行の親会社である株式会社あしぎんフィナンシャルグループが提出している有価証券報告書については、足利銀行以外の会社も連結の対象として含まれており、商法等の規定に基づく取締役会の承認、独立した会計監査人による監査を経て、定時株主総会に報告された決算に基づいて提出されたものであり、仮に、同社の有価証券報告書において、重要な事項について虚偽の記載が判明した場合には、法令に則り、適切に対処してまいりたい。
2.  金融庁が1のような認定をすれば、同行役員及び中央青山監査法人は、証券取引法第21条1項により株主等に損害賠償責任を負うことになると考えるがどうか。
(回答) 一般論として申し上げれば、証券取引法第二十二条第一項及び第二十四条の四の規定により、重要な事項につき虚偽のある有価証券報告書を提出した経営者については、有価証券を取得した者に対し、民事上の責任を負うこととされており、重要な事項につき虚偽のある財務諸表を故意又は過失により虚偽のないものとして証明した公認会計士又は監査法人についても、民事上の責任を負うこととなる。
3.  竹中大臣は、足利銀行を「特殊な銀行」と呼び、以前から重大な問題を抱えていたことを十分認識していたと見受けられる。にもかかわらず、金融庁は、2年以上も検査を実施しなかったばかりか、2002年1月には第三者割当増資99億円の実施を容認し、2003年1月には持株会社の設立を認可した。

同行支援のために出資を行った地元自治体や一般投資家は、金融庁が同行の経営内容に「お墨付き」を与えていたからこそ増資引き受けに応じたのであり、従って金融庁の責任は極めて重大である。    この間に、同行支援のために出資依頼に応じ、今回の措置の結果多大の損失を被った法人及び個人の、いわゆる「善意の出資者」に対し、その損失を補填するための間接直接の措置を講ずるのが、行政当局の当然の責務と考えるが、自らの責任をどのように受け止め、具体的にどう責任をとるのか、見解を問う。
(回答) 足利銀行に関しては、平成十一年九月の金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百四十三号)に基づく公的資本増強以降、経営健全化計画の履行状況のフォローアップを行うとともに、経営上の諸リスクへの対応等について、十四回の報告徴求及び一回の業務改善命令を実施する等の対応を行ってきたところである。また、検査については、地域銀行に対する検査周期は平均で二年七ヶ月(平成十一〜十四検査事務年度平均)となっているが、先般の足利銀行に対する検査周期は二年三ヶ月で検査を実施したところである。このように足利銀行に対しては、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等に則り、厳正な検査・監督に努めてきたところである。

なお、増資については、銀行法の認可事項ではなく、届出事項とされていることから、一般に金融機関の自主的な経営判断と責任において監査法人や弁護士と協議の上、適切に行われるべきものと考えている。また、銀行持株会社の設立に関しても、銀行法第五十二条の十八の規定に基づき、厳正な審査を行い、認可を行ったものである。

今般の破綻に伴い、株式会社あしぎんフィナンシャルグループの株式が実質的に無価値化することとなった事態は、株主のご心情に鑑みれば極めて遺憾であるが、株式は資本であり債務でないことから、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)上保護の対象にならないこととなる。

当庁としては、特別危機管理開始決定当日、足利銀行に対し、円滑な資金供与等を含む業務適正化命令を発出し、さらに、債権管理・回収に当たっては、個々の債務者の実情に応じたきめ細かな対応に努めることとし、今般の特別危機管理開始決定に伴い毀損した株式を保有する債務者に対しては、特に配慮するように、徹底しているところである。

なお、昨年十二月十二日に「足利銀行の特別危機管理開始決定に伴う対応に関する関係省庁等連絡会議」において、株式会社あしぎんフィナンシャルグループ株主を含む借り手に関する対応を含め中小企業等への資金供給の円滑化等に関して、関係省庁等が講じている施策を取りまとめ、公表したところである。
4.  足利銀行は、多くの県内中小企業に事業資金を供給しており、今後の経営姿勢は県経済に極めて大きな影響を及ぼす。現下の経済情勢にかんがみれば、銀行全体として急激な資産圧縮を行うべきではないことは言うまでもない。  個別企業について、経営に問題はあるが破綻懸念までには至らない要注意先中小企業については、3年程度の間、できる限り取引を維持し、性急な回収を行うべきではないと考える。  また、破綻懸念先中小企業についても、最終処理は急がず、3年程度の猶予期間を設けるべきだと考えるが、見解を問う。
(回答)

足利銀行については、引き続き地域に円滑な資金供給が行われるよう、昨年十一月二十九日に、銀行法第二十六条第一項の規定に基づき、業務適正化命令を発出し、その中で、
 一 預金者及び取引先等との取引において支障が生じないよう万全を期すこと
 二 善意かつ健全な借り手に対して円滑な資金供給を図るよう配意すること
を命じたところである。

また、足利銀行の新経営陣に対しては、適切な業務運営を確保しつつ、健全化に向けて経営改革を進めるとともに、地域金融の円滑化、中小企業等の再生に積極的に取り組むよう求めているところであり、足利銀行における個々の債務者の取扱いについても、その実情に応じて極力再生に努めることとなる。

5.  足利銀行の今後の処理方針について、優良債権は新銀行を設立してそこに譲渡し、速やかに健全銀行として再生、要注意先及び破綻懸念先中小企業は足利銀行本体に残し、3年程度の時間をかけて中小企業融資専門銀行として再生すべきであると考えるが、見解を問う。  また、将来的には、りそな銀行等も含めた中小企業融資専門銀行の受け皿銀行として再編成することも検討すべきであると考えるが、見解を問う。

6.  上記4によらずに長銀方式で営業譲渡する場合は、3年程度の時間をかけて譲渡先を選定すべきであると考える。また、譲渡先の選定にあたっては、外資の投資ファンドに売り急ぐことは、中小企業の性急な整理を招くことになりかねず、絶対に避けるべきであると考えるが、見解を問う。
(回答) 預金保険法第百二十条第一項は、できる限り早期に第三号措置を終えるものと規定しているが、具体的な終了事由としては、

 一 当該特別危機管理銀行と合併する金融機関が存続する合併(当該合併後に存続する法人が機構の子会社でない    ものに限る。)
 二 当該特別危機管理銀行と他の金融機関が合併して金融機関を設立する合併(当該合併により設立された法人が機    構の子会社でないものに限る。)
 三 当該特別危機管理銀行の営業の譲渡
 四 当該特別危機管理銀行の株式の譲渡(当該譲渡により当該特別危機管理銀行が機構の子会社でなくなるものに     限る。)

が列挙されている。

第三号措置の終了が、いつ、どのような形になるのかについて、現時点で確たることを申し上げることは困難であるが、同法に従って適切に対応したい。


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