谷博之国会活動 難病対策の法制化

2002年8月29日 朝日新聞「私の視点」に私の投稿が掲載されました。

◇私の視点原稿◇
★★難病対策 責任を明記した法制化こそ必要/谷 博之(たにひろゆき)/参議院議員(民主党)

国会閉会日の7月31日、厚生労働省の難病対策委員会が中間報告をまとめた。難病患者の医療費を公費で補助する制度について、厳しい財政状況下でも制度は維持するべきであり、そのための見直しが急務、とした。これを受け厚労省では、対象疾患の入れ替えや所得別の自己負担制などを検討するという。このままでは国会閉会中に概算要求まで済まされてしまうので、意見を申し述べたい。

30年前、希少難病の一つであるベーチェット病患者と医師の熱意あふれる運動が、世論を大いに動かした。国会でも与野党55人の難病対策議員懇談会が発足、「難病救済基本法」という市民案も起草された。しかし厚生省は法律は不要とし72年「難病対策要綱」なるわずか450字の行政文書を発表、以来難病対策は法的根拠のない補助金行政として行われてきた。

財政難の昨今、法的根拠のない補助金は整理の対象となった。一昨年は226億円だったのが昨年は201億円、そして今年は183億円。毎年一割づつ削減されるこの不安感こそ、患者と家族にとって最大の痛苦なのではないか。

確かに、経済が右肩上がりの時に始まった制度であり、改革は避けられない。しかし難病患者はすでに十分に痛みを分かち合っている。全額公費負担は98年までであり、今では難病患者の8割が月額1万4千円を上限に自己負担しているのである。

医療費国庫負担7兆円に対し、わずか183億円の補助金が全国50万人の難病患者を支えている。すべての難病が対象ではない。きわめて不透明なプロセスで対象疾患が決められている。対象外のため、長期間高額の医療費負担に苦しむ様々な希少難病患者の数は、把握されていない。アトピー性皮膚炎など、社会の歪みともいえる原因不明の病も現れており、いつ誰が罹患するかもわからない。難病対策は、21世紀においても不可欠なセーフティネットの一つではないか。

厚生労働省は負担増、対象削減の一方で、難病対策の長期ビジョンなるものを作り、それで制度を安定させるという。法制化を熱望する声なき声を、その場しのぎの対策でかき消す、30年前の繰り返しである。

報告では今後の検討課題に留まってしまったが、制度の安定には国の責任を明記する法制化が一番と、私は考える。法制化すると制度の柔軟さが失われるとの意見もあるが、私は法律の構成次第で克服できると考える。長期ビジョンの策定で果たして財務省を説得できるのだろうか。厚生行政が本当に患者や消費者の立場にたって仕事をしているのかが、問われている。

難病対策の長期ビジョンの他に、厚労省は新・障害者プランの策定を行い、さらには薬害救済制度や小児慢性特定疾患の対策、そして介護保険の見直しも担当部署毎に進めようとしている。複雑な厚生行政の縦割りの谷間は広く深い。難病も含め、障害の種類や程度、希少性ではなく、生活困難度に応じた包括的な福祉施策のグランドデザインを、他省庁と連携しつつ全省的な取り組みによって策定するべきではないか。そして、それを霞ヶ関に担わせるのではなく、今こそ永田町が担わなくてはならない。

谷博之作成の難病対策推進法の要綱案はこちら


   谷博之のメールマガジンはこちらからご覧いただけます。



    メニューのページへ戻る